摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~251
木陰とはいえ、さすがにずっと座っていられるほど涼しくはなかった。お昼のピークも過ぎているから、どこかしら席も空いただろう。今度こそ、室内でゆっくりと落ち着いて、冷たいものでも飲みたかった。
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さっきは混んでて入らなかったカフェ。今はお客さんもまばらになっていて、これならゆっくりと落ち着けそうだった。
「はぁ~やっぱり中は涼しい。何頼もうかな」
コンビニでお昼用に何か買おうと思っていたけど、結局食べ物は怖くてそんなに買うことが出来なかったので、お腹が空いていた。
「さっきも考えていたことだけど、たまにはお腹が減ったらおいしいものをたくさん食べて、喉が渇いたらカロリーや糖質のことなんて気にしないで好きな物を飲んでみようかな」
カフェ自体、滅多に行かないけれど、行ったとしても大抵ノンカロリーのアイスコーヒーしか頼まなかった。改めてメニューを見てみると、おいしそうだけど、いかにもカロリーが高そうなケーキやパフェが並んでいた。
「こういうのを、カロリーとか脂質とか気にしないで食べられたら、それはそれで幸せなんだろうなぁ」
しばらくメニューを眺めてしまった。お一人様だし、いい加減何か頼まないと変に思われるかもしれない。とりあえず、アイスコーヒーを頼むことにして、飲みながら追加で頼むかどうか考えることにしよう。
……私も、私なりに、今私が出来ることを考えて、行動して、ほんの少しでも昨日と違う今日、今日と違う明日を過ごさなければ、どこにも辿り着けないのかもしれない。
「ケーキとパフェだったら、どっちにしようかな。暑いから、アイスの入っているパフェにしようかな」
過食のための買い物だったら、どっちも買ってるし、何なら2つや3つじゃ収まらない。そんな私が、お腹が空いているのに『どっちにしようかな』なんて、何だかおかしくなってきた。
「どうせ頼むのだったら、一番おいしそうなものにしよう」
これも『どうせ頼むのだったら、一番量が多いものにしよう』にならないところが、おかしくもあり、そんな自分を褒めてあげたい気もした。
「決めた!どうなるかわからないけど、パフェを頼んでみよう」
自分の力ではどうにもならないことを抱えていたとしても、それでもその中から楽しみや嬉しいことを見つけて、前を向いて生きていきたいし、生きていかなければ、辿り着きたいどこかへは辿り着けないし、いつまで経っても何も変わらないのだから。
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