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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~406


「紗希、この前食べたチョコレートパフェもおいしかったけど、さすがにホテルだね。これって、めちゃくちゃおいしくない?」

「そうだね。何だろうね、このクリームチーズみたいなのが絶妙にいちごに合ってる感じだね」

もう少し食べ進めてみると、アイスもソースもいちご味で、これぞストロベリーパフェ、という感じだ。

「紗希、いちごも『こんなに甘かったっけ?』ってくらい甘いし、ホントおいしいね。はぁ~私、幸せ」

さすがにいちごの品種まではわからないけれど、甘みがたっぷり感じられるし、その甘さの中にも程よい酸味が効いてていちご単体でも十分おいしい。陽子の言う通り、これが『食べる幸せ』なのかもしれない。

『食べる幸せ』……私が、感じることが出来なくなってから何年も経ってしまった、忘れかけていた感覚。その感覚を、取り戻したい。いや、取り戻さなければ。

もしかしたら、陽子と再会したことで取り戻す『きっかけ』を掴むことが出来るかもしれない……何となく、そんな気がしてきた。

「陽子、そうだね。このいちごだったら、パフェにしなくても十分おいしいね」

「ホントそう。いちご狩りのいちごがこれだったら、私100個はいけるかも」

「100個かぁ……私もいけるかも笑」

「紗希、そうそう!そんな感じでさ、楽しんだ者勝ちなんじゃないかな、って思うの。それに、その笑顔、素敵だよ!」

『笑顔』……そっか。私、もう随分人前で笑っていないのかもしれない。もしかしたら、陽子と再会したことで『食べる幸せ』も『笑顔』も思い出すことが出来るかもしれない。


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