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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~384


妹の由希を連れて行ったホテルのカフェは、ゆったりとした空間とリッチな気分になれるところが気に入っていたけれど、そうそう何度も行けるような値段ではない。今日のところは『初心に帰って』じゃあないけれど、先生のところの最寄り駅から歩いて行けるカフェにでも行くことにした。

思い出してみると、先生のところの近くのカフェに行った時は、夏真っ盛りでとても暑かった。

一息つきたくて、駅に着いてすぐにでもお店に入りたかったけれど、ちょうどお昼の時間に重なったせいか、混んでてお店に入れなかった気がする。

「そうそう、それで空いてるお店を探して歩き回ったんだけれど、なかなか見つからなくて公園に行ったんだったっけ」

公園では、あの暑さの中でも無邪気に、楽しそうに、夢中になって走り回っている子供たちがいた。

「そんな子供たちが羨ましかったなぁ……きっとお腹が減るまで食べることなんて考えもしないのだろうから」

私にもそんな子供時代があったはずなのに。遊ぶことに夢中で、暗くなってもなかなか家に帰らなくて、夕飯を目の前にしてやっとお腹が減っていたことに気付く、みたいな。

「今でも、そこまで夢中になれることがあったら、食べることを忘れることが出来るのだろうか……」

そこまで夢中になれなくても、ほんの少しだけでも食べることを忘れることが出来れば……

「そうだよね。完璧を追及したらきりがないし、ほんの少しだけでもいいんだよね。24時間、それこそ寝てる間も夢の中で食べることを考えていた頃と比べたら、私だって少しはましになってきているのだから、それでいいんだよね。人と比べるのではなくて、自分と比べて良くなっているのだから、それでいいんだよね」

そう、何度も自分に言い聞かせていた……


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