キノピッピ

元PG&元出版社の編集者&元小学生プログラミング講師&元児童福祉施設の指導員を経て現在…

キノピッピ

元PG&元出版社の編集者&元小学生プログラミング講師&元児童福祉施設の指導員を経て現在、「ずっと前からそこにいた」と思わせる適応力を武器に、あらゆる業務をこなすエディター。(器用貧乏)ここでは、日々の生活をつれづれなるままに綴っていきます。

最近の記事

初秋の失恋

9月終わりにその日は突然やってきたのである。 それまでベタベタ、イチャイチャしていたのに、何も言わないし、あからさまに会話を避ける。これはどうしたことかと相方さんと話し合いをする事になった。 理由は私の体重増加に対する姿勢の甘さだそうである。ちょ、ちょ、待てよーってキムタクみたいに言ったわな。 薬の副作用もあるし、引きこもりの環境もあるし、そんなすぐには無理だって。長い目で見てよ。 と、そんな話はしたんだが、もうぶよぶよの美月、これ以上見たくないって言われてしまう。体重

    • 引っ越し前夜

      エサを食べては寝るという豚のような退院後の生活から早くも一か月半が過ぎた。精神科病棟ではあんなにイキイキ暮らしていた私はどこに行ってしまったんだろう。 1日くらい寝なくても平気だったし、毎日運動も読書もして、あなたは一体どこが悪いのよ?って言われそうなくらい元気であったが、体内の日付が3日くらいおかしかったり、口から出てくる言葉がむちゃくちゃだったりとか、閉鎖病棟内で全裸で走ったり、歌ったり、踊ったり、割と活動的に動いてた気がする? 痴呆のおばあちゃんの娘2人を患者と演技

      • 師走の断捨離

        4月の引っ越し以降、段ボールに入れっぱなしになっていた荷物をようやく取り出した。 月日の経ったガムテープはまるで心に張り付いた瘡蓋みたいになかなか剥がれず、爪を立てて勢いよく剥がした。 その途端に、タイムカプセルのように、当時の記憶が蘇ってきた。 私には当時、付き合っていた彼氏がいて、一緒に同棲をする予定でいたのだが、いろいろあってダメになってしまった。 私が最後に残していた荷物は音楽を聴くためのミニコンポだった。 当時によく聴いたCDをかける。岡村孝子のアルバム。

        • 婚活歴20年……心の折れない婚活

          【20代編】私が婚活を始めたのは20代後半だったと思う。もはや独身歴から考えると20年近く婚活をしていて、決して成功しているわけではない。それでも、失敗談がどなたかの同志を励まし、慰めることもあろうと、自分自身の自戒も込めてここに書き始めたものである。 最初に始めたのは婚活パーティや特定の職業に特化した婚活サイトを通じてだ。 婚活パーティで初めてマッチングした人は、大手企業のエリートサラリーマンだったが、帰り道にデートした公園でヤラれそうになり、逃げた。いわゆる「ヤリモク

          炭窯見学

          今日は、中学時代の友達と会った。 ちょっとお茶しようとしたら、どこも店があいてない。さすが過疎の町No.1。😅 私らはお互いに病んでるちゃんなので、脳のために少し散歩をした。歩くことは脳にとてもよいから、歩きながら懐かしい話に花が咲いて、それでも、歩いて行くところがなく、友達の実家が炭窯をやっているというので、頼み込んで結局車で連れて行ってもらった。 この炭窯、7年前にも行ったことがあったけど、今度行ったときには、新しい代を継ぐ息子さんがいた。 このご時世、事業継承問題

          コロナ禍の東京を逃げ出して半年

          私が持病の心臓病とコロナパニックでシフトがぐちゃぐちゃになって、過労と咳喘息で過疎の町である故郷に戻ってから半年。 予想通り、東京は今、とてもひどい状態となっている。あの時、帰郷を決意してなかったら、漏れなくひとり暮らしの部屋で感染して、自宅療養中にポックリは間違いなかっただろう。 しかし、故郷である過疎の町の暮らしが快適かと言えば、物価は東京なみに高いし、仕事の給料は東京の半分で、かかりつけ病院は片道1時間の所にある。Wワークのうえに認知の衰えた母と父との3人暮らし。

          コロナ禍の東京を逃げ出して半年

          光と影

          かなり久しぶりにとある友人と話をしました。 その際、「きのさんは重い話が多すぎるから話すと疲れる」と言われました。「もっと楽しい話だけしてほしい」と言われたのです。 その時、私はこう言いました。 「光と影は同一のもので、光だけを求め、影を拒否するのは自然なことではないし、私の闇を否定し、一緒にいることがつらいならそれは、友達として続けていくことはできないのではないか」 「光と闇との捉え方は人それぞれなのだから」 と。 確かにポジティブシンキングは大切なことですが、

          木蓮の涙

          昔、母は不倫をしていたんですね。 でも、私たち娘からすると、身体障碍者となってなお、杖を振り回して母にDVを加える父に比べたら数倍マシな男だったので、見て見ぬふりをしていたわけですよ。  そしたら、海の事故で母の不倫相手は死んでしまったのです。 ソノ フリンアイテ ガ ワタシニ キイタ スキナハナ ガ モクレン で、とある場所にその人が植えてくれて今も毎年咲いているんです。 その花が咲くたびに、叶わなかった母の恋に胸が痛みますし、スターダストレビューの「木蓮の涙」が

          ねばーえんでぃんグソォとーりー

          7月28日、29日、30日と某町で健診・検診業務があった。1日がかりの仕事であったため、ベーン(便)は 「愛する君の都合に合わせるよ」 と、3日間、音沙汰がなかった。 そして、7月31日の朝5時にベーンは私を叩き起こした。 「きのっぴ。もうダメだ。出てもいいかい」 そして、私の一人きりのネバーエンディングストーリーが始まった。 最初は風呂の栓みたいなバカでかいヤツがいて、私は自分の腹肉を雑巾でも 絞るように押した。 「それでも、かぶはぬけません」 子どもの頃

          ねばーえんでぃんグソォとーりー

          21日から23日までのひとり旅(3日目)

          実家エリアに戻ってきたはいいが、どうしてもそのまま家に帰りたくなくて、展望台でまたひと眠りした。バケツをひっくり返したみたいな雨が降った。朝起きると、二日酔いで死にそうになっているのにお茶がない。自販機もない。急いで山を下りて、講演でいろはすの桃味を買った。 うめぇええええええええええええええええええええ 身体がそう叫んでいた。黄色い胃液まで吐きかけていたのに、この神の水は一体何者がもたらしたのじゃと言いたくなってしまった。  そこで美味しいジュースを飲んでようやく家に

          21日から23日までのひとり旅(3日目)

          21日から23日までのひとり旅(2日め)

          目が覚めると、そこは全然知らない路肩で、車がぶんぶん走る音で気づいた。明らかに寝ていい場所じゃない。直射日光も半端じゃない。とにかく、朝ごはんを食べて、出発しなくては! そう思って、最後のでか握り飯を口に放り込んでいた時であった。 「う〇こがしたい!」 それは、予断を許さない全身を突き上げるような衝動であった。 眠っていた体が朝ごはんで目を覚ますなんて、キャンプでもしてりゃ映えるんだろうけど、貧乏人のおばさんにはそれが魔女の一撃のように苦しみに変わった。 とにかくト

          21日から23日までのひとり旅(2日め)

          21日から23日までのひとり旅(1日め)

          認知機能の衰えた母75歳に、なくしたものは娘に全部盗まれただの,、やれ飯がまずいだの、家事のやり方が気に食わないだの、帰郷して半年近くもなると、20人以上も一人暮らししてきた人間が親と暮らすってマジで拷問なんだなあって思ったよ。 職場の人になにげなく、相談してみた。「母親、うるさくない?」と聞いたら、 「私、家では、〈うん〉、か、〈はぁ〉、か、〈へえ〉しか言わないから」 って言っていた。この人、会社じゃすごく気が利くし、丁寧にしゃべるし、ものすごい優しいのに、家に帰った

          21日から23日までのひとり旅(1日め)

          親不孝という名の親孝行

          5年患った心臓病のおかげで、母が父の葬式費用に貯めておいた貯金もなくなった。 父の葬式費用を私が返済するまで、死んでは駄目だと父に言った。 父は余裕の笑みで100歳まで生きる  と言っていた。あと20年あればなんとか返せるだろう。親不孝行者の自分のできることは、サッサと金を貯めることだ。 お菓子も酒もみんなやめた。 もう父には時間がない。長い間、半身不随だった為に肉が腐り、掻きむしると身がえぐれてしまう。 生きながら体が腐る。どれだけ辛いだろう。父の年金がなければ

          親不孝という名の親孝行

          40歳の思春期(2016年8月5日)

          40歳。 それはとても残酷な年齢のように思える。ようやく20、30代で確立した自分の生き方や価値観を、体の老いに伴って手放して、新しい生き方を模索しなければならない頃だからだ。 あるいは、もうすでに一度は夢をかなえた成功体験も積んでいる人もいるだろう。 それゆえに、もう若いときのようにがむしゃらに1つの事だけ打ち込みさえすれば満足することがなく、代わりにバランスよくいろんなものが見えてきて、自分の欠損部分が妙に冷静に見えてしまう年代でもあると思う。 40代は中年の思春期

          40歳の思春期(2016年8月5日)

          本当に欲しかったもの(2016年8月17日)

          2016年に電撃結婚するとツイッターで公表してしまった私。 気付くと8月に入っており、そろそろ出会う気配すらない毎日に焦り始める。 8月はこれで最後にしようと思って8月最初の週にお見合いパーティに行く予約を入れた。 その晩、夢を見た。犬にキスされる夢だ。その犬は人間みたいに大きな犬で、犬臭かった。 「なあ、きの、キスしてくれよ」 とその犬は言って、自分からキスしてきたのである。 夢占いで調べると、それは異性の現れる暗示で、犬臭かったことは、相手を疎ましく思うくらい

          本当に欲しかったもの(2016年8月17日)

          暗示と失恋(2016年10月4日)

          8月に暗示的な恋愛の終わる夢を見てから1か月近く。 驚くほど私たちは空回りをし始めた。 心がちっとも通いあわない。セックスと食事だけが彼との全て。 彼は話を聞くふりとして、ちっとも内容を理解しておらず。 私は8月の予知夢を無視して、自分の見たいものだけを見ようとした。 自分の考えは心配性な自分の杞憂に過ぎないのだと思いたかった。 9月に実家に帰省をしたときに、私は夢を見た。 ご先祖を名乗る人が現れて、 「あなたには子供ができない」 と言った。 お彼岸のときに見た夢だか

          暗示と失恋(2016年10月4日)