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21日から23日までのひとり旅(3日目)

実家エリアに戻ってきたはいいが、どうしてもそのまま家に帰りたくなくて、展望台でまたひと眠りした。バケツをひっくり返したみたいな雨が降った。朝起きると、二日酔いで死にそうになっているのにお茶がない。自販機もない。急いで山を下りて、講演でいろはすの桃味を買った。

うめぇええええええええええええええええええええ

身体がそう叫んでいた。黄色い胃液まで吐きかけていたのに、この神の水は一体何者がもたらしたのじゃと言いたくなってしまった。

 そこで美味しいジュースを飲んでようやく家に帰る気になった。

 家に帰って「ただいま」と言ったけど、母は無言で私の朝ごはんを作ってくれた。モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』の最後のシーンを思い出していた。

母に叱られて眠ってしまった主人公は、かいじゅうたちのいる世界に冒険に出かけたあと、いつの間にか自分の寝室にいて、ママのご飯のあたたかさに気づく。

私もご飯を食べて、その日は1日中ぐっすりと眠ってしまった。

旅は人に力を与え、気づかせてくれる。戻れる場所と人がいることを。そんな当たり前のありがたさを。