Liko

鑑賞の記録。アートの記録。音楽の記録。踊りの記録。 何だこれは・・・!?という感じの作…

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鑑賞の記録。アートの記録。音楽の記録。踊りの記録。 何だこれは・・・!?という感じの作品にもっともっと出会いたい。

最近の記事

アフリカから茶の都・静岡へ

ふじのくに⇆せかい演劇祭2024 「マミ・ワタと大きな瓢箪」  アフリカ、伝統舞踊、バレエ、そしてコンテンポラリー・ダンス……  5月5日・こどもの日に静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)の交流ホールで上演された「マミ・ワタと大きな瓢箪」は、たった40分間で根本的な、踊ることの楽しさ(というとなんだか体育の時間の「この授業の目標」みたいな感じになってしまう気がするけど)と、言語を学ぶという以前の異文化交流を魅せてくれた。  演出・振付・出演は2010年から

    • 小説のちから

      川端康成の『女であること』読んだ。 女の美しさ さかえの男の子みたいな美しさ、死刑囚の父を持つ妙子の陰のある美しさ、さかえと光一のダンスホールでの描写の美しさ、妙子と有田の恋愛の美しさ、妙子と千代子の友情の美しさ、市子と佐山、市子と清野の関係、さかえの母・音子の中年を過ぎた女性の美しさ… 前半は特に、女の多様な美しさが、巧みな文章と物語展開でとてもこまやかに表現されていて、ひとつひとつじっくり読んだ…。読むの時間がかかった。 映像では表現しにくい繊細な美しさが描写されて

      • わたしはまだプラスティック・ラヴ から卒業できそうにない

        ~令和の20代女のPlastic Loveに関する個人的思い出~  アルバム「VARIETY」40周年おめでとうございます。  このなかの、「プラスティック・ラヴ」は、少なくとも40回以上は聴いていると思う。  私が最初にこの曲を知ったのは、Wechatでだった。大学生だった2018年の冬、北海道で一か月アルバイトしたときに、中国の南寧出身の、日本語を勉強していた同い年の女の子と仲良くなり、休日は洞爺湖などに遊びに行った。その子が中国に帰るときにWechatで連絡先を交換

        • 言葉の裏、制度と制度とのはざまで

           映画版の「ある男」観た。音楽がけっこうゾクっとして怖さがあった。  『マチネの終わりに』を読んだときは"過去は変えられる"という平野啓一郎の書いていることがなんとなくわかった気で実際よくわかっていなかったと気づいた(まあ難しいことは置いといて、この小説は結構好きです!)。  「ある男」では、なるほどそういうことか?と自分流に理解した。窪田正孝が演じる"谷口大祐"が実は過去に2度名前を変えていて、なぜ変えたのかは自分の育ちという過去を変えたかったから、かもと思ったから。

        アフリカから茶の都・静岡へ

          記録と記憶

          「ジャワ舞踊からジャワ舞踊へ」3月10日@名古屋西念寺 の感想 ジャワ舞踊を初めて踊ってみました。 わたしは昔から物事が長続きしない人で、 今回もなぜ突然ジャワ舞踊なのか、そして、長く続ける気はあるのか というのは自分でもよくわからないのですが、 ひとまず、とにかく、というかいま現在、わたしはコンテンポラリー・ダンスに伝統舞踊(とくにガムランをはじめとする南洋音楽)に福祉という領域に興味を持っていて(基本的にいろんなジャンルを分けたくはないのですが…。あと、わたしの昔か

          記録と記憶

          最近読んだ小説 ・『月と六ペンス』   生まれた場所ではない世界のどこかに、自分の居場所があるのかもしれないと思って旅をしてみたいと思った。 ・『変身』 ドキュメンタリー映画の「へんしんっ!」を観た後、そういえば小説の方読んだことなかったので読んでみた。

          最近読んだ小説 ・『月と六ペンス』   生まれた場所ではない世界のどこかに、自分の居場所があるのかもしれないと思って旅をしてみたいと思った。 ・『変身』 ドキュメンタリー映画の「へんしんっ!」を観た後、そういえば小説の方読んだことなかったので読んでみた。

          「Story of My Wife」 ヤバい… 映像綺麗✨ レア・セドゥやっぱりステキ! ヤコブ、リジーに翻弄されすぎな気がした。 夫婦って不思議だ…

          「Story of My Wife」 ヤバい… 映像綺麗✨ レア・セドゥやっぱりステキ! ヤコブ、リジーに翻弄されすぎな気がした。 夫婦って不思議だ…

          YPAM2023フリンジ参加企画『かきあげざれば、時。』

          12/3(日)13:30~ @横浜・黄金町 八番館   初めて観るタイプの作品だった。  公演前に戯曲を購入して読んだ。たけしまちという架空の街を舞台に群像劇のようにいろいろな人が日々の生活を送る一部分を描いている。    2名の出演者のうちの飯塚大周さんは、柿の木とその柿の木が生えた土地(資産)、そして柿の実は誰のものかという言い争いを書いたという。  また、作品そのものの創作プロセスと権利について文章で説明してもらった。  戯曲を俳優が書くことで、作品を俳優が「資産

          YPAM2023フリンジ参加企画『かきあげざれば、時。』

          「ねじまき鳥クロニクル」でもう一つ思ったこと! 「鳥」なのに上に上がらず井戸の底(下)にもぐってる!

          「ねじまき鳥クロニクル」でもう一つ思ったこと! 「鳥」なのに上に上がらず井戸の底(下)にもぐってる!

          世界のねじを巻きに来た・・・・・・・ねじまき鳥クロニクル

          綿谷ノボルと岡田クミコの血縁のつながりと、 岡田トオルとクミコ、そしてあらゆる時代の水のつながり 原作を読んだとき(2,3回は読んでる)には、加納姉妹の姉の加納マルタが水で有名なマルタ島で修行をし、”水”に関する超能力的な力を持っているという小説の中の事実のみ考えていた。 物語が展開するキーパーソンが何人かいる。その一人加納マルタは、 赤い服に赤いビニールの帽子をかぶっていながら、 水の超能力者である。 今回舞台で実際の加納マルタを観たことで、水(青)と血縁(赤)の対比が見

          世界のねじを巻きに来た・・・・・・・ねじまき鳥クロニクル

          アップデイトダンスNo.99「ワルツ」 アパラタス版

          そもそも、わたしがこの作品を観たいと思ったきっかけは、山岸涼子先生の漫画作品『舞姫 テレプシコーラ』にあった。 バレリーナというか、コレオグラファーとなる少女の物語である。バレエやバレエ業界の知識はもちろん、漫画作品自体のストーリーももの哀しく、それでいて絵がとてもきれいで読みごたえがある。わたしはほぼリアルタイムでこれまで何度となくこの作品を読んできた。第2部では、高校生となった主人公が、ローザンヌ国際バレエコンクールに出場する。コンクール開催期間中のレッスン審査の場面を

          アップデイトダンスNo.99「ワルツ」 アパラタス版

          ≪感想≫トリプルビル 目覚めの前のエクリチュール

          2023年9月17日、愛知県芸術劇場小ホールでコンテンポラリー・ダンス公演「トリプルビル 目覚めの前のエクリチュール」を観てきました。その感想を書きました。 1作目 Night Shades  私はこの作品をみて、ストーリーをざっくりとしか見出せなかった。 最初は屋久島の壮大な自然を表しているのかなと漠然と思っていた。それがやがて、人間と自然が対になって…という風に捉えた。  ただ、あー!これは!と思ったのは、“影“の存在についてである。わたしは今の今まで"shades

          ≪感想≫トリプルビル 目覚めの前のエクリチュール

          しあわせへのはじまり

          福島・猪苗代町 旅日記 8/18~20にかけて、福島県の猪苗代町に行ってきた。 目的は、はじまりの美術館に行くこと。 福祉とアートが同居する空間に行ってみたかったのである。 コンセプトはじまりの美術館|福島県耶麻郡猪苗代町 (hajimari-ac.com) 結論から言うと、行ってよかった。 旅に出たことで、インスピレーションを得た、気がする。 具体的にどんな経験をしたかレポートします。 猪苗代町で出会った人々 そもそも、わたしがはじまりの美術館を知ったきっかけは、

          しあわせへのはじまり

          やさしくなるには…やさしくなりたい

          静岡県三島市の三島信用金庫4階にある「さんしんギャラリー 善」で18日まで開催されている「ねむの木のこどもたちとまり子美術展」に行ってきた。 noteを始めてからわたしは結構 "アート"とか"福祉”とか"心理"とかに興味あるとか勉強したい と書いたりしてきたけれど、 そういう肩書とか分野以前に ひとにやさしくなりたい と思った。 宮城まり子さんについて詳しく知らなかったが、展示を観ている中で、 こどもたちが宮城まり子さんのことをほんとうのお母さんと思って 慕っていたこ

          やさしくなるには…やさしくなりたい

          ダンスが伝える、ヴァナキュラー・モダン

          新国立劇場・Rain雨に支配される人々 雨がしとしと降るどんよりとした風景が、写真のような舞台装置で場面に応じて様々なかたちでセットされていた。その"雨"の元にダンサーが踊る様子が、雨が、言葉や論理で表せない見えない大きな力で登場人物を支配していた。 雨の音をあらわす音楽は大音量だった。わたしは原作のサマセット・モームの短編『雨』を読んだとき、じとじと降る雨の様子を想像していたから、小規模なお話だと思っていた。そのため舞台を観た当初は、こんなに大音量でなくても良いのではな

          ダンスが伝える、ヴァナキュラー・モダン

          ルパン三世 カリオストロの城

           この作品を観たのは2回目だった。  1回目はアマゾンプライムビデオで、  2回目はホールのスクリーンで 観た。 迫力満点にしてくれる"音" 当たり前だが、スクリーンで観ると画面の大きさや音の質が良かった。 例えば、侍が刀で何かを切る音や、 すでに日常で耳にしていてなじみのあった「炎のたからもの」などは、 低音やメロディライン以外の弦楽器と思われる音もしっかり聞こえ、 すべての音が総合的にバランスよく合わさって迫力満点だった。 より一つ一つの場面に臨場感やスリルを味わ

          ルパン三世 カリオストロの城