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戦場

留学支援事業をしている経営者から最近の留学事情について話しを伺った。

コロナ前は学生向けを主体として留学支援をしていたが、最近は法人向けの留学支援が多くなってきているとのこと。理由は、そもそも学生の留学数自体が減少傾向にある中、商社や金融や不動産など主に上場企業に勤務する35歳までの人材に対して企業側が積極的に海外留学を促しているというのだ。
確かに大手企業は、日本の経済圏だけではなく海外商圏も視野に入れているので必然的な動きである。

内容的には、海外赴任前に4~8週間ほどめっちゃ細かくスケジュールされた海外のビジネススクールに通う。留学費用は会社負担で、500万以上費用が発生することも。留学中は給料も発生しているし、旅行気分では期待された成果を習得することもできないだろう。そして、その期待値を満たさなければ『オマエに時間も金も使って、何しに行ってたんだよ』という目が向けられるのは間違いねぇっす。

では、会社側はどのような人に”時間もお金”も使って留学してもらうのか?
ひと言で表せば『選ばれし優秀な人』が該当する。
海外支店に赴任したり、海外プロジェクトに携わるということは、外国語スキルが備わっていることは前提条件で、国外で「成果を挙げてこい!」と企業から送り込まれた選ばれし者。

会社に仕事をする目的を教えてもらい頑張る理由まで用意してもらって
会社がモチベーションをあげてくれなければ頑張れないとか
給料をもらっているのに頑張るかどうかは自分で決めるとか
こんな勘違いヤローは選ばれることはない。

組織の中で『時間とお金を費やしてでも育てたいと思われる人』にならなければ、短期留学のチャンスは巡ってこない。言わば一つの”出世コース”ということだろう。
だだし、これはその会社内に限ってのこと。競い合うのは社内の人間だけではないんです。
先ほどのビジネススクールは、日本人だけではなく世界各国の各企業の優秀な人材達が集まる学びの場所となる。会社に長く勤めているとか役職者ですというのは組織内だけのことで、一歩外に出れば人間性を見抜かれ嫌でも職業人として格付けされます。
なので、組織内で偉そうにできる立場だったり、地位や立場に満足している人は、居心地の良い自分が属している組織の基準で仕事をしているだけであって、他流試合ではその常識が通用しなかったり驚かさせることもある。

最近の留学事情から、企業側が人的資本に対しどれくらい重要視をしているか再認識した。

そして、重要なことは【人材開発】と【人材育成】は切り離して考えなければ、資源の有効活用に繋がらないということだ。

【人材開発】とは、『選ばれし優秀な人』を決定すること。
公金を使っている義務教育は、全員に同じ教科書を使って教育をする。
点数が良い子にも勉強が嫌いな子にも生活態度が良い子にも悪い子にも。
公金ではない会社の場合はそんなことしてられないんですよね。
企業は限られた”時間とお金”の資源を誰に使うのか? これが重要です。

【人材育成】とは、『何のスキルを習得させるか&その習得方法』を決定すること。
OJTやOFF-JTを指します。
新入社員⇒ビジネスマナー研修 管理職⇒マネジメント研修
こんな感じですね。

誰を対象にするのか?⇒どのような内容を実践するのか?
この順番を守る必要がある。

家庭だと血のつながりがあるので仕事とは違いがありますが、こんな感じでしょう。
子供が3人いる家庭で、その中の1人が人を助けたりする優しい気持ちがあり、血を見ることに抵抗もなく医療系や病院ドラマが好きで、興味があることには自発的に知識を得る子がいたとします。だけど、金勘定や投資などのファイナンス系はどうやら苦手な様子。
将来何をしようかな~って年頃の時に、この子の適正を考慮し親が『看護師や薬剤師を目指してみたらどうだろう?』と考えるのが【人材開発】

看護学校や薬科大学へ進学し、仕事に就く課題をクリアしていく道のりが【人材育成】

こう見ると”目指すべき方向性”って、とても重要な気がしますよね。

とりあえず安定した職種を目指すや、とりあえず良い学校に行く。。。
もアリでしょうけど、いずれ『どうするの?? どうしたいの??』という壁にブチ当たります。

「何を勉強したらいいかわからないよ~」って人は、世の中の流れが参考になるかもしれない。
文部科学省はデジタル教育の拠点となる高校を『DXハイスクール』として、大学の理系学部への進学者を2万人増やすと発表。理由は、2030年に約79万人デジタル人材が不足すると予測されており、今後の成長分野を支える人材の裾野を広げるため。
男女雇用機会均等法の施行から25年余がたった現在でも、企業や大学で働く女性の研究者や技術者は少ない。理系女子を指す『リケジョ』という言葉があるが、その学生数が少数派なので当然の結果だろう。人口減少社会を迎え国際競争から取り残されないように国も企業も『リケジョ』支援&獲得に取り組み始めている。

このような情報をキャッチすると、学生から就職するまで支援されているということは需要が見込める分野と推測でき、その期待される領域を狙うのも一つの手段となる。

そして、、、忘れてならないのは社会人となっても常に戦いの場に身を置いている。
戦う相手は人間だけではない時代に突入し、言われたことをキッチリ言われた通りだけをやるのはAIやロボットの方が勝っている。作業する時間も問われず、文句も言わず、ムラのない作業を疲れることも病気することもなく淡々とこなす。

目に見えないライバルは至る所にいる。
どのような武器と防具を備えるのか。
いつでも戦える状態にしておくために、自己開発に終わりはない。

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