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謎と不思議たち

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理解出来ないことを理解しようと、沢山のことを考えて来たけれど、唯葛藤しただけだったのかも知れない。でも、読み返してみても、やっぱり〝変〟だったと思うことばかり。本当は私が一番変な…
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#嫁

嫁という存在⑧

 私に弟と妹が居ることは既に書いたが、我が家でまともに結婚しているのは弟だけである。依って、私や母、そして妹にとって〝お嫁さん〟と呼ぶに値する人物が一人は居ることになる。
 妹は家を出ているが、小姑の私がいつまでも実家に居座っていることもあり、現状から考えると、我が家の嫁姑が同居することは今の段階では考えにくい。現状だと、親の介護問題は弟夫婦ではなく、私に降りかかってくることになりそうでもある。漠

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嫁という存在⑥

 祖母の認知症状は急ピッチで進み、叔父からの電話が鳴る度、母の表情は曇るようになっていった。植えたばかりの大根の苗を片っ端から抜いて行ったとか、風呂を空焚きして危うくボヤが出るところだったとか、いかに問題行動が多いかという訴えが続く。そして最後には「施設に入れることも考えないかん」という話へ向かう。しかし施設に空きはなく、空きのあるところへ入れようと思えば金がかかる。祖母の年金だけでは足りない。要

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嫁という存在③

 この年の一件から、冬子さんの私に対する態度は、以前にも増して厳しいものになって行った。元々、話しどころか挨拶すらしない人であったが、夏の帰省で田舎に帰る度、私を露骨に無視するようになった。
 我が妹は、冬子さんの長女と幼い頃から非常に仲が良い。家とは違って他人に対して人当たりが良く、昔から大人に可愛がられるタイプの妹は、私や母の苦手意識をうっとおしがった。又、外面だけは良い我が弟も同じで、私や母

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嫁という存在②

 母の実家である自宅に戻ると、冬子さんが台所で夕飯の支度をしていた。
 訪問しても挨拶ひとつしない人であるが、季節外れに一人でやって来ていながら、泊めてもらうのに黙っているのもおかしいので、私は祖母と共にこの叔母の元へ行き、「お世話になります」と頭を下げた。
 相変わらず愛想のない人であったが、今夜は祖父が戻らないこともあり、祖母と共に今日の報告をする。料理の手も止めず、聞いているのかいないのかわ

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