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点字で漫画が読めるようになったら読みたい物

 数日前の朝、何気なくメールチェックをしていた時、その情報を見つけた。
 どうやらここ大阪で、この7月から漫画の専門点訳コースの受講者募集が開始されるそうだ。
 ちなみにその講習会の主催は、なんと私が今いる施設の他部署である。さすが視覚障碍者福祉の最先端を行っていると言われている施設である。

 ついにそのような講習会を開いてくれるのかー!そのメールを読んだ時、率直にそう思った。
 というのも、生まれつき全盲の私は、子供の頃から自分だけが漫画を読めないことに、ずっと寂しさと憤りを覚えていたからだ。漫画が読める健常者の姉や妹がずるいとさえ思ったほどだった。
 ちなみに小説やエッセイなら点字でも読むことができた。しかし私が子供の頃は、1部の児童書や純文学が主で、エッセイも売れている本しか点訳されていなかった。
 今のように若者向けのライトノベルや、芸能人のエッセイが点字でも読めるようになったのは、たぶんここ10年ぐらいだと思う。
 そんなわけで、私が子供の頃、および少女時代には、漫画も含めて自分が本当に読みたいと思う本を点字で読むことがあまりできなかった。
 それでも点字での読書が好きだった私は、盲学校を卒業したら点字に携わる仕事をして、最終的には漫画や若者向けの本を点訳や音訳する事業所を立ち上げたいと、かなり本気で考えていた。視覚障碍者でも、自分が読みたいと思う本を、もっと自由に読めるようになってくれればいいのにと何度となく思わされてきたからだ。
 その夢を果たすべく、盲学校を卒業してから、とあるところで点字の触読校正(しょくどくこうせい)の仕事をさせてもらっていたのだが、結局いろいろあって、その夢を捨ててしまうことになるのだが…。

 だから漫画の点訳講習会が開催されると知った時はとても嬉しかった。
 あくまでもこれは個人的に思うことなのだが、ここ最近点訳本の製作数が少なくなってきているように感じている。そんな中で漫画の点訳者の講習会を始めようとしているのだ。
 まだまだ点字には明るい未来がある!そう思えてきて、期待と同時に何だかほっとした気持ちにもなるのだった。

 ところでこれから点字でも漫画が読めるようになるのなら、どうしても読みたいジャンルがある。
 それはずばりボーイズラブと百合作品である。
 じつは20代前半の頃から、ひょんなことからボーイズラブや百合という物に密に興味を持つようになった。しかし小説でもそれらのジャンルの点訳本はまだまだ数が少なくて読めないのだ。
 ボーイズラブや百合はあまり知られていないどころか、好き嫌いがはっきり別れるジャンルでもある。だから点訳者さんの中には、戸惑いや抵抗感を覚える方も多いかもしれない。
 それでもボーイズラブや百合を読みたいと思う視覚障碍者もこの世に一人は居るはずなのだ。
 漫画の点訳者講習会にはそういったジャンルの開拓にも期待したいところである。

 ちなみに3年前に出版した私の第1詩集『世界と繋がり合えるなら』も、点訳本でも音訳本でも読むことができます。詳しくはインターネットのサピエ図書館で検索するか、最寄の点字図書館にお問い合わせしてみてください。
 あっ、もちろん書店やアマゾンなどでもお買い求めできますよ。♪
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