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ラスボスとデート

どうしても子どもの通院付き添いに支援者を頼まざるを得なかった。

今まで付き添ってくれていた事業所には、制度が変わったことで使えないと言われた。

あちこちの事業者に打診したが、同じ理由で断られた。

もう仕方ない。

主要事業所A社のケアマネにお願いした。
「社長以外でお願いしたい」と。
社長はなぜか家に執着していて気味が悪いのだ。

しかしやはり社長以外は無理だとのこと。

覚悟を決めた。

先週も喧喧諤諤でやりあったが一向に意に介していない様子。
矛盾点や嘘を問いただしても「わからない、聞いていない」とその場しのぎでやり過ごす。

もう正攻法で行くのは無理だと思った。
障がい者介護は事業者も少なく、問題があっても保護してくれる役所はない。

それでも切実に必要なのだ。

通院先までバスや電車を乗り継いで行く。
愛想笑いや冗談で場を和ませる。

そして現在私がやりたいこと、できないこと、困っていることを伝えた。


たまにジャブや牽制も散りばめる。

女性団体に入っていること(バカってフェミニストが嫌いじゃん?)。

調停や裁判を同時進行で続けていること(巻き込まれたら嫌)。

政治の話を熱く語る(面倒くさい)。

「今日はD事業者さんが、予約時間を朝イチに変更できたら入ってくれると言って下さってたんですけど、変更できなかったんですよ。
だから、Aさんが入って下さってとても助かりました。
ありがとうございました(他の男性を褒められるのがイヤ)」

A「次の予約っていつなんですか?」

私「半年後だから10月です。今日帰りに予約取ります」

A「ぜひ次回も自分にやらせて下さい!」

私「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」

帰り道、次回予約日を聞かれたので答えた。

A「じゃあ、その日に予定入れときます!今すぐサービス責任者(Bさん)に連絡します!良いですか?」

私「はい。(今日明日の予定も捻じ曲げて来たくせに何言ってんの?)」


トドメに「毎日入ってくださる担当者はSさん(女性)がいいです」
と言った。

この人は男性に強く嫉妬心を抱く。
自分がいつも一番でいたいのだ。
だから本音ではないが、この一言で落ちると思った。

A社長の目がみるみる穏やかになった。

そしてサービス時間を増やしてくれる話が進んだ。


女手一つで子どもを育ててきたから、痛いほど分かっている。

ここまで上手く立ち回らないと誰も助けてくれないのだ。
一々疲れる。
私がガチムチオッサンだったらこんな目に遭わないだろうな、と思う。

でも諦めたら、一生何もできない。
やるしかない。

とりあえず突破できた。

ここから様々な妨害が入ることもあるだろう。

3歩進んで2歩下がる。

それでも私の経験値は3歩進んでいるんだよ。


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