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【工作】運命の出会いに備えるため『天井から落ちてくる女の子』を作った


こんにちは、きどあいらくです。

突然ですがみなさんは、アニメのような出会いをしたことがありますか?


「親の再婚で義妹が!?」とか、「パンをくわえた女の子と!?」とか、「助けた猫が人間の姿に!?」とか、「異世界転生チートでハーレム!?」とか「白馬に乗った王子様が!?」とか。


……そんな妄想を毎晩のように膨らせ、現実世界での孤独を誤魔化している僕ですが、ずっと憧れているシチュエーションがあります。


それがこちら。



僕はボロアパートの1階に住み、2階には舞台女優志望の可愛い女の子。引越しの挨拶以来、接点が無かった2人。再び出会った場所は、薄暗い灯りの、穴と埃の積もった舞台の上(僕の部屋)。


そして始まる共同生活。やがて恋にも落ちたり落ちなかったり!?


……のアレです。

現実でそんな状況に遭遇したら、たいていの人は混乱して、慌てふためくでしょうが、長年の孤独生活のおかげで恐怖という感情が無くなった僕には問題ありません。

むしろ、いつ落ちてきてもいいように、ぼろいアパートに住んでいるし、加湿器と霧吹きで天井を湿らせているほどです。


……ですが何年住んでも天井に穴はあかないし、女の子も落ちてきません。(そもそも2階にはパンクロックドラマーらしき人が住んでいて夜な夜なパココパココと練習パッドの音がする)

「どうやら僕は主人公じゃないらしい」そう思い始めた矢先、僕は一つの考えにたどり着きました。



ということで今回は、日ごろ膨らませ過ぎた妄想の一つを実現し、落ちてきた女の子との共同生活を疑似体験するため……


長く、独り暮らしを続けてしまっているせいか、僕には何が正しいことなのかわかりませんので、僕がおかしくなっちまっているようでしたら止めてください。

それでは早速取りかかりましょう。



効率よく落下女を作るために、設計図を用意しました。

天井に穴をあけるわけにはいきませんので、穴に見せかけた板から女の子を吊るす、といった構想です。

それではまず、美女(落ちてくるなら美少女)を作りたいと思います。

今回の「天井から落ちてくる女の子」を作るにあたって、上半身は必要ありませんが、よりリアルを追求するため、顔を作ります。


そんなわけで、軽くて扱いやすい発泡スチロール製のマネキンを購入してみました。


すでに立体的なお顔が付いていますが、理想(好み)の女性に仕上げるため、紙粘土で補強していきます。

ちなみに、僕の理想とするお顔は、イギリスのファッションモデル兼俳優のカーラデルヴィーニュです。彼女を目標に練り込んでいくつもりです。


肌の質感を再現するために、白い紙粘土に赤、黄、うすだいだいの絵の具を混ぜ込み、着色していきます。


こねて丸めて重ねて伸ばしてまたこねる、を繰り返し、思い描く彼女の雰囲気に近づくまで、少しずつ色を調整していきます。


ちなみに、色彩心理学において赤色は「情熱」黄色は「幸せ」うすだいだい色は「母性」を感じさせるそうです。

僕が彼女に込めたいのは、あらゆる意味における「包容力」ですので、うすだいだいを多めに使うことにします。


こんな感じになりました。

色が決まりましたら、マネキンに貼り付け、形成していきます。




鼻筋はまっすぐと通り、美しく気品が漂うように。口は少し大きめで唇に厚みをもたせます。全体的に優しくふんわりとした印象にするために、丸みをもたせます。眉は少し太くして「お姉さん」という印象を強めます。


……良し。


スリップノットの新メンバーかい!デッドバイデイライトの不人気キラーかい!修道士のアイデンティティ貫いてるんかい!……

などと、ひとりで騒ぎながら楽しく作ることができました。


大まかな顔の形ができたところで、フリマアプリで購入した人形用の目を埋め込みます。


……思っていたより小さなものでしたが、幸いにも残っていた白い紙粘土で、足りない白目部分を補ってやります。


同時進行で、肌をなめらかにしようとしましたが、紙粘土が固まってきたせいなのか、ただれ落ちてしまいました。

水で渇きを潤すことで、事なきを得ましたが、たとえどんな姿になったとしても、彼女の美しさが欠けることはありません



Gorgeous!


目を入れるだけで一気に人間らしさが溢れる、雄大な仕上りになりました。




魅力のあまり、僕は、目を合わせることができません。


顔を乾かしている間、下半身作りに取り掛かりたいと思います。

使用するのは、こちらです。


家を失ったジャムザハウスネイルではありません。


漂白脱水した宇宙恐竜ゼットンでもありません。


膨らませて使用するエアーマネキンです。

ヒップラインを忠実再現!メリハリのある綺麗な曲線美!と、商品説明欄に書いてあったので買いました。まさに、言葉通りで今回にぴったりの商品です。

このマネキンには、出来る限りの空気を吹き込み、あえて肉感的な体つきになってもらいました。

ちなみに、お尻は、


こんな感じになってま~す。


世の女性が部屋着として愛用、且つ、男ってこういうの好きだよねと女性が思っているであろうショートパンツを履かせておきましょう。


脚を買いました。


何かの手違いか注文ミスか、右脚が2本届いてしまいました。僕はどちらかというと左脚が好きなので、非常に残念です。


ふかふかのルームシューズを履かせて、女の子度数を上げておきましょう。


さあ、続きましては、天井の穴部分の制作に取り掛かりたいと思います。

天井の真ん中に穴を作りたかったのですが、蛍光灯が備えついていたため、仕方ないですが赤丸の箇所に作りたいと思います。

結論から言いますと、今回この妥協点が、唯一の心残りであります。


設計図の通りに、黒プラスチック板を土台とし、天井っぽいシートを貼り付けます。


茶色シートをカッターで丸い形に切り、壊れてできた穴、のような施しをしたら……


こんな感じで、女の子が落ちてくる天井の穴の完成です。


さて、天井への固定ですが、ダイソー商品の天井専用天デコフックを使います。

女の子を吊るすために作られた商品だと言ってもいいでしょう。ま、さ、に、今回にぴったりの商品です。助かります。


くっ付かずに失敗する、などというもしもの事があったら困りますので、この姿勢の状態で24時間押さえ続けます


次の日。

黒プラ板に、ひもを通すための穴を開ける作業から始めます。自宅に穴を開ける、例えば、錐(きり)のような道具が無かったので、部屋にあった棒(たくと)を用います。


ここでもう一度、設計図を確認しておきましょう。


……順調です。


ひもには、アクセサリーやチャーム作りに使われる、いわゆるナスカンパーツを通しておきます。そうして、女の子についている輪っかにフックをかけて固定する、というわけです。


……終盤です。

それでは、女の子の顔作りを、完成まで一気にお見せします。


乾燥させた顔に眉毛目元などをメイクアップし、


最後に、つけまつげを付ければ……



できあがりです。


僕が彼女に込めたのは、あらゆる意味における「包容力」です。そのおかげもあり、顔立ちには大人っぽさに加え、さらに、優しさ愛おしさが表れています。

どこか、幼さのある可愛らしさも感じられますね。


プログレッシヴロックの名盤ジャケットかい!腹違いの阿修羅像かい!道に迷うても他人に悟られたくないんかい!……

などと、ひとりでも騒ぎながら楽しく生きています。


そんなことはさておき……美しさには関係のないことですが、僕の好みを考慮しますと、髪のある女性がタイプなので、黒髪のウィッグをかぶせましょう。

そうしてついに……




みなさんのお気持ちを、僕が責任を持って、代弁させていただきます。







ちょっとみなさん、お戯れが過ぎますぞ~~

彼女が怖がってるじゃありませんか。ね、可愛いからって、あんまりからかわないでくださいね。ね!


……それでは早速、彼女には天井から落ちてきていただきましょう。






第1話

ピンポーン、僕の部屋のチャイムが鳴る。

今思えばあれは、恋のゴングだったのかもしれません。

「はい」


ドアを開けると、そこには、可愛い女の子がいました。

「あ、わざわざありがとうございます…」

(かっかわいいいいいいいい)


心の声が胸を突き破って出てきそうでした。

彼女が自己紹介をしてくれていたのですが、僕はその可愛さに見惚れて、もはや話が聞こえていません。それでも彼女は照れくさそうに話を続けてくれるのです。

そこで彼女が下を向く。耳が赤くなっている。可愛い。


「へ、あ、これからもよろしくお願いします!」


「これからもよろしくお願いします!って返しちゃった。告白成功したばかりの二人かよ。なんか、もっと気の利いたこと言えばよかったな…うわ~それに寝癖でぼさぼさ。直しとこ…っていまさら直しても遅いか……」


その日は寝癖を直し、少しソワソワしながら一日を終えました。

それから特に何もなく、1週間が過ぎ、そして、その日は突然やってきました。



「いったい何してる音なの?」


はじめて初瀬さんと会った日の事を思い出しました。

彼女は舞台女優として活躍するため、日々努力しているのです。この騒音は、彼女が部屋で練習している音なのでしょう。

天井を伝わってくる振動が、それを物語っています。


「だとしても、眠るには大きすぎる音だな……」


「可愛いからいっか!」


「どんな役もらってんの?」


「ミシシ???」




「パ、パンッ!?」


「パァアアアアアアアア!?!?」


「ああああああああああああ!?!?」







「ううううぅぅぅわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「へゃあぁああぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」






……ということで第1話の放映が終わりました。いかがでしたでしょうか。

最後のシーンは、主人公にとっての幸せへの出会いであり、僕にとってはある種のカタルシスを感じさせるものでした。

そしてなんと、2話目からもう、彼女との共同生活が始まります!


本放送が映らない地域にお住いのみなさんの為に、こっそりとダイジェストをお見せします。


第2話

空いている部屋がなく、仕方なく僕の部屋で一緒に住むことになった初瀬さん。僕は、女の子と同じ部屋にいるという慣れない環境にドキドキ。そんな状況で僕がとった行動は……


第5話

打ち解けあった二人は背比べをすることに…なんで?? 「ほら、私のほうが背が高いですよ」「いや、背伸びしてるでしょ!」「靴下の厚みじゃないですか~?」……


第8話

花娃良さんが風邪をひいてしまい、時間のある僕は付きっきりで看病をすることに。ソファで眠る僕に花娃良さんは「ありがとう」と、そして……


第11話

最終話 この恋の行方は?無事結ばれることができるのか?二人の出した答えとは?……

結末は是非、ブルーレイを買ってご確認ください!!





ここからは現実です。

……いかがでしたでしょうか。

最後まで長々とよくぞまあお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

もう僕は、何も言うことはありません。大満足です。ただ、家にばらばらのマネキンがある生活はおすすめしません。なぜなら、恐怖を感じてしまうからです。

それでは、会えない時のために、こんにちは、こんばんは、おやすみ。きどあいらくでした。さようなら。


ふぅっ





おまけギャラリー


作品名「鑑賞者」
人間椅子
食人部族の新鮮パーカッションかい
路上から武道館へ行く歌手
明るい部屋での彼女の姿
学祭でお化け屋敷をするクラスに寄付します

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