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健康・美容製品を試して劇的に良くなったなんて話は一度も聞いたことがない

いつ終わるかも分からない不景気も手伝って、物が売れない(買いたいものがない?)時代に感じるようになってきました。その理由は、教育によって消費者に知識が備わり、ちょっとやそっとの騙し文句につられなくなったこと、ネット社会化により情報が得やすくなったことが挙げられると思います。売り手にとっては買い手の判断材料となる知識がないほど売るのが楽でしょう。言い換えれば、消費者はバカな方がいいわけです。

本編とは関係ありませんが、写真は隠岐の島で見かけた寄り添う猫たちです。かわいいですね( ˘ω˘ )

さて、最近流れているテレビCMでは健康・美容製品に含まれる名前をよく耳にします。たとえば、コラーゲン、セサミン、水素(水)などがあります。しかしながら、どんな成分であれ凄い効果があるように見せかけているだけで、劇的に健康なり美容なりが改善されるようなことはないですし、そのような話はテレビの中でしか聞いたことがありません。例に挙げた3つについてちょっと考えて行きましょう。

まずは、コラーゲンから。コラーゲンは美容と健康食品の両面で話題になりましたね。コラーゲンについて調べてみたところ、人体には体重の約6%のコラーゲンが含まれているそうです。50kgの人で言うと3kgほどのコラーゲンを体内に持っている計算です。そうなると、錠剤や食品から摂れるコラーゲンの量はその3kgに対してごくわずかというか、頑張っても誤差レベルの範囲しか摂取できないでしょう。

少し科学的に見ると、コラーゲンは体内に入ると一旦アミノ酸まで分解されてしまうデメリットがあります(そのアミノ酸をまたコラーゲンに再構築するという二度手間なことを体内でやっています)。アミノ酸の代替原料となる肉や魚を食べればそれは解決するので、コラーゲンを直接食べることにこだわる必要はないでしょう。そういうわけで、コラーゲンは健康よりも美容の方に効果が期待できそうなイメージがありますね。

2つめはセサミンです。昔からゴマの健康成分として有名ですよね。これに関しては筆者はテレビCMのすりこみの恐ろしさをひしひしと感じています。なぜなら、別に自分で確かめたわけでもないのに「ゴマは健康に良い」と思いこんでいて最近まで疑いもしなかったからです。10年、20年にもわたって「健康成分セサミン」というイメージをテレビCMを一方的に聞き続けたことで、半ば洗脳されたようになっていました。

ウィキペディアを見てみると、実際にセサミンが医療分野で一定の効果があるということが25年程前の論文で発表されていました。ただ、それ以降はあまり研究の進展がないようです。現在行われているセサミンビジネスはその研究成果を元にして行われているのでしょう。しかしながら、セサミンが健康に与える好影響については調べても良く分からなかったので、筆者はゴマが健康に良いというのはビジネスのためのすりこみでしかないと現在では捉えています。

「特定成分を集中して摂取すればいいことあるかもよ?」と、聞いたことのない会社が宣伝している1分にも満たないCMを目にして、何の疑いもなく「へぇ、そうなんだ」と鵜呑みにしてしまうような消費者が少なからずいるので、先に書いたような健康・美容製品のCMは今後も無くならないだろうと思います。水ですら一度に10リットル以上飲めば命の危険性がでてくる化学物質ですから、何でもほどほどに摂ることが大切だと言えるでしょう。

最後に水素水ですが、水素というのは還元剤として働く(酸化を防いでくれる)ので確かに身体には良い影響があるイメージがあります。が、セサミンと同様にどういったメカニズムで人体に好影響があるのかが不明である以上、手出しするのは少しはばかられます。仮に身体の酸化を防ぐ目的であれば、ポリフェノールやビタミンCなどの代わりとなる成分が他にもあるので、何も水素にこだわる理由はないように感じます。正直なところ、炭酸(二酸化炭素)を水に溶かした炭酸水や炭酸飲料を飲むのと同じように、水素を水に溶かした水素水を飲むだけで効果が期待できるとはとても思えません。

こういう風に筆者が美容・健康製品に対して否定的に見てしまう理由は、大学で化学を専門に学んでいた過去があり、効能よりも先に人体に対する毒性・危険性が頭をよぎるからです。例に挙げた3つだけに限らず、これからも健康・美容成分を謳った商品は世の中に出続けるでしょう。でも、それ自体については悪くは思いません。そのおかげで自分が知らなかったことが知れますし、何より面白いからです。そして、自分の周りに一人でも体験者がいて、本当に効果があったというのであれば是非使ってみようかなとは思いますね。(了)

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