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姫路から、肌着に選択肢を。【ブランドマネージャー・本間光】

今回は、HAKUROのブランドマネージャーである本間光のインタビューです。

1月29日に、HAKUROのオンラインストアをオープンすることができました。昨年12月から今年1月にかけてクラウドファンディングサイト「Makuake」で行った先行予約では、143名の方から約167万円の支援をいただきました。

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HAKUROのコンセプトは「年齢を重ねた肌に、いちばん寄り添う肌着」。女性は35歳を境に、肌質に変化がおとずれると言われています。私たちは、年齢による肌の変化にあわせた、着心地の良い肌着を追求しています。

3月上旬の発送開始を前に、私たちが新ブランドHAKUROを立ち上げた背景にある想い、今後めざすものについて、ブランドマネージャーのことばをお届けします。

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本間光 / 白鷺ニット工業商品部部長、ブランドマネージャー
大学卒業後、白鷺ニット工業に入社。物流センターでの出荷業務ののち、本社で貿易・発注業務を経験。その後、組織改編により新設された商品部の責任者に。現在は商品企画を担当している。

姫路と歩む、創業50年の肌着メーカー

——まず、白鷺ニット工業(以下、白鷺ニット)をご存知ない方に向けて、会社の紹介をお願いします。

白鷺ニットは、1969年に創業された肌着メーカーです。創業当初は腹巻などの防寒物に特化しており、そこから1980年代には中国江蘇省に協力工場を持つなど事業を拡大してきた歴史を持っています。

私たちは、商品の企画開発から工場での生産、自社の物流をつかって店舗へ卸すところまでを一貫して行っています。SS(春夏もの)/AW(秋冬もの)のふたつのシーズンで、春夏秋冬に寄り添う肌着をお客さまにお届けしています。

——白鷺ニットの社員は、姫路の出身者が多いのでしょうか。

そうですね。私が所属している商品部は、ほとんどが姫路出身です。姫路の人は地元愛を持っている人が多い印象があります。私自身も姫路生まれの姫路育ちです。大学は神戸でしたが、姫路から離れたくなくて、片道2時間弱をかけて通学していました。

現在は移転しましたが、私の実家の近くにも白鷺ニットの工場があり、小さい頃から身近な存在でした。それだけ、姫路に密着した企業です。

——HAKUROという名称も地元、姫路への想いが込められていると聞きました。

この名前は姫路城の別名「白鷺(しらさぎ)城」が「はくろ城」とも呼ばれていることに由来します。「はくろ」は姫路市では地名や小中学校の名称などにもあり、親しまれている読み方です。弊社も白鷺(しらさぎ)ニットという名前ですが「はくろニット」と読み間違えられることがときどきあります(笑)。

ブランド名が決まったときには、背筋の伸びる思いがしました。姫路城は、築城以来一度も戦火に見舞われず、地元の誇りとして親しまれています。HAKUROという名称によって、白鷺ニットが姫路発祥であること、そして姫路とのつながりやご縁を大切にしながらブランドを展開していく覚悟を新たにすることができたように思います。商品を通して、愛着のあるこの土地も一緒に広めていきたいです。

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現場で感じた違和感。”着ていただく方目線”のものづくりをめざして

——本間さんが新しいブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

いちばん大きなきっかけは、入社後さまざまな業務を経験するなかで、肌着を着ていただく方の目線に立った「ものづくり」をしたいという気持ちが強まったことです。

白鷺ニットがこれまでつくってきた肌着の、メインの卸し先はスーパーや量販店。お店のニーズに合った価格を実現するためには、機能や形、縫製といった点で取捨選択をしなければならない状況がありました。

しかし、私たちの商品を店頭で手にとってくださる方が全員、安い価格でなければ買わないのかといったら、そうではないはずです。少し値段が高くても、質のいいもの、自分に合ったものを着たいという方もいらっしゃいます。私たちが値段に見合った価値を提供できれば、そうしたお客さまにも受け入れていただけるはずだと思っています。

価格を気にせずに好きなものを作りたいというわけではありません。ほしい機能を兼ね備えながら、適正価格でお届けするということを大事にしていきたいです。

——これまで量販店への卸売りが中心だったとのことですが、HAKUROはオンラインストアでの販売です。

HAKUROは私たちメーカーから、直接お客さまに商品をお届けするD2Cブランドとして立ち上げました。現時点では店舗を介さず、オンラインのみで販売しています。

オンラインでの販売は、これまでも大手ECサイトを使って行ってきましたが、EC事業を開始したのが遅かったことや、人員不足などで、充分な商品点数を展開できていませんでした。

アパレル市場におけるEC化率は年々上昇しています。最近は店舗で商品を見てから、オンラインストアで購入する方も多いですよね。弊社では、オンラインにおけるお客さまとの接点をあまり持てておらず、そうした状況への危機感がありました。

——将来を見据えて、自社のチャネルも持つ必要性を感じたということですね。

弊社の商品は全国の量販店でお取扱いをいただいていますが、「白鷺ニットだから」と会社名を見て買ってくださっている方はほとんどいないのが現状です。会社の知名度や商品のブランディングを向上させていかないと、生き残っていけないのではないかという気持ちも増していました。

もちろん、ECへの注力にはポジティブな要素もあります。白鷺ニットの売り上げにおいてECが占める割合は年々倍増していますし、直接お客さまに販売することに手応えも感じ始めています。本格的に体制を作るならいまだという期待感もありました。

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「人生に寄り添う肌着」に込めた想い

——HAKUROの「人生に寄り添う肌着」という言葉に込めた想いを教えてください。

肌着は、肌に直接触れるものです。ざらざらした触り心地だと、一日中不快感を感じることになりかねません。逆に肌ざわりがよく、機能性にすぐれたものであれば、一日を快適にすごすことができるはずです。
 
「良い肌着」を着ることで、まずひとりでも多くの方にそういう体験をしてほしいと思っています。また、年齢やライフスタイルによって、適している肌着も違うと考えています。今回HAKUROがターゲットとしているのは、35歳という転換期を迎えた女性です。
 
35歳ごろを境に、肌や身体の変化が起こりはじめると言われています。私自身はまだ35歳に達していないのですが、年齢を重ねるごとに、肌や身体の悩みが変わってくるのを実感しています。そんな悩みや変化に寄り添って、一緒に歳を重ねていくイメージを「人生に寄り添う」ということばに重ねています。

——ブランドとして、今後大事にしていきたいことはなんでしょうか? 

「人生に寄り添う」ことを考えたとき、肌着の素材や仕様を妥協せず、追求していきたいと思っています。HAKUROの最初のアイテムである「コットン・ガーゼ」と「コットン・リブ」は、ともに綿100%です。天然繊維のなかでも特に肌にやさしい綿素材を使っています。繊細な生地をつくるために、生産管理の行き届いた国内工場での生産にもこだわります。

合成繊維や化学繊維を使用してはいけないと思っているわけではありません。あくまで、用途や肌質にあった使い分けが大切です。HAKUROでも、綿以外の素材も使った、それぞれの悩みやニーズにあわせた肌着をつくっていきたいと考えています。

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左から「コットン・ガーゼ」、「コットン・リブ」

——特定の種類の肌着や素材が悪いというわけではなく、そもそもの選択肢が少ないという問題意識なのでしょうか。

いまも肌着の選択肢はあると思います。ただ、その人やシーンに合った肌着はどんな素材や編み方がいいのか、といった情報に触れる機会が少ないと感じています。だから、適切な肌着選びをするのが難しい。「肌のことを考えて肌着を選ぶ」大切さを広めていきたいんです。

——クラウドファンディングでは、143名の方から約167万円の支援が集まりました。いまの気持ちを教えてください。

まだお客さまの手元にお届けできていないので、正直いまは不安な気持ちも大きいです。しかし、支援いただいた方から「年を重ねるごとにお肌のトラブルが増えてきていて、国産で肌ざわりが良いインナーを探していました」「長年、肌の乾燥に悩まされています。この肌着で改善されればと期待しています」といったコメントをいただいたことで、私たちの肌着を求めている方が確実にいるという実感を得ています。そういった方々に、HAKUROをしっかり届けていきたいと思います。

肌着に選択肢を。

——HAKUROのめざすところ、今後のビジョンを聞かせてください。

肌のコンディションは日によっても変わります。乾燥している日もあれば、逆に「皮脂が多いな」と思う時もあるはずです。また、ひとことで「保湿」といっても、その乾燥のしかたもさまざま。それぞれのシーンに応じて選べる肌着をつくっていきたいです。
 
多くの方は基礎化粧品を選ぶとき、ご自身の肌質を考えながら決めていると思います。それと同じように、肌着を選ぶときにも、自分の肌について考えていただきたいです。

——「肌のことを考えて肌着を選ぶ」という価値観が、世の中で十分に意識されてこなかったのなぜでしょうか。

たとえば化粧品は直に肌につけるものなので、購入する前にも実際に肌につけてみて、合うかどうかを試すことができます。アウターであれば、見た目やファッションを意識して選びます。一方で、肌着はアウターに隠れているし、試着するといった習慣もないため「良さ」を実感するのが難しい。優先順位として、どうしても後回しにされがちだったんだと思います。

——この先、具体的にはどのような商品を作っていきますか?

いま構想している肌着が2つあります。
1つはアクリルのまわりを綿でカバーリングした素材で編んだ生地の肌着です。肌が弱いけれど、きっちり防寒したいという方にご提案したいものです。

もう1つはレーヨンを素材にした「超保湿」肌着です。保湿機能をうたっている市販の肌着もあるのですが、実際に着用した方が保湿効果を実感できているとは限りません。身につけて「保湿できている」と体感できるようなものを、超保湿の肌着として開発したいと考えています。

——肌着の選択肢がどんどん増えていきそうですね。他業種とのコラボ、たとえば化粧品メーカーとの協働というのもあるのでしょうか。

ぜひ行いたいです! HAKUROには、「基礎化粧品を選ぶように肌着も選んでほしい」と思いがあります。スキンケアの観点からも、HAKUROと相性の合う化粧品メーカーさんなどと一緒に商品開発をしていけたら嬉しいです。

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