斎田なおみ

俳句や短歌、詩、ホラーメインの短編小説を更新していこうと思います。あとエッセイ。よろし…

斎田なおみ

俳句や短歌、詩、ホラーメインの短編小説を更新していこうと思います。あとエッセイ。よろしくおねがいします。フォロー返しします。この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

最近の記事

I am bored to death.

 それから数日後に幸治は大学の友達からチケットをもらった。外国のロックバンドの来日ライブらしい。友人の高校の先輩が前座として出るらしくチケットが流れてきたのだという。本人はその日バイトが入っており行けないのだという。どうせならということで2枚もらって大学の公衆電話から清志郎に電話を入れた。  もそもそとしたしゃべり方をしており、寝起きなのが察せられた。 「もしもし……」 「おー、キヨ?今度の金曜にやるライブのチケットもらったんだけどいかね?」 「行く。でも詳しいことはまたあと

    • Don't cry, my dove

       テレビでは「24時間戦えますか」なんて流れていたが、こちとら戦う前に白旗を上げて戦うのを必死に回避しする。そんなぬるま湯に浸ったような生き方をする俺たちの回想録だ。なにも面白いことはないぜ。  高柳幸治は今日発売のBURRN!やらSEX PISTOLSのレコードをぶら下げて、昼の暑さ残る池袋のコンクリートジャングルを歩いていた。遠くのほうで帰るのを促すふるさとが聞こえていた。子供のころはこれを聞きながら急いで帰ったななどとほんの少し懐かしさを覚えたが、歩行者用信号機が点滅

      • 君の好きなとこ

        君のすきなとこ  氷雨さんの元にはたくさんのファンレターが届く。売れっ子作家なのだから当たり前だ。虎の威を借りる狐ではないけれど、僕はこのことをとても誇らしく思う。 「それにしたってこれは」  段ボールいっぱいのファンレターを目の前に僕は驚き固まってしまった。これらはすべて編集部を通してまとめて送られてくるため、数日分まとまっているとしてもだ。 「また今回はたくさん来たな」  氷雨さんは少し嬉しそうに顎に手をやって笑っている。今日もかわいらしい片方のえくぼができている。 「

        • Calico/Fever the Ghost(2014年)

          Fever the Ghost のアルバムCrab in Honeyに収録されているCalicoの和訳(意訳)です。歌詞カードが手元になく公式の歌詞がわからないためネットの歌詞をつなげて書いています。あと音楽用語も英語も間違いがあるかもしれませんが些細なことには目をつぶってください。 歌詞の意味なんてあってないようなものだと思うんですが自己満足のために。 キリストと神の問答なのかなと思ったりしてます。 資料があったら教えてください。 Calico(猫) <A Verse>

        I am bored to death.

          Source/Fever the Ghost(2014年)

          Fever the Ghost のアルバムCrab in Honeyに収録されているSourceの和訳(意訳)です。歌詞カードが手元になく公式の歌詞がわからないためネットの歌詞をつなげて書いています。あと音楽用語も英語も間違いがあるかもしれませんが些細なことには目をつぶってください。 歌詞の意味なんてあってないようなものだと思うんですが自己満足のために。 彼らの詳しい資料とかあればお願いします。 Source(魂の在処) <A Verse> Run run, ditto

          Source/Fever the Ghost(2014年)

          腐女子が「鉄男(1989年)」を見たら大興奮だった(ネタバレ注意)

           先日たまたまOSOREZONEを見ていてふと引っ掛かったものがあった。『野火』や『沈黙-サイレンス-』で有名な塚本晋也監督の初期の作品、『鉄男』であった。  67分と再生時間がちょうどいいからという理由で再生したら度肝を抜かれた。具体的には真昼間から一人で雄たけびを上げていた。脳汁がどばどばでてこまった。 本編より 「あ~とってもいい気分だ~」 「よし、こうなったら世界中を鋼鉄の塊にしちまおうか あ~」 「そして、世界中を錆び腐らせて宇宙のもくずにかえしてやろうか!」

          腐女子が「鉄男(1989年)」を見たら大興奮だった(ネタバレ注意)

          平成への葬送曲

          園児らといっしょに遊ぶこいのぼり 春雷を遠くに聞いた授業中 泣き声を響かせ遊ぶ新入園児 春冷えにマフラー巻いて朝支度 富士山が忍術使う春霞 春の午後君との相性占っている 母親と墓掃除する年の暮れ 太陽もサッカーみたし夏至の暮れ 扇風機 雨が嫌だと 首を振り 紫陽花の傘をさしてるかたつむり 水蜜桃食ったことない世代なり 夏風邪を移し合ってる教授たち 夏野菜押し合いへし合い売られてる 紅玉の詰め合わせなりさくらんぼ 木枯らしが冬の音楽奏でてくれ カラオケで『雪』の文字が目立っ

          平成への葬送曲

          SHISEIDOのスキンケア&メイクアップ講座行ってみた

          ツイッターで有楽町マルイでジェンダーフリーハウスというものが開催されるとしって行ってみた。 本当はビジネスマンが履くような先の尖ったかっこいい靴を買いに行く予定だったけど、ついでにと思って予約した。 肌に機械を当てられて脅されるんだろうなと思ったり、エッセイで化粧品を買わなかったら半顔メイクしかしてもらえなかったとか書いていたことを思い出したりして有楽町のマルイについた。 時間までとりあえず靴を見て通販を教えてもらってから、いざいざ個室へ。 まずは簡単なアンケートを記入

          SHISEIDOのスキンケア&メイクアップ講座行ってみた

          地下室の扉

          実家にあったはずの扉がなくなっていた。 実家を出る前までは地下室にさらに扉があって厳重に封がされてたのは覚えてるし、奥に入ってはいけないって言われてたのも覚えてる。 なんでって聞いてもはぐらかされたり、その時すごく怖かったモランが出るからとか誤魔化されてた。 数年ぶりに実家に帰省した際に、母親から食器を取ってくるように頼まれて地下室に入ったらその扉が跡形もなく消えていた。どの壁にも棚が置かれていて、新しくコンクリートで固めた様子もなかった。 しばらく地下室でウロウ

          地下室の扉

          帰り道

          何かの事故で電車が止まった。家の一駅手前だったので、改札を出て歩くことにした。暦の上では夏だというのに、湿気を孕んだ風が体にまとわりついて暑い。 大体の地図を頭の中で思い描きひたすらに歩き続ける。 汗をぬぐいながら歩いていくが、顔を上気させ歩いていく。すると、ある事に気が付いた。人っ子一人すれ違わない。暑いとはいえ、夏休みの期間であると子供が歩いている所を幾度となく見ていた。しかし、今の時間は大人も子供もおらず全く人とすれ違わなかった。 「何かがおかしい」 そう呟いて空を仰ぐ

          小豆洗い

          私の曽祖父が幼い頃に実際にあった話です。 曽祖父の母は夫を早くに亡くし、女で一つで曽祖父とその弟の子供二人を育てて行かなければなりませんでした。裁縫が上手であったために、それで生計を立てていました。 彼女が家を探していると、新しく綺麗で広い家を破格の値段で紹介されました。安いことに越したことはなくすぐにそこに引っ越しました。 ある日、彼女は夜遅くまで針仕事をしているとなにか物音が聞こえました。耳を澄ませてみると、サーサーと水音のようなものと、ショキショキと何かを研ぐような

          夜道

          ある日の夜、私は家で眠い目をこすりながら仕事をしていると、玄関のチャイムが何度も押され、玄関のドアが激しく叩かれた。 普段は何も気にしない私だが、少し怖くもあり近所迷惑にもなるので慌てて中から確認すした。 みると、彼女が後ろを確認するように何度も何度も振り返ってドアが開くのを待っている。 私は舌打ちをしてドアを開けた。 「駅に着くとき連絡しろって言っただろ。それに今何時だと思ってんだ…」 「そんなことより、早く玄関閉めて!窓も閉まってるよね?!!」 彼女はとにかく恐ろしいもの

          冷蔵庫

           私の家はいわゆる"でる"家に住んでいたことがある。  何人か前の住人が自殺をして以来入居者がすぐに出て行ってしまうために、家賃が格安で貸しにだされているのを発見した。  なぜ私はそこに住めていたのかと言うと、怪現象は信じないからだ。とにかく霊とは無縁の生活をしており、こちらとしては家賃が安くていい部屋が借りられてラッキーとしか思っていない。  ラップ音はただ木造建築特有の家鳴りであり、窓やドアを叩く音は部屋を間違えた住人や猫のせいだと思っている。時々現れる顔のようなシミも目

          電車

          電車に乗ったら車内には私しかいなかった。何も考えずに椅子の端に座って一息ついた。 暑い外とは違い、冷房の効いた車内は寒いぐらいだった。あたりを見回したが、隣の車両にも人の気配は無かった。 十分も十五分も電車は走っている。 電車の走る音すら聞こえなくなるほどの静けさが怖くなり次の駅で降りようと決意するぐらいだった。 電車が動いてる音はするものの全く次の駅に着く気配が見えない。 スマホを見てSNSを開らくと、文字化けを起こして画面は変になっている。 しかし、外は見慣れた川沿いを

          視界の端にあるもの

           ここ数年気が付けば目の端に何かが見えている。  その黒い靄のようなものに焦点を当てると消えたり、端に移動したりして正面に見えたことがない。  黒い靄がのようなものが見えるから病気かと思って眼科にもいったけど目に異常はないと診断された。  視界の端が見えないわけじゃなくて、霞みがかって見えるだけだ。  薬で治るわけじゃないし、暫く放っておいたら気がついたことがある。 だんだんと人の形になって行くんだ。  どうやら最初は胎児のように丸まって見えたからただの靄にしかみえなくて、

          視界の端にあるもの

          電車のホームにて

           人と電車の接触事故ってあるけど、あれの目撃者ってどれくらいいるんだろう。俺も何年か前に目撃した。  原因の大体は酔っ払って転落とか人に押されてとかが多いと思うんだけど。  俺が夜の駅のホームで電車を待ってるときに向かいのホームを見たんだ。薄暗い蛍光灯がついたこっちと代わり映えしないホームには40〜50代ぐらいの男が立ってるのが見えた。  暫くは来ない電車をじっと待ってたんだけど、やけに男の周りだけ暗いんだ。いや、暗いというより黒い。黒い靄みたいなものが男を取り囲んでいるよ

          電車のホームにて