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小豆洗い

私の曽祖父が幼い頃に実際にあった話です。

曽祖父の母は夫を早くに亡くし、女で一つで曽祖父とその弟の子供二人を育てて行かなければなりませんでした。裁縫が上手であったために、それで生計を立てていました。
彼女が家を探していると、新しく綺麗で広い家を破格の値段で紹介されました。安いことに越したことはなくすぐにそこに引っ越しました。

ある日、彼女は夜遅くまで針仕事をしているとなにか物音が聞こえました。耳を澄ませてみると、サーサーと水音のようなものと、ショキショキと何かを研ぐような音でした。
誰かがお風呂に入っているのだろうと思ってその時は気に留めませんでした。それにしては夜遅くであり、周りの家は寝静まっていました。
しかし、それが頻繁に起こるために薄気味悪く感じ、早々にその家を出ていったそうです。

今思うとそれは小豆洗いだったのだろうと回想していました。

昔は妖怪と人間の距離が近かったのだと思います。

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