平成への葬送曲

園児らといっしょに遊ぶこいのぼり
春雷を遠くに聞いた授業中
泣き声を響かせ遊ぶ新入園児
春冷えにマフラー巻いて朝支度
富士山が忍術使う春霞
春の午後君との相性占っている
母親と墓掃除する年の暮れ



太陽もサッカーみたし夏至の暮れ
扇風機 雨が嫌だと 首を振り
紫陽花の傘をさしてるかたつむり
水蜜桃食ったことない世代なり
夏風邪を移し合ってる教授たち
夏野菜押し合いへし合い売られてる
紅玉の詰め合わせなりさくらんぼ


木枯らしが冬の音楽奏でてくれ
カラオケで『雪』の文字が目立ってる
青い空イワシが高く泳いでる
コンロにて鎮座している土鍋かな
銀杏の良さがわからぬハタチの夜
くるくると落ち葉が告げる「もう冬だ!」

ゴスペルを送る娘の名前親 赤毛のアンを棺に入れる
真珠湾攻撃の日は誕生日 美しくあれよと名づけられ
真珠湾攻撃の日は誕生日 勲を立てよと名付けられ
父親は祖父に会ったと言った朝 祖父は遷化していたのである
サイドカー五百円の車乗ったおじ タイからの文囲まれ眠る





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