映画レビュー 「るろうに剣心 The Beginning」

hakのnote 初映画感想編です!やったあ!!

今回取り上げるのは、映画公開からしばらく経ちましたがこちらです。

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※完全に個人の見解ですので、解釈違いもあるかもしれません。
※DVDになっていない作品のため、劇場で1度の視聴のみでの感想です。
※上記にご理解いただけます人のみ、以下をお読みください。
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「るろうに剣心 The Beginning」

人斬り抜刀斎だった剣心、左頬の十字傷の謎に迫るストーリーとなっております。


私のるろうに剣心の視聴具合を先にお話しします。
視聴済み
・アニメ_本編全94話(2周)
・実写映画_無印
      京都大火編/伝説の最後編
      The Beginning
未視聴、未読

・アニメ_追憶編 星霜編 新京都編
    _映画 維新志士への鎮魂歌
・漫画
・実写映画_The Final


 縁の話だけ実は見ていません。タイミングが合わず結局今まで見ていませんでした。真剣佑かっこよすぎですよね。近いうちに観られたらいいな。
アニメは履修済みですので、とりあえずそこそこのファンだと思って貰えたら嬉しいです。
 剣心の過去編未来編がこの「Final / Beginning」ですが、ちゃんと拝見してませんがなんとなくストーリーは知っていました。ですので今作も心の準備は完璧にしておりました。

では、以下よりネタバレを多く含みますのでご注意ください。


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hakの総合評価
★★★★★(星5個中)

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 世間の評価も高い本作ですが、私も文句なしの最高評価です。個人的には「伝説の最後編」も最高傑作と言っても過言ではないと思っていますが、それと並んで最高傑作であると言えるでしょう。


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  概要
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 「るろうに剣心 The Beginning」は、人斬り抜刀斎時代の緋村剣心(佐藤健)の過去の恋人、雪代巴(有村架純)との関係を密に描いた作品です。時代は明治以前の幕末、戊辰戦争前でした。

 新選組時代の斎藤一が拝めます。非常にガラが悪かったです。そんなところも好きです。
 この作品はストーリー&アクションと、ストーリーが最も注目されているように感じますが、あながち間違いではないと思います。これまでは比較的、何かの拍子に敵がポン、と出てきて対峙する…のような話が多く、各キャラクターの過去というのはここまで深く掘られているものはなかったと思います。今回は、薫たちに出会った時の剣心がどのようにしてできたのか、が分かる話であり、剣心の過去を深く追っていく話になります。

 もちろんアクションは一級品でしたがね(最初の拘束されてる中のアクション、最後の山でボロボロになりながら自分へ殺意を向ける者たちとの戦いは見ものです)。

今回はストーリーにより着目して、感想をお伝えできればと思います。

 この作品で私が最も評価したいこと、それはずばり『剣心が人間になっていくまでの描写』であり、剣心と巴の “ 赦し “ の物語であると考えます。では感想いきましょう。

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剣心が人間になっていくまで その1 雪代巴

 有村架純演じる、物憂げではかない印象の雪代巴。物静かで落ち着きすぎていると感じる場面が諸所あり、最初は感情がない人物かと見受けられました。しかし彼女の発言や物怖じしない様子は、紛れもなく動乱の幕末を生きる女性でした。自身の信じる未来のために刀をとる幕末志士、そんな愛する人を信じ、帰りをじっと待つ強い女性像、雪代巴はこれをそのまま投影したような人物です。これを演じ切った有村架純の演技力の高さに思わず唸りました。

 軽く巴の説明をすると、人斬り抜刀斎の闇討ちにあった浪士の嫁になるはずだったのが彼女。行き場のない悲しみと怒りを胸に、剣心へ復讐することにした彼女は「闇乃武」の間者として剣心に近づきます。「闇乃武」は幕府直属の暗殺集団組織であるため、革新派の剣心と敵対する立場です。
 つまり、雪代巴は剣心を殺すために近づきますが、なんと好きになってしまったーー!!という、葛藤がよく描かれた人物です。最初人形かと思っていたのが恥ずかしいくらい、人間味がある人物です。

 最期まで、彼女は愛する剣心の名前を一度も呼びませんでした。エモい。間者として近づいた自分を深く愛してくれた剣心への罪悪感、過去の恋人を殺した人を愛してしまった罪悪感、そんなものを感じながら、…剣心への思いの深さに泣きました。もしくは剣心の未来を縛ってしまわないよう、あえて距離をとった呼び方しかしなかった、、、???いやあ、、、、どれにせよいじらしいんです。

 人斬り兵器と化している剣心に人の心を取り戻してくれたのがこの巴。正直どこから剣心に惹かれていたのか、はっきりとここ!!と言える場面は分かりませんでしたが、単独行動しかしない剣心に拾われてから常に近くにいた印象です。組織の中でも孤立していた剣心は、新時代のためと刀を奮っているものの、大罪だと感じているのか無表情で覇気がなく、指示された人斬りを黙々とこなしています。一応巴の剣心に対する印象が変化し始めた場面を予測すると、人を斬った後の血を深夜に流している剣心を何度も見かけてから、ですかね。自身の手が汚れていると感じるのか、ずっと洗ってるんですよね。どこか苦しそうな剣心を、巴はこの動乱の時代の「被害者」であると感じ始めたのはここでしょう。祇園に誘い、剣心と話しをした時に巴はこの考えに確信を持ったんでしょう。
 こんなの余計に感情の整理つかないよぅ、巴、、、、、。

 「今のあなたには、狂気を抑える鞘が必要です」というセリフがあります。大好きなセリフです。自身の元恋人を殺した剣だった剣心を、彼の願う通り 人を守る剣になれる と信じたからこそのセリフに聞こえました。解釈違いでしたらすみません。巴に惹かれ、人を守る剣になれると信じてもらった剣心は、ここから表情が生まれて幸せそうでオタク涙ちょちょぎれます。よかったね、、、。剣心を殺人兵器から人を守る剣、人間にしたのは間違いなく彼女の存在のおかげです。

 巴は最初、元恋人を殺した剣心を赦せず、しかし知るうちに赦していく。剣心を赦していくうちに、自身を赦してはいけないと感じる。これが彼女のこの作品における “ 赦し ” の物語です。

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剣心が人間になっていくまで 剣心編

 剣心は薫と一緒にいるあの剣心しか知らなければ、大層驚くと思います。無印からこれまでの剣心とは別人です。“無”です。いや、圧倒的な“力”だけを持った殺人兵器、人形です。人と群れず、ただ桂小五郎の指示で人を殺し続け、その先の平和を貪欲に信じてやまない人形。
 私は剣心は、その人殺しの罪を体全体で背負い、罰として人並みの幸せを感じてはいけない、人並みの喜びを受けてはいけない、と自身を戒めているように感じます。だから彼は常に孤独なんだと思います。
 
 その剣心が巴を気に掛けるようになったのは、人斬り現場を目撃されたためでした。現場を目撃した巴が倒れ、殺さずに保護します。見逃そうと諭す剣心ですが、剣心の優しさや平和な未来への思いの強さは、ここでもこの先でも変わらないものでした。剣心が望んでいるのは人を守る剣になることであり、必要のない犠牲は出さない考えだったためです。これまで人を殺す剣であることが多かった剣心ですが、おそらく…人を守る剣を体現できた初めての人物がこの雪代巴だったのではないかと思っています。

 自分を戒めるために孤独でいる剣心も、情報漏洩や今後の巴の人生に難を残さないことを考えると、近づいてくる巴を無下にできなかったのでしょう。結果、巴の思惑通りではありますが、剣心は人の優しさや温もりを徐々に培っていきます。きっとここで巴を愛する経験がなければ、戊辰戦争が終わったときに生きる気力をもっていないように思います。
 
 剣心は最初全て他人の利を優先し、命令や助言、催促をしています。それが「一緒に来てくれないか」と自分の欲を優先するようになります。無表情が特徴的な巴がここで微笑み、同意します。私の記憶では、初めて巴が感情を表に出し、微笑んだのはここではないかと。自分の欲を出さずに後悔した過去を持っている巴ですから、固く閉ざされていた剣心が心を開き、欲を出してくれたことが嬉しかったのでしょう。
 そしてこれは剣心自身にも、自分を戒める必要がない、安心できる場所だという認識を抱かせました。

 巴との2人の生活をし、人斬りから離れて生活します。自給自足の大変な生活でしたが、小さな幸せを共有し、互いへの思いが強いものになっていきます。剣心が自身を”赦す”心を持ち始めたと同時に、思いがけず巴が自身への罪の意識を持ち始めます。剣心は巴が抱えているものを知り、今度は自分へ受けた以上の思いで受け止め、返そうとします。ここで巴が見ていたのは過去の恋人か、剣心なのか。剣心なのでしょうが、正直ちらついて過去の恋人も見えていたと思います。それでも、剣心は巴に精一杯思いを表しました。ここではもう、巴の過去の恋人を奪った申し訳なさ、ではなく、巴への思い、巴と過ごしたい欲に素直になることができていたと思います。

 人斬りであるが故に己を赦さずにいた剣心。共に過ごすうちに、”人を守る剣”を信じさせてくれた巴を、今度は赦していく立場になる。最後は巴を失いつつ、巴も信じてくれた”人を守る剣”になるために奔走し、平和を求め続けました。これが剣心の”赦し”の物語であると思います。

 孤独を理解している2人だからこそのストーリー展開でした。薫に会う前までの剣心の行動や心情の変化があればぜひ見てみたいです。


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その他 見どころ

 この作品の監督である大友 啓史は、このThe Beginningまで見据えてこのるろうに剣心シリーズを手掛けていたのだとよく分かりました。圧巻です。そして同じく佐藤健も、剣心のここまでを知った上での演技でありました。映画を見終わってしばらくはストーリーに涙していましたが、次に感じたことはこれでした。実写版映画史に名前が残るものだと思います。
 剣心のThe Beginning→無印への人物像の変化は、すんなりは出来ませんが、プラスの因子が働き続ければこのような陽サイドの剣心になれると想像できます。アニメ版しか知らない方だと、このThe Beginningの剣心がアニメの「おろ?」になる様を想像することは不可能です。つまり、佐藤健のすごいところは実写版での剣心の人物像をぶらさずに演じきったことにあると思います。そしてそういう演出をつけた監督も天才です。この作品を作ってくださりありがとうございました。
 
 また、「拙者は今一度、人斬りに戻る」という剣心の無印でのセリフがあります。結構アニメでも人斬りに戻っちゃうーー!!みたいなシーンちらちらあるんですよね。巴は「今のあなたには、狂気を抑える鞘が必要です」と言い、実際その役割を担いました。そしてThe Beginningでの巴の役割を、今後薫が引き継ぐんですよ。タイプは違いすぎるので、巴が好きだった剣心が薫と結婚する世界線があるのか?と思いましたが、同じく人を守る剣を信じ、体現し、剣心を剣心でいさせてくれる人物でした。納得です。


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まとめ
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 るろうに剣心を知っている人は絶対に見るべき作品です。剣心がどのようにあの剣心になっていったのか、知った上で全話見直せば人物像への深みが変わります。ただ何かの拍子に悪に転じてしまった、革命で生じた悪と対峙するお話で終わらせるにはもったいなさすぎます。

 DVDやBlu-rayの発売情報はまだ出ていないようですので、是非現在も公開している劇場、もしくはDVD化された際には視聴をおすすめします!!!

 

 というところで、今回は「るろうに剣心 The Beginning」の映画感想、レビューでした。
 大好きな作品&超大作ということもあり、非常に力を入れた感想でした。今後はアニメやゲームなど、軽いものもどんどん上げていくので、今回のようにヘビー級にがっつり書かれていないと思います。
 がしかし、映画感想の第一作目として申し分ない作品を取り上げられてよかったです!!

 それではお次は何を書くか決めていませんが、また何か書きますので、よろしければ『♡』『フォロー』お願いいたします!ここまで読んでくださりありがとうございました!!

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