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番外「変」/連載エッセイ vol.21

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.23(2004年8月)」掲載(原文ママ)。

実を言うと、先号をもって長らく続いたこの連載をお休みさせて頂こうかと考えていた。

内容も何気に最終回っぽいものとし、老兵はただ消え去ろうとしたのだが…やはり熱心な(マニアな?)読者に気づかれてしまった。

結局、各方面からのラブコールに応えて、暫く続ける事で落ち着いた。
読者の皆さん、もう少し辛抱して頂きたい。

(話によると、県外にも愛読者がいるとか。
 その方の「岩手県人観」が
 捻じ曲がらない事を祈るばかりだ。)

という訳で、今回は読者の継続希望に応えるついでに、以前から要望の多かった事柄について扱おうと思う。

そう、「vol.19」のエッセイにて少し触れた、通称「タンポポ事件」の事を…。

(カイロプラクターのイメージを崩したくない方は、ここで御退出願いたい。)

あれは大学4年の夏の事だった。

学生時代、長期休みは子ども達とのボランティア活動に明け暮れた私は、その時北海道にいた。

子ども達を寝かしつけた後、帰県を前にしてスタッフと打ち合わせを兼ねて飲んでいると、ヒョンな事から数日後に開催される「盛岡さんさ踊り」の話題となった。

偶然にも居合わせた全員が祭りに参加したことが無い。こうなると酔っ払いの話は早い。

良く言えばセクシー、悪く言えばお下劣なアレンジダンスと衣装がその場で決定し(詳細はご想像に任せよう…)、即席さんさチーム「タンポポ」が誕生した。

(その命名の由来は「4人組だから」…。
 この時点でまったく意味不明である。)

これを酒席での馬鹿話に終わらせない所が若さの行動力なのだろう。

気づくとチームはさんさパレードを見下ろす中央通沿いのビルの一室に陣取っていた。

我々も優美なパレードを荒らすつもりは無い。
狙いはその後に行われる「輪踊り」を一団体ごとジャックしていく事のみ。
メンバーを武者震いが襲った…。

(ちなみに強者のメンバー1人が
 ビルの窓辺に立って
 「シルエット・パフォーマンス」を敢行し
 眼下を進むパレードに
 細波の様な笑いを振りまいていた事実は
 案外知られていない。)

最初は周囲を気にしての(特にも警官。それだけヤバイ格好だった。)船出であったが、一団体、また一団体と輪踊りを占拠していくうちに、気分が高揚していく。

そして、ついにはメイン団体とも言える某清涼飲料会社のステージ・トラックをもジャックしてしまったのだ。

「ミスさんさ」達をバックダンサーに従えて「創作さんさ」を踊り狂ったのは、後にも先にも我がチームだけであろう。
スターさながらのフラッシュが眩かった…。

ところが翌日新聞各紙をいくら探しても、あれだけ受けたインタビューや取材が一片も載っていない。
恐らく「社会の見えない壁」を実感したのは、あの時が最初であったように思う…。

まあ、「一夜の幻」に終わったお陰で、私は以後も変わらぬ大学生活を送り、教員となり、そして今こうしてカイロプラクターとして皆さんに向き合える訳だが…。


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