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ウラ事情/連載エッセイ vol.41

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.43(2007年12月)」掲載(原文ママ)。

物事には全て『表』と『裏』がある。

そして当然、私の施術以外の主たる活動である各種の『セミナー(研修会)運営』にもそれはある。
この場合の『表』とは、例えば『講師』の様に、人前に出てセミナーを先導する事で、一方、『裏』とは正に『裏方』として参加者の状況を的確に把握し、セミナーを作り上げる。

どちらの仕事が欠けてもセミナーは成り立たないし、またどちらの仕事に優劣がある訳でもない。

ただ人によって、どちらの役割が向いているかという『適性』は存在する様で、これはもう本人の『気質』によるものが大きいだろう。
即ち、自分という存在を明確に提示して参加者の満足度をダイレクトに高める方に達成感を持つか、それとも参加者はもちろん講師自身の満足度も含めてセミナー全体を作り込んでいく方に魅力を感じるか。

それは『タレント』と『プロデューサー』の関係に例えるとわかりやすいかもしれない。

翻って私自身はどちらのタイプかというと、それは圧倒的に『裏気質』である。

私の『講師』としての姿を見ることが多い読者の中には意外に思う方もいらっしゃるだろうが、私はセミナーを常に『裏』の視点で考える。

そしてその目的を達成するのに適任が他にいないから仕方なく『表』の仕事である講師をするだけであって、他に優れた人材がいるならば喜んでその座を譲る気持ち満々なのである。

その辺の事情を理解する仲間内で、私は『講師』ではなく『コーディネーター』と呼ばれる事が多く、事実、私自身もその呼称を気に入っている。

さて例によって前フリが長くなってしまったが、先日久々に『裏』に専念できるイベントに参加してきた。
『パーカーセミナージャパン』である。

そこでの私の役割はボランティアチームのリーダー、即ち裏方の纏め役であるが、この場合、その仕事は単純ではない。

まずセミナー自体は50年以上の歴史を持ち成功してきたパーカーセミナー自身のノウハウがある為、そこにタッチする事は出来ない。

またこのセミナーは私の所属する団体だけでなく、国内全てのカイロプラクティック団体に門戸が開かれている為、その統括をしている事務局とも綿密に打合せの必要がある。

おまけに『ボランティア』といっても有料で参加している受講者である事にはかわりがないので、各人の仕事が滞りなく進行する様、また手隙の時間はセミナーに参加できる様、調整する必要もある。

『裏(方)マニア』にとっては身震いする程魅力的な状況ではあるが、さすがに自分でも無意識に気を遣っていたらしく、セミナー開催前1週間前から腸関連がやられっぱなしで

(いや~トマラナイトマラナイ←何が!?)

セミナー中は一度も会場席に着く事なく走り回っていた。

(その反動か一度、舞台裏で打合せ中に思わず声をあげて笑ったところ、それが会場中に反響してしまい、大顰蹙を買ったのはご愛嬌である…。)

ただ余談ではあるが、そんな中でも『ご褒美』的に嬉しかったのが、今回のスペシャルゲストであり、私の敬愛するデーモン小暮閣下の『登場煽りナレーション』を担当できた事であった。

当初、閣下の熱狂的『信者』が紹介文を作成する事にあまり良い反応をしなかった事務所サイドが、出来上がったナレーションを確認するなり閣下共々いたく気に入って下さり、出番前の楽屋での打合せにも出席させてもらう事になったのである。

いや~、真面目な打合せの最中、チョクチョク交わした閣下との悪魔トークは我ながら秀逸であった。

特にも主催者であるDr.ペロンの

『どうしてそんな格好しているの?』

という『愚問』に、閣下が

『悪魔だから』

と答えたのに被せて私が

『イヤァ~!!』

とヘビメタチックに反応したのには、閣下共々大爆笑であった。
(Dr.ペロンは若干引いていたが…。)

閑話休題。

閣下の出番も終わり、セミナーもいよいよ大団円へと向かっていた。

スピーカー一人一人から感謝の意が述べられ、統括者のDr.ラマーシュがステージから降り、会場を隈なく歩き回りながら最後のメッセージを伝える。
会場には『We are the world』が大音響で鳴り響き、参加者全員が共に手を繋ぎ大きな波を形作る…。

最後にボランティアスタッフが呼ばれ、ステージに上げられた。

私は独り、敢えて会場奥に止まり、晴れがましい表情でライトを浴びる仲間達の笑顔を眺める。
スピーカーが笑っている。
通訳のD.C.達も笑っている。
ボランティアのみんなも笑っている。
そして今回の功労者として特別に謝意を贈られた我が師匠も笑っている。

ステージ上の全てが笑顔である…。
そして裏気質な自分が思い描いていた通りの光景を見つめながら、私は呟くのであった。

『あ~、俺って渋いなぁ…(いや、誰も言ってくれないもんでね!!)』


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