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北大路翼 自解一〇句 壱

北大路翼 著『半自伝的エッセイ 廃人』の掲載俳句の解説を公開します。


明滅は悲憤即ち朝と夜 (P2掲載)

明滅はネオンの光。夜と朝がつながつてゐる歌舞伎町のやりきれなさをイメージ。下五は「朝も夜」にするかいまでも悩んでゐる。

汗をかく仕事と汗を売る仕事 (P136掲載)

愛する人の体液を求めるのはカニバリズムの始まり。いやらしいことだとは思はない。糞を黄金、尿を聖水と名付けた人のセンスに脱帽する。ちなみに唾液は唾聖水。なんか他の呼び方はないのか。

神になる一歩手前のエスカルゴ (P73掲載)

「エスカルゴ三匹食べて三匹嘔く 金原まさ子」が元ネタ。神様のことを考へてゐたらふと金原さんのことを思ひ出した。生きてゐたらもうすぐ一一〇歳か。二〇〇歳までは生きてくれると思うてゐたのに、人の命は儚いものだ。

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|この記事を書いた人

北大路 翼(きたおおじ・つばさ)
1978年5月14日、神奈川県横浜市生まれ。種田山頭火を知り、小学5年生より句作を開始。2011年、作家・石丸元章と出会い、屍派を結成。2012年、芸術公民館を現代美術家・会田誠から引き継ぎ、「砂の城」と改称。句集に『天使の涎』(第7回田中裕明賞受賞)、『時の瘡蓋』、編著に『新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」アウトロー俳句』『生き抜くための俳句塾』『半自伝的エッセイ 廃人』『見えない傷』など。新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」家元。「街」同人。砂の城城主。
Twitter:@tenshinoyodare
連絡先:shikabaneha@gmail.com

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