豊田直樹

むかし物理学をやっていたが今は電子出版「ハチヤ書店」https://ntkt.jimd…

豊田直樹

むかし物理学をやっていたが今は電子出版「ハチヤ書店」https://ntkt.jimdofree.com/ のオヤジ 漱石のことなど乱文乱筆エセーを「やさしく(Y)面白可笑しく(O)短く(M)」=「YOM」をモットーに痴的にたまに知的に発信

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    あれやこれや、フォト便り、などいろんなお題を、やさしく可笑しく短く(YOM)をモットーに.

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    オランダのライデン、イギリスのケンブリッジ、ロンドンへの紀行文集.留学生、夏目金之助(漱石)の足跡なども掲載予定

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拝啓 こんなことをやってみたい

小生は日ごろ、老妻からは「おとうさん」、朝市のおばさんからも「おとうさん、ねえ~買って~」なんて声をかけられる.息子は「おっさん」、孫たちは「ジイジ」.古希を迎えて今年で2年だ. 先日このサイトに登録したばかり、西も東もわからない新参者である.ここではいったい「何をどのように」しようとしているのか伝えておきたい. 長年、東北大学で物理学なるものをやっていたのだが、足をあらってすでに8年になる.私大には出講してはいるものの、社会とのつながりはめっきり減った.中途半端な宙ぶら

    • 【書店便り5】紙か、電子か(3)Paperwhite嬢、君は軽くて賢いね

       電子本というものを読み始めてかれこれ10年以上になる。使っている端末はアマゾン社の電子書籍専用リーダー「Kindle Paperwhite」嬢だ。まずは、彼女との出会いからはじめよう。  世の中にタブレット端末というものがデビューしたのが確か2010年ごろ、いまから10数年くらい前のことだ。すこし先行していたスマートフォンと比較すると、ディスプレイが大きいのでポケットには入らないが、文章や画像、動画を見たり、文字を入力するのにも楽で便利、というのがウリだったように憶えてい

      • 【書店便り4】紙か、電子か(2)イーパブってご存じですか? イギリスの酒場のことではない・・・

        このシリーズ2回目は、電子書籍のフォーマットの話。あなたのお役に立つかも。(この記事は、大学のコミュニティ誌「研友」に掲載された記事をベースにしたものである。)  いきなりヘンテコなお題だが、この言葉、イギリスにある酒場のことではない。ディジタル文書のフォーマットのひとつで、電子書籍の標準言語のことだ。これを使えば簡単に電子本ができる。「はじめて聞いた」というNoteのみなさまの参考にまで記しておきたい。    さて、数ある文書ファイルのなかでもっとも普及しているのがワード

        • プロフィール / 豊田直樹

           東北大学退官後出講していた私立大学も辞し、今はほぼ完ぺきな隠居、執筆や電子出版の世界で遊んでいる。テーマなどはバラバラだが、19世紀末から20世紀はじめ頃の科学、文学、絵画などジャンルを問わず雑学三昧の日々.好日には東北大学附属図書館に通い、地下書庫で資料を漁っている。またVPN接続で大学のネットワークに入って、図書館の資料をフルに活用し、書斎ではデスクトップとノートの2台のPCで原稿を書き推敲をしている。また、電子書籍専用端末のPaperwhite嬢とは10年来の付き合い

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          【書店便り3】紙か電子か:(1)図書館の古書の匂い

           このシリーズでは、いま「本」とどのように付き合っているか、「紙か、電子か」と云う切り口でつれづれに書いていきたい。初回として、図書館の古書の匂いについて。(以下、YOM(読む)のうちM(短く)の精神に反して長ったらしい文章だが最後までYOMでいただければ)  ここでいう図書館とは東北大学附属図書館のことだが、まずはアクセスから。  JR仙台駅西口から青葉通りに沿って歩いて行くと20分少々で広瀬川にでる。大橋をわたって左前方に青葉城の隅櫓(すみやぐら)を眺めながら坂道を上

          【書店便り3】紙か電子か:(1)図書館の古書の匂い

          【書店便り2】漱石は「手紙」が一番面白い!

           先日つぎのようなジョークを耳にした。  ある男が「君、オウガイはスキ?」と訊いたら、「それ食べられるの?」 と訊きかえした女がいた。  オウガイとは貝のことではない、鴎外のことだ。ダジャレをつかったこのジョーク、かの明治の文豪も遠くになりにけり、ということか。  ところで漱石はどうか。このnote上でハッシュタグ数を調べたら、#鴎外:#漱石=257件:2,004件。約8倍も漱石のほうが多い。この数値を仮に人気度の指標とすれば、漱石の人気は依然として高い、とでもいえようか

          【書店便り2】漱石は「手紙」が一番面白い!

          【書店便り1】本屋のオヤジになりました

           このサイトに記事を投稿し始めてちょうど一年になる。最初に投稿したのがこれ。  極楽トンボの半隠居が電子書籍の出版に興味があること、SNSは気色悪いがいちおう執筆家のふりでもしながら.... というようなことを書いた。  それはともかく、念願の処女作「独リボッチの漱石ー英国留学と子規・寅彦との交友」がつい先日アマゾンストアで販売され始めたのだが、詳しいことは別の記事に譲ろう。  ここで云いたいのは、この出版と同時に「ハチヤ書店」という本屋とそのホームページを開設したこと

          【書店便り1】本屋のオヤジになりました

          【フォト便り3】木瓜のように...(漱石の生き方)

           すこし盛りをすぎたが、薄紅、純白、深紅の三種類の木瓜(ボケ)が小園に咲き誇っている.写真はその一つ.どれもあざやかだが、どことなく愛嬌(あいきょう)のある花だ.  ボケの品種を知りたくて、ネットで検索すると「日本ボケ協会」というのがヒットした.ご老人の親睦団体ではありませぬ.木瓜の愛好会だ.(60品種もの写真があるので、興味のあるご仁はご覧あれ.)  さて、木瓜は平安時代にシナから入ってきたらしい.けっこう昔から日本人は馴染んできたのであろうが、その語源が気になっていた

          【フォト便り3】木瓜のように...(漱石の生き方)

          【蘭英紀行7‐3】ロンドン、あちこち

           さて、ケンブリッジから電車で一時間少々のロンドンには足しげく通った.英国議会、ウエストミンスター寺院、トラファルガー広場、バッキンガム、ケンジントン、ロンドン塔、タワーブリッジ、テートギャラリーなどなど.オックスフォード街での老妻のショッピングにも辛抱強く付き合った.(本記事の最後に「ロンドンの地図と漱石ゆかりの地」マップを掲出)  地下鉄グリーンパーク駅を出てピカデリー通りを左に折れたところにファラデーで有名な王立研究院(下の写真上およびマップの6)がある.その中にある

          【蘭英紀行7‐3】ロンドン、あちこち

          【蘭英紀行 7-2】ケンブリッジ、ぶらぶら散歩

           (7-1につづく)ロンドンから100キロくらい北東のスタンステッド空港に昼前についた.そこからリムジンバスでケンブリッジへ。  友人に紹介されたカレッジのゲストハウスで旅装をとく。調度品が完備した広い居間と寝室の二部屋、それに共用の台所と食堂がある。イングリッシュガーデンではリスたちが目を白黒させながら走り回っている.じつに閑静で快適なところだ。ここに10連泊する。  このケンブリッジという古い町には30余のカレッジがある。旧市街地の西側には有名な聖ジョーンズ、トリニテ

          【蘭英紀行 7-2】ケンブリッジ、ぶらぶら散歩

          【蘭英紀行7-1】久しぶりのライデン - カマリン・オンネス研究所

          (大学のコミュニティ誌(東北大学金属材料研究所「研友」76巻(2019)に寄稿した紀行文にすこし手を入れ、写真などを加えたものをこれから3回にわたって連載する.)  一昨年の春、老妻と蘭英旅行にでかけた。オランダのライデン、そのあとは英国のケンブリッジ、そこを拠点にロンドンにも足しげく通った.  3月28日昼前、KLM便にて出国。スキポール空港に到着後、ライデンの旧市街のホテルに投宿する.久しぶりの街並みや運河が懐かしい.  翌朝、近くの「カマリン・オンネス研究所」を訪

          【蘭英紀行7-1】久しぶりのライデン - カマリン・オンネス研究所

          【蘭英紀行6】ロンドンの地下鉄にはSLが走っていた!

           このシリーズで、ロンドンの地下鉄で使う「Oyster」カードのことを書いた.今日は、地下鉄にSLが走っていた、というちょっとあり得ない話だ.  蛇行しながらドーバー海峡に注ぐテムズ河、そのまわりに拓けてきたロンドンであるが、そこを縦横無尽につないでいる大動脈が地下鉄だ.世界でもっとも古く,なんと最初に開通したのは1860年代、日本でいえば幕末の頃らしい.いうまでもなく,産業革命,蒸気機関車,鉄道など大英帝国のビクトリア王朝を象徴する世界最先端の技術だ.  余談をひとつふ

          【蘭英紀行6】ロンドンの地下鉄にはSLが走っていた!

          【エッセー3】オムツはお持ち帰りください

           写真をみてほしい.お題の文言の横に、オムツらしきものをつけた子どもの図案がある.これは小生自身が撮ったものだが、デパートの乳幼児室のようなところではない.その場所はもうすこしあとで.  何年か前のことだが、寝床で目覚めたとき右耳に違和感をおぼえたことがあった.日中はとくに気にはならなかったのでしばらく放っていたのだが、そのうちすこし痛みも出てきたので近くの耳鼻咽喉科を訪れ簡単な内診の結果、中耳炎と診断された.  投与された抗生剤を服用し、症状も徐々に軽快となったある日、

          【エッセー3】オムツはお持ち帰りください

          【フォト便り2】ヒトもウリも大差ない、ということらしい

           暦ではすでに秋.残暑お見舞い申し上げます. 今日は八月十七日、七十二候では「蒙霧升降(フカキ キリ マイ オリル)」.それにしても暑いですな.  写真は、庭の糸瓜(ヘチマ)と南瓜(カボチャ).この暑さのおかげで大豊作.糸瓜の方は、さっそく家人から「化粧水」だの「たわし」だの作れと云われる.さてさて.....  ガキの頃からこの季節よく食べたのが、直径10センチ、長さ20センチくらいの寸胴の黄色い瓜.「しっかり食べんさい」とよく祖母にいわれたものだ.長い間「マッカウリ」と

          【フォト便り2】ヒトもウリも大差ない、ということらしい

          【蘭英紀行5】 彼らは親切でもある

           前回は「人に席を譲る」英国人を紹介した.今回は「人に親切である」というお題.この経験談を二つ、どちらもロンドンでの話だ.  ケンブリッジからロンドンへは,鉄道でリバプール・ストリート駅まで行く.ロンドン中心部からすこし東よりにあるターミナル駅だ.市内各地へはここから地下鉄に乗り換えるのだが,その場合「Oyster」というプリペードカードを購入しておくとたいへん便利である.  しかし、われら老夫婦は事前になにも調べておかなかったので、リパブール・ストリート駅の構内ですこし

          【蘭英紀行5】 彼らは親切でもある

          【蘭英紀行4】「彼ラハ人ニ席ヲ譲ル、本邦人ノ如ク我儘ナラズ」

           この言葉はいまからざっと120年もむかしの明治34年1月、英国に留学していた夏目漱石の日記にある.ここに「彼ら」とは英国人、「本邦人」とはもちろん日本人のことだ.今回の旅行でこのことを追体験した.  英国ではケンブリッジのカレッジにあるゲストハウスに10連泊.広々とした居間と寝室、共同キッチンなども完備した快適な宿であった.イングリッシュ・ガーデンに囲まれながらゆったりした贅沢な時を過ごすことができた.  ゆっくり歩いて20分もあれば、古いカレッジが集まっている中心部に

          【蘭英紀行4】「彼ラハ人ニ席ヲ譲ル、本邦人ノ如ク我儘ナラズ」