「24分のX」・・・11 「ザマアミロ」連続超ショートストーリー
「奥さんにバレたって? ザマアミロ。
因果応報、どうせお前だって、結婚する気は無かったんだろう」
人事部の松野駿に冷たく言われて、私は肩の荷が下りたように感じた。
彼の言葉は辛辣だったけれど、なぜか安堵してしまったのだ。
確かに、私と塚田課長の関係は、いつかは違う道を進むと分かっていた。
でも、そんな未来を見つめることが怖くて、目を背けていたんだ。
恋愛って、待つだけで終わることもある。
でも、私の場合、それがただの重荷でしかなかい。
心も体も縛り付けられて、自由になることができなかった。
進むべき方向が前にも後ろにも見えなくなっていた。
「何が欲しいのか、自分でもわからなくなってた。だから、いつの間にか誰かに頼りたいと思うようになっていたのよ」
相変わらず、私は言い訳ばかり呟く。
自分の気持ちに正直になる勇気は、私にはないのだろう。
誰かに頼られると、それが自分の気持ちになってします。
けれど、松野の言葉によって、その甘えがバカバカしく感じられた。
「ざまあみろ・・・それでいい」
恋愛なんて、待つだけなら、ただの重荷でしかない。
体を縛り付け、心を縛り付けてくるだけ。
そんな風に考えているのに、縛り付けてくる男を求めてきた私には、
丁度いいのかもしれない。
もう、前にも後ろに進む道は無くなったのだから。
(つづく)
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