「ある女の日記」誕生の裏で・・・ハーンの驚き。旅で見つけた物語。
芸術の強さとは、人の心の強さに等しい。
力強い真実の前では、創作は影を潜める。
口伝えに集めた日本の民話を元に、創作活動を続けていた
ラフカディオ・ハーン=小泉八雲の元に一冊の書物が届けられた。
「むかしばなし」と書かれたその書物は物語ではなく、日記であった。
そこには、三人の子を無くして、悲嘆に暮れながら、自らを責めつづける
ある婦人の悲しみの日々がつづられていた。
だが、ハーンの心を強く動かしたのは悲しい人生への同情ではなかった。
日記の一節を読んだとき、ハーンは驚いた。
「うれしさも 過ぎ去ってみれば 春の夢」
そこには、悲しみにとらわれながらも自らの心情を歌に託した女性の強さがあった。
自らの身に起った悲しみさえ、見事な文学に仕立ててしまえる。
身分が高いわけでもない市井の女性が、庶民の中にも、これほどの教養を持った人物がいるなんて。
ハーンは、この日記は物語にせず、できるだけそのままの形で発表しようと思ったという。
おわり
ハーンは、松江に住んで様々な作品を作りました。
この日記は「ある女の日記」という名で発表され、
優れたドキュメンタリーとして評価されています。
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