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二度目はない

どれだけ彷徨ってもここに帰ってくる。もしも新しい人生をやり直したとしても、なんでだろう、絶対ここに戻ってくる気がする。新しい自分が想像出来ない。忙しなく生きてる自分が想像出来ない。今ここにないものを手にしてる自分が想像出来ない。何度も生きられる人生だったら、わたしはここにいないんだろうか。

どこかに向かっていきたい。ゴールを自分で作りたい。きっと本当は目標が欲しい。まるで学生みたいなことを何歳になっても思うものなんだね。

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気づいた時にはいろんなことがどうでもよくなってしまった。雑に生きてきたわけじゃない。でも人には恵まれてきたのかもしれない。何かあるほど人と関わって生きてきてないかもしれないけれど。その都度、少しは考えて生きてきたはずだから。

昔はもっと何かが出来るんだと思っていた。自分を探したくてたまらなかった。何かある自分でいたかった。でも時間はあっという間に流れてしまって、何もなくても平気な自分になってしまった。何もないのが自分だと笑い飛ばせるようになってしまった。

23歳の時「百万円と苦虫女」のDVDを観た。主人公の「(自分を)探さなくたって、いやでもここにいますから」というセリフが印象的だった。

わたしは今、どこかに行きたいとも思わない。ここじゃない土地で生きていこうとも思わない。でもなんでだろう。心のどこかには後悔があって。でも安堵してるような部分もあって。若かった時の「何かしなくちゃ」の焦りがないから、今もずっと他人事のような人生のままだ。

いくらでも願えるのが人生だ。いくらでも諦められるのが人生だ。誰も教えてくれなかったこと、ひとつずつ自分で答え合わせをしていくしかない。出会う人たち、生きていく世界線で正解や不正解は変わっていく。わたしの答えが知らない誰かにとっては不正解かもしれないように。自分が正しいと思いすぎないことを、これから先も心のなかに置いてずっと覚えておきたい。一秒でも長く優しくいられる時間が続いたらきっとわたしだって生きやすい。きっと無駄な涙も減る。

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もう一度この人生を辿ったら、もう一度巡り会う人たちがいるだろう。もう会わなくなった人たちにも会うだろう。もう少し大切にすればよかった後悔とか、あの時よりもずっと強く感謝を伝えたいとか、そんな気持ちもある。それをちょっとでも多く伝えられたら、ほんの少し今日が変わっていたかもしれないね。

確かなことよりもどうしようもないことのほうが多い日常で。救われないこともたくさんあるなかで、本当は二度目がない人生を想像する。

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