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ダンスホールのXueちゃん
中国のダンスホール(舞堂)は、まさに異境の空間だ。そこには大人の女性と男性が入り混じり、欲望という名の風が激しく舞い踊る社交場が広がっている。その場に身を置くことで、普段は見ることのできない中国人の一面を垣間見ることができるのだ。
私は何度かその異境を覗き見したことがある。上海の大人の舞踊会は、寂れた商店街の隅っこにひっそりと開かれることが多い。古びたモールの最上階や、地下の暗い空間にひっそりと佇むダンスホールは、入口周辺をタバコの煙が漂わせている。
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ホールに足を踏み入れると、ディスコ風の中華系音楽がガンガンと鳴り響く。そして、ホールの端には指名待ちの女性たちが列を成して立っている。男性たちはその前を、まるで宝石を選ぶかのように女性たちをじっくりと眺める。
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お金を支払って踊ってもらう以上、当然ながら男性たちは自分の好みにあった女性を求める。料金は地域によって異なるが、大体の相場は1曲10元〜20元である。そして、指名を受けた女性たちは男性と密着して、ホールの中央でリズムに乗って踊るのだ。
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私は南国風の容姿を持つXue(仮名)という女性と踊ることにした。彼女は手馴れた感じで私の手を取り、リズムに合わせて踊り始めた。彼女は「外人さんですか?」と尋ねてきた。私が「どうして分かったの?」と聞くと、彼女は「なんとなく。ふふっ」と笑った。
彼女は広東省出身の25歳。実家を助けるために上海にやってきたという。彼女の夢は故郷で家族と暮らせるマンションを手に入れることだ。しかし、その夢は容易くは叶わない。彼女は毎月1.8万元(36万円)を稼いで、そのうちの5千元(10万円)を家族に送り、5千元(10万円)を生活費に充て、残りの8千元(16万円)を貯金している。
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「お寿司を食べたことがないの」と言う彼女に「今度ご馳走するよ」と言うと彼女はニコッと体を寄せ付けてきた。30分踊ったんだろうか、私の僅かなお金が彼女の夢を支える一石となったことを嬉しく思う。
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