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群馬県の醤油・味噌・漬物について知る料理教室 第1回「群馬発酵ごはんキッチン」に参加してみた。

「群馬発酵ごはん」って?

2023年10月7日に、群馬県醤油味噌工業協同組合が主催する「群馬発酵ごはんキッチン」の第1回目が行われました!
いつもは縁の下の力持ちに徹しているけれど、なくなったら毎日の食生活が成り立たない存在の醤油や味噌を想像力豊かな料理人に活用してもらい、それぞれの個性を知ってもらうというコンセプトの料理教室イベントです。

「群馬発酵ごはんキッチン」記念すべき第1回を開催!

これまで数回にわたり食事会イベントを重ねてきましたが、今回初めて参加者のみなさま自身に調理していただく「料理教室」を開催!会場は今年3月にオープンした「道の駅まえばし赤城」の調理室。1部と2部の2回開催で総勢30名の方が参加されました。

参加者のみなさんは到着した順番に4つの調理テーブルに3〜4人ずつのグループに分かれて座っていただき、群馬県醤油味噌工業協同組合からの挨拶の後、今回担当される先生に自己紹介をしていただきました。

発酵ごはんキッチン第1回の先生は、フードデザイナーの「蓮池陽子」先生

蓮池先生は、都内でレシピ開発やケータリング、アウトドアフードのコーディネートや執筆活動のほか、ライフワークとして春と秋は長野県できのこや山菜などを自ら収穫・調理して過ごしつつ「みそ健康づくり委員会」のSNS運営にも携わっているそうです。

蓮池先生と発酵の出会い—。そのきっかけは森の中にありました。

森の中では微生物が私たちの排泄物を分解し、水や二酸化炭素、土へと戻してくれます。分解されたものには全く匂いがありません。微生物が匂いも分解・消臭してくれるのです。先生はこのことを知れば知るほど、微生物と発酵食品はすごく親和性があるのだと感じられたそうです。蓮池先生は発酵ごはんのことを「人が自然の力を借りてできた食べ物」とおっしゃいました。このお話を聞いて、人の営みと発酵食品は長い時間をかけて共に紡がれてきた関係なのだと感じました。

料理はおおらかな気持ちで。

今回、蓮池先生に教えていただく発酵ごはんのテーマは「万能こくうま調味料『みそ』でつくる発酵ごはん」。そのメニューは、

・鯖の味噌リエット
・チキン味噌カレー
・味噌とオリーブオイルのサラダ

以上の3品です!
味噌汁や味噌煮込みうどんのような身近な味噌料理は普段からみなさん作っていると思うので、今回はそうではない味噌の使い方をご紹介いただけるとのこと。蓮池先生は、料理はおおらかな気持ちで作るのがいちばん美味しくなると思っているそうで、教室全体が和やかな雰囲気でスタートしました。

たくさんある味噌の種類。その使い分けポイント。

最初に、蓮池先生から味噌についていろいろと解説いただきました。
味噌の風味を決めるのは麹ですが、麹の種類によって「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」の3種類に大きく分けられます。今回参加されたみなさんの中にも味噌を手作りされている方が数名見受けられました。最近ではご自身で味噌を作られる方も多く、それを「手前味噌」と言います。

群馬県醤油味噌工業協同組合のお話によると、群馬の味噌といえば「麦味噌」で、麦味噌は多くは九州や瀬戸内海など西の方で作られてきたのですが、群馬は昔から二毛作で麦を作ってきたこともあり麦味噌がよく作られてきました。ちなみに麦味噌の原料は小麦ではなく大麦を使っています。

このようにたくさんの種類がある味噌。食材との使い分けのポイントは「色」だそうです。例えば白身魚には白味噌・・・というように、合わせる食材も味噌の濃淡に合わせて選ぶのがおすすめとのことです。
また「麹」の量が多いと甘め、少ないと塩味が強くスッキリ仕上がるので、そういった味噌の個性を利用して食材を合わせていくのも一つの方法だそうです。

そして今回の料理教室で用意された味噌は「豆味噌」「あわせ味噌」「米味噌」の3種類。あわせ味噌は麦味噌と米味噌をあわせたもの。また、米味噌は麹の多いものと少ないものの2種類が用意されました。普通、味噌汁を作る時は煮えばなで止めるとされていますが、豆味噌は煮込んでも美味しい味噌なので、今回の「チキン味噌カレー」には豆味噌を使用して、しっかりグツグツ煮込んでいきましょうと説明がありました。

最後に、味噌の保存方法について。大量に味噌を購入した時など、使い切るまでに1ヶ月以上かかる場合は、味噌は「冷凍保存」がおすすめだそうです。味噌は冷凍しても固まらないので、取り出してすぐ使えますし、種類別の味噌を混ぜて使用したい場合などに冷凍庫を利用するのが良いそうです。

出汁で味わう味噌の違い。

調理に入る前に、先生が用意しておいてくれた2種類の出汁に、3種類の味噌を溶かしていただくテイスティングをしました。

出汁は「かつお出汁」と「いりこ出汁」の2つ。それぞれ好きな組み合わせで飲んでみたのですが、かつお出汁には豆味噌や米味噌を合わせるとスッキリ渋めの味わいに、いりこ出汁にはあわせ味噌でいただくと甘めでまろやかな味わいでいただけました。

味噌の種類によって味が変わるのはもちろん、合わせる出汁によってもこんなにもいろいろな組み合わせと味わいがあることに驚くとともに、味噌の奥深い可能性を感じる体験でした。
出汁の試飲後には、さあ、いよいよ調理開始です!


【鯖の味噌リエット】

最初に先生のデモンストレーションをみんなで見学しました。リエットはパテに似たフランスの肉料理で、パテよりも肉のごろっとした感じを残すのが特徴です。今回のリエットの味噌は隠し味として少し感じられるくらいにしたいので、仕上げは塩こしょうで行います。味噌をたくさん入れすぎると仕上がりが鯖味噌煮になってしまうので注意とのことでした。リエットは炒め合わせた後、室温に戻していただくので、カレーとサラダを調理している間に冷ましておいて、後ほどバケットに塗っていただく予定です。

【チキン味噌カレー】
このカレーのポイントは、玉ねぎ以外の野菜はすべてすりおろして使用することでした。マッシュルームなどキノコ類もすりおろして形を崩すことで旨みが出るそうで、ボロボロに崩れても軸まですりおろして活用しました。そして、刻んだ玉ねぎ、すりおろした野菜たちはにんにく・しょうがも含めて全部一緒にまとめて炒め始めます。ここでも「料理はおおらかに」という蓮池先生の精神が活きています!

【味噌とオリーブオイルのサラダ】
サラダのドレッシングに味噌を使用するのですが、オリーブオイルは味噌とも醤油とも相性がよく、そこへほんの少しのすりおろしニンニクを入れることで、グッと旨みが出るそうです。また、最後に削りかけるチーズは、味噌と同じ発酵食品なのでこちらも味噌との相性がとても良いそうです。サラダの葉物は塩分でしんなりしてしまうので、ドレッシングは食べる直前に和えました。

みんなで実食!最後にデザートも。

料理が完成したら、各テーブルごとにみなさんで実食です!
カレーは味噌によってコクと深みを生み出しており、これまで食べたことのない風味で和風カレーのような爽やかな辛さを堪能し、サラダはオリーブオイルと味噌がよく絡み合ったドレッシングから味噌による酸味を感じられ、サッパリと美味しくいただきました。バケットに乗せたリエットも、ほのかに味噌の風味が感じられ、お酒のアテにちょうどいい塩味だったので家でも作ってみたいと思いました。

最後に、蓮池先生が前日に作ってくださった「りんごのみそチーズケーキ」をみなさんでいただきました。食べるとほんのり味噌を感じられて、味噌の塩味とりんごの甘味がクセになるお味でした!

今回参加された方の感想をいくつか紹介します。
「味噌の新たな使い方が知れて有意義な時間になりました。」
「体に良いし味噌の知識も増えて良いことづくしのイベントでした。」
「自宅で味噌作りをしているけれど味噌汁くらいにしか使っていなかったので、味噌の新たな体験ができたので活用したいです。」
「味噌の使い分けを知りたかったので参加して良かったです。発酵調味料のイベントをもっと開催してほしいです。」

【鯖の味噌リエット】
「鯖缶を使用しているとは思えないほど、しっとりとして上品なお味がしました。」
「最後にほんのりとお味噌の風味が感じられて、ぜひ家でも真似して作ってみたいと思います。」

【チキン味噌カレー】
「あっさりしていて素材の良さを感じられました。」
「なんとなく味噌を感じられてコクのあるカレーでした。」
「今まで食べたことがない新鮮な味でした。」
「お店で出てくるようなカレーが手軽に作れてぜひ家でも作ってみたいと思いました。」

【味噌とオリーブオイルのサラダ】
「味噌の風味が酸味として活きていて、コクもあって美味しいドレッシングでした。」
「味噌の風味なのか、少し和を感じるサラダでした。」

【りんごのみそチーズケーキ】
「味噌を使っているとのことで、ケーキだけどヘルシーな感じがして食べやすかったです。」
「味噌とチーズの風味がちょうどいいお味で美味しかったです。」

以上のように、群馬発酵ごはんキッチンが参加者のみなさんにとって新たな味噌との体験を提供し、地元の発酵食材に接することのできる良い機会になったのではないでしょうか。近年では日本のみならず海外からも発酵食品・発酵調味料に対する期待が高まっており、日本食や地域食への理解や関心がさらに広がっているように思います。

最後に次回の群馬発酵ごはんキッチンのご案内です。
会場は今回と同じく「道の駅まえばし赤城」にて、前橋市の和食店「菜穀和食むくび」店主、岩崎暑正さんを先生にお迎えして開催いたします。

第2回 群馬発酵ごはんキッチン 概要
日 時:2023年11月25日(土)1部:11時〜13時/2部:15時〜17時
場 所:菜穀和食 むくび(群馬県前橋市敷島町265-3)
定 員:15名様(先着順)
参加費:2,000円(1名分)

お申込み方法
以下のリンク先の応募フォームに必要事項を入力ください。
先着順での受付となります。
https://forms.gle/tM3DPEHaEY1aYC6T8

お早めにお申し込みください。
応募期間:2023年11月15日(水)23時59分
※只今1部、2部ともキャンセル待ちとなっております。

第5回 群馬発酵ごはんの募集も引き続き行っております。

以下のリンク先の応募フォームに必要事項を入力ください。
抽選の上、当選された方にご連絡させていただきます。
応募期間:2023年8月21日(月)~2023年10月22日(日)23時59分

応募フォーム
https://docs.google.com/forms/d/10MNX0z8hNrSCWxSx0TXVqZfBpjH-ZFNpNGaZwa8Bojo/edit


醤油・味噌の世界を知ってみたくなりましたか?
次回の料理教室もぜひ応募してみてくださいね♪

文:NiRO inc. 善養寺良子

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