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熊本県はTSMC(JASM)の環境アセスメントをしない方針

熊本県の菊陽町に台湾の大手半導体製造企業TSMCの熊本工場JASMが建設中である。

規模も大きく、排ガス・排水量も莫大であるこの工場。排出される有害物質も甚大な量になることが予想される。

しかし、なんと熊本県は、環境アセスメントも健康リスク評価もしないというのだから、開いた口が塞がらない。


台湾でさえ環境アセスメントや健康リスク評価している

ただし、内容は杜撰である・・・

台湾においては、形式上、環境アセスメントや健康リスク評価はなされている。ただし、適正に行われず、周辺環境は住民に多大な被害を出している。

『新新聞』の調査取材によって、半導体業界において、使用する危険有害物質が全て開示されていない可能性があるだけではなく、サイエンスパークの開発前の環境への影響と健康に与えるリスクに関する評価に少数の危険有害物質しか組み入れられていない状況が、普遍的であることが明らかとなった。

TSMCが入居している各大手サイエンスパークでは、開発前にチェックするべき発がん性または非発がん性化学物質は100項目以上 (TSMCの場合は「2021 Sustainability Report」によると178項目) にも上る。しかし、実際に健康リスク評価に組み込まれているのはその3割にも満たない。

また、環境アセスメント報告書に基づいた拡張建設工場と既存工場で使用する危険有害物質は合計164項目存在するが、健康リスク評価に組み入れられているものは37項目のみで、その割合はわずか22.6%であるという。


熊本県は環境アセスメントや健康リスク評価を実施すらしない

熊本県はもっと杜撰だ。

なんとJASMの建設においては、環境アセスメントも、健康リスク評価もするつもりのないというのだから驚きである。

熊本県の場合、
地下水保全地域においては平均排出水量0.5万立法メートル/日以上の排水がある工場の場合は環境アセスメント対象事業であるという。

地下水を1.2万トン/日汲み上げるJASMは、当然それ相応の排水が見込まれ、県も平均排出水量0.5万立法メートル/日以上であることは認めている。

しかしながら、排水が下水道から処理場を経由するため、環境アセスメントの対象にならないのだという。


これは実におかしいことである。

なぜかというと、処理場で対応できるのは、生物学的処理(微生物)で対応可能な有機物の処理であり、工場の排水に含まれる重金属や有害な化学物質の処理は不可能。そのまま河川へ流されることになるからである。

一応、処理場に流入する排水は、水質汚濁防止法・下水道法によって基準値を満たしているかは調査されるというが、調査品目数は水質汚濁防止法と下水道法の健康項目(調査項目は同一)でわずか28品目、下水道法の環境項目で14項目であり、重金属類の調査品目数はごくわずかである。


それだけではない。

工場の周辺の住民の健康リスク評価となると、そもそも制度すら存在していない。

TSMCは半導体の種類にもよるが、178項目前後のCMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)物質を使用する見込みである。
使用される重金属もガリウム、ヒ素、ベリリウム、カドミウム、水銀、鉛、亜鉛、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、セレン、インジウム、テルル、マンガン、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルトなど枚挙にいとまがない。

しかし、日本の現行法では、これらの有害物質のほとんどが工場からどの程度排出されているか調査する法制度はない。

つまり、JASMの工場から排出される排水は、水質汚濁防止法と下水道法に含まれる調査品目以外は垂れ流し状態となる可能性が非常に高い。


半導体工場の排ガスも非常に危険である。

TSMCの中科サイエンスパークで汚染問題を追跡している環境保護医の張豊年医師は、「肉眼でTSMCの巨大な煙突から常に黒煙が上がっているのを確認出来る」と述べた。また、東海大学環境工学科の張鎮南教授も、「中科サイエンスパークの排ガスから基準値を超える重金属が検出された」と指摘し、逢甲大学水質保全学科の許少華教授の研究でもそれが実証されている。

JASMにおいては、大気汚染防止法が適応されるが、調査項目は到底足りない。


熊本県は環境アセスメント・健康リスク評価を実施せよ!

県民にちゃんとした説明もなく、いつの間にか決定し、猛スピードで建設が進んでいくTSMCの熊本工場。

熊本県が環境アセスメントを実施しない理由も、非常に不可解である。さらに、有害重金属や、CMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)物質をTSMC(JASM)が大量に使用することが明らかであるにもかかわらず、対策をしないのも恐ろしい。

このまま建設が進み、工場が稼働されれば、環境や住民に多大な被害が出ることは明確である。

熊本県は、熊本県は環境アセスメントせよ!有害重金属・CMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)物質を調査せよ!住民説明会を実施せよ!







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