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部下面談前にチェック!キャリア形成には目標よりも学習習慣が大切(1/3)

こんにちは。そろそろ評価面談・目標設定面談の時期ですね。今回は、20代の若手の部下との面談に関する記事を書いてみたいと思います。

昨今、主体的なキャリア、キャリア自律と頻繁に言われるようになりました。そのため、評価や目標設定の面談では、部下の将来のキャリアを踏まえた面談を!と、経営や人事から要望されている管理職のみなさまも少なくないのではないでしょうか。

ですが、「人のキャリアなんてどう考えればいいのか」「部下にキャリアの希望を聞いても何も出てこない、どうしたらいいのか」という声は非常に多く聞かれます。

キャリア形成には、キャリア目標よりも習慣が大事

一般的には、キャリアを考える時には、Will、つまり夢や長期の目標を持て、と言われます。ですが、そもそも「そのWillが無い場合はどうすればいいのか」「それをどうやって作っていくのか」が多くの管理職の方の悩み事のようです。

結論を申し上げると、部下のキャリア形成を考える時には、キャリア目標よりも学習習慣が大切です。

つまり、将来の目標はかならずしも立てる必要はないのです。
このことについて、これから3回に渡って記事を書いてみます。

キャリアの8割は、想定外の出来事によって決定される

まず本記事では、「キャリア形成を考える上で将来の目標が無くても良いのはなぜなのか」について紹介します。

その理由は、「キャリアは目標通りには作れない」からです。

ここからは、キャリア理論をご紹介しながら確認しましょう。『計画的偶発性理論』という、キャリア領域でとても有名な理論があります。心理学者のクランボルツ教授によって提唱された理論です。

計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)
・人のキャリアの8割は、想定外の出来事によって決定される
・想定外の出来事を、主体性行動と努力で最大限に活用することが新たな
   キャリアにつながる
・受け身で待つのではなく、偶然の出来事を意図的に生み出すように
    行動することで、チャンスが増える

未来に何が起こるのか予想することは難しく、キャリアが外的な要因で計画したとおりにいかないことも珍しくありません。また、この理論は1999年に発表されたもので、当時に比べてますます予測不能な時代に生きる私たちには、必須の考え方と言えるでしょう。

もちろん、キャリア目標を持つなとか、意味が無いとは言ってはいません。良い目標は、自分自身を動機付けできるものでもあるからです。ですが、「何をしたいかという目的に固執しすぎると、目の前に訪れた想定外のチャンスを見逃しかねない」とも言えるのではないでしょうか。

部下の方にとっても、
・特に考えもせず、形式的で固定的な机上のキャリア目標を描く
・キャリア目標が無いことで、無駄に焦り目の前の仕事に集中できない
・(想定通りにいかない)環境を理由にして、安易に転職してしまう
このようなことが起こっているとしたら、非常にもったいない事です。まさに、チャンスを見逃している可能性があるからです。

キャリアにつながっていく学習と行動を支援する

では、私たち上司は、一体どのように部下のキャリア形成に寄り添えばよいのでしょうか。クランボルツ教授は、次の3つを提案しています。

1.「想定外キャリア」は既にこれまでのキャリアの中にあると理解する
2.好奇心に従い「学ぶこと」と「探究すること」の新たな機会を持ち続ける
3.好ましい機会をつくり出すために、具体的に行動する

つまり、まず部下自身に計画的偶発性理論を紹介し、これまでの経験を一緒にふりかえってみること。そして、これから何を学んでいくのか、そのためにどのように行動するのかを一緒に考えることなのではないでしょうか。

将来を予測することは出来ません。だからこそ、想定外変化への適応力を身につけておく。そのための学習と行動の習慣を持つことが大切なのです。それが結果としてキャリアにつながっていく、ということなのだと思います。

次回は、何を学べばいいのかについて具体的に見ていきたいと思います。(執筆者:三木)


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