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【楽曲語り】君エール・後編〜舞台の上と下、この瞬間だけのエール交換を【まいにちFinally・day13】

こんにちは!灰色です。

昨日に続き、本日の「まいふぁい」も楽曲語り・君エール回です。なお、サムネは私の親友が撮影したLIVEでのHaruna様の君エールポーズを使用しています。

前回は「双方向性」「今」をキーワードとして、歌詞を考察してきました。

今回はLIVEにおける君エールの特色を考察していきます。また、記事の最後ではこの曲に対する私の思い出についても少し触れております。それではどうぞ。


②LIVEで君と贈り合う「エール」

ストレートで爽やかなメッセージ性と、一瞬で振りコピができるサビの楽しさから、LIVEでも定番曲の一つである君エール。

その振り付け、そしてトータルのパフォーマンスは、もともと雄弁な歌詞をさらに際立たせると同時に、Finallyだけの特別な時間を作り出します。

イントロではそれぞれ別の方向を向いて無表情で膝をついているメンバー。強い意思を感じさせるMegの歌い出しから順番に立ち上がっていく形で、ステージの幕が上がります。

そこから澄みきった青空のように美しいファルセットが披露され、ガッツポーズとワンツーパンチを組み合わせたような独特でかわいらしい振り付けで、メンバーそれぞれが元気いっぱいに動き出します。明るい曲調にピッタリのスタートです。

1番のトップはTinaの優しく包み込むような歌声。全力を出しきって遠くへ声を飛ばす歌い方と、目の前の一人一人に語りかけるような歌い方のどちらもできるのが彼女の魅力です。この曲では特に、鍵盤をはずませるように軽快かつ丁寧なテンポで歌う彼女の声が印象的です。

曲調が変化して盛り上がっていく1Bパートのダンスは、歌担当のメンバー以外がリズミカルに腕をクロスして上下させる動きで統一されています。とても真似しやすい振り付けです。

そこからサビにかけては、ドラムビートに合わせたフロアのクラップがとても自然な形で加わり、一体となってサビへの展開を盛り上げます。「限られた時間をその命燃やして」というRinkaの歌詞と彼女自身の熱い歌声に応えるようにして、会場のボルテージも上昇していきます。

また、1番およびラストのサビ直前でのHarunaの歌唱も特筆すべき美しさ「掴め 栄光のあのステージへ」「羽ばたけ空へ」という言葉通り、空間いっぱいに高く広く響かせるような歌声です。ここぞというとき、最適なトーンと歌い方にシフトして完璧に決められる彼女の安定した技量には脱帽しかありません。

そして、何といっても君エール最大の特徴がLIVEでのサビ全員揃って両手を天高く掲げ、リズムを取るものです。途中「強く、強く鳴り響く鼓動信じて」で頭を押さえて悩みを振り払うような仕草が、「それぞれの物語を」で揺れる天秤を思わせる手首の動作が入るものの、言ってしまえばその振り付けは極めてシンプル。

ですが、このサビの真髄はメンバーたちの表情にあります。彼女たちはステージの上から、弾けるような笑顔で観客ひとりひとりと目を合わせていくのです。

そのキュートさとあたたかさに満ちたまなざしは、見ている者をも否応なく笑顔にさせます

その結果、ライブに来ている全員が笑顔でつながり、今この時間を共有していることがはっきりと意識できる、多幸感に満ちた磁場が出来上がるのです。

これは紛れもなくFinallyのLIVEでしか味わえない体験であり、観客がいて初めて完成する作品です。

そしてこのサビをいっそう特別なものにしているのは、楽曲のテーマ・メッセージとステージパフォーマンスが完全にリンクしている点です。

「君エール」とは「君からのエール」であり「君へのエール」であることは、前編で繰り返し触れた通りです。

加えて、「たった一度しかない今」の大切さが主題であり、それが一回一回のLIVEと共通していることも取り上げました。

それらのメッセージを具現化したのが、このサビのパフォーマンスです。

Finallyのメンバーと観客=Fimillyの一人一人が、同じダンスを踊りながら視線を通わせる瞬間。お互いが最高の笑顔でいられる、特別な時間。

同じ人と、同じ笑顔で、同じ時を過ごすことは、二度とありません。

だからこそ、今この瞬間にあるもの、目の前の大好きなメンバーが贈ってくれている笑顔とエールを大切にしたい。

そして、こちらからも精一杯の笑顔とエールを返したい。

高揚感に鳴り響く、この胸の鼓動を信じて。

LIVEパフォーマンスでは、舞台の上に立っている者とそれを応援する者という正反対の二者によるエール交換が、ことばだけでなく動きと表情をも伴って完全に成立しています。

これはどちらが欠けてもたどり着けない表現の究極形であり、LIVEという総合エンターテイメントにおける一つの答えです

声出し禁止公演が主流でコール&レスポンスが難しい時期に作られたこともあってか、このやりとりは観客の声を必要としません

その代わり、シンプルですぐに真似のできる振り付けと、彼女たちのキャラクターそのものを最大限に活かす笑顔により、初見の観客からも自然に明るく楽しむ気持ちを引き出します。

フロアが思い通りに動くようステージから要求することも、逆にステージと無関係にフロアが騒ぎ立てることも、このような関係を作ることにはつながりません。

それは、演者が観客を信頼して熱を送り、観客がそれに熱で応えることでのみ成立する、奇跡のように尊い瞬間です。

この相互作用は1番、2番と加速的に場をヒートアップさせていき、最後の最後には作詞を担当したRinka自身が、彼女の声でしか歌うことのできないエールを、遥か彼方に向けて放ちます。

そして、その歌声に共鳴するようにステージの6人とフロアの観客は共に手を掲げ、澄んだ眼差しを天空に描く夢景色へと飛ばしていきます

今このときが昨日を超えられたように、明日が今を超えることを信じて。


サビのエール交換には、恐る恐る参加したって構いません。もちろん、全力を振り絞って力の限り楽しむのもOKです。

だって、彼女たちはこう歌っているのですから。

何度転んだって 間違いなんか一つもなくて
不器用でも 叫んでみろ
君エール

「君エール」2番サビ

ステージを見つめるあなたは、あなたなりの形で、Finallyへ自分の気持ちを返すだけでいいのです。

それこそが、「君エール」。

答えは、いつだってあなたの眼差しにあります。


③終わりに……君エールと私の思い出

ロッケン以来の楽曲語り記事でしたが、またしても過剰な熱量で書いてしまいました。もちろん楽曲そのものの魅力、そしてLIVEパフォーマンスの素晴らしさと特別さが筆を(指を)これほど走らせた最大の要素なのですが、実はこの記事を書いたのにはもう一つだけ、特別な理由がありました。

私が初めてFinallyに心をつかまれた曲が、君エールだったからです。

LIVEでの君エールは、Megが「ここにいる皆さんに向けて」というようなメッセージを添えてスタートすることがしばしばあります。

また、「空」の描写が印象的な歌詞に加えて、各メンバーが遠くまで響かせるような歌い方をすることから、野外ステージでのパフォーマンスにおいて特に光る曲でもあります。

その条件をどちらも満たしていたのが、あの日のイナズマロックフェス・風神ステージでした。


通りすがりに足を止めたところへ語りかけられた、「今日この会場にいる、すべての人へ届けます。『君エール』」というひとこと。

そのときの私には、この曲名がなぜかすごく特別なもののように聞こえました。

当時の私自身が、誰かに活力をもらうこと……エールを渇望していたからかもしれません。

そして、観る予定の全くなかったステージの上には、今まで見たことのない輝きを放つ6人の姿がありました。

「等身大の応援ソング」なんてものに胸打たれることは生涯ないと思っていた私に、どこまでも響くあの歌声は、説明のできないエネルギーをくれました。ステージを遠巻きに見ている足を震えさせるほどに。

あの日の私が見た君エールは、あたたかくて眩しい光そのものでした。

その光が人生を変えてくれて、そうして今、私はここでこうして生きています。


この曲をどうしても最初に取り上げたかったのは、これが理由です。

私にとって君エールは、Finallyと出会わせてくれたはじまりの曲であり、かけがえのない思い出の表紙なのです。

それゆえに、大好きな気持ちと最大限の感謝を込めて、この曲が持つ唯一無二の特徴と魅力を綴ってまいりました。

珠玉の名曲揃いのFinally楽曲群にあっても、君エールはいわば私の中で別格扱いであるため、今後の記事がこれほどの熱量で書けるかは正直なところ分かりません。

今はただ、今回の記事が一人でも多くの人の興味を惹き、この曲の素晴らしさを再発見してもらう手助けになることを願っています。


そして、叶うことならばもう一つだけ。

私なりに全力を尽くした不器用な叫びが、この名曲とFinallyへ向けたエールとなりますように。


それでは、また明日の「まいふぁい」でお会いしましょう。

ここまでお読みいただき、誠にありがとうこざいました!

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