1.プロローグ ここに一枚の写真がある。 あの日・・・僕が軟禁されていた日、奴らの目を盗んで撮った奴らの店の写真だ。 これを見る度にいつも思うのだ。 これは一体どこだったのだろうかと・・・ もしかすると、本当はニューデリーですらなかったのかもしれないと・・・ ***************************** 自分自身の一番の教育者は自分だと思っていた。 昔から、先々のことまで考えて、自分にとってどう行動するのが一番いいのか、あるいは
SIDE-A 呪いの人形 ある小さな港町に美しい娘が住んでいた。 彼女は悪魔だった。 彼女が営む雑貨店では彼女の手作りの人形を売っていた。 この手作りの人形はかわいいと評判で、その噂は遥か遠く海を渡って異国までも流れる程だった。 しかし、その雑貨店の女は決して笑顔を見せなかった。 彼女が作った人形を買った者たちはみな必ず不幸に見舞われた。 人も羨む名門貴族の家に嫁いだ、とある女性は、この店で人形を買った一週間後、突然離婚をし、人知れず町から去って行った。 町一
第9話 さよなら、ワタシ(最終話) (神殿の大広間) 戦いが終わった神殿の大広間では、もはや敵味方関係なく、けが人の救護活動でごった返していた。 そんな中、エレノア王女もケガ人の手当てに忙しく走り回っていた。 その時、エレノアはふと、自分が手当てをしている目の前の敵兵の顔に見覚えがある様な気がした。 通りすがりのワイズもその事に気がついた。 ワイズ「エレノア王女!その男は、サマルク帝国のトレイ参謀です!今回の侵攻計画を立案した中心人物です!」 エレノア「や
第8話 Sincerely (ピスタチ軍の基地内) くるみ達はサマルク軍に占拠されているフェニックス神殿を奪還する計画を立てていた。 折りよく、サマルクの皇帝、タンブラーも前線を視察する為に、現在フェニックス神殿に滞在中であった。皇帝を倒すなら今がチャンスだった。 ピスタチ・バックムーン連合軍の参謀であるワイズは、ある機器を兵士達に配りながら言った。 ワイズ参謀「これは兵の魔法レベルを測定できるスカウターだ!各隊長はこの数値を参考にしながら兵を配置する事!」
第7話 今の私にできる事 くるみ達がピスタチの森に帰ってみると、既に森の殆どがサマルク軍に占領されてしまっていた。 くるみ達は小高い丘に登り、敵に見つからないように伏せながら、上からピスタチの集落を覗き見た。 まりあの左手にはまだ包帯が巻かれており、動かすと痛そうだった。 まりあ「おかしい。ピスタチの集落がこんな簡単に占領されてしまうなんて。防衛軍は一体何をしていたんだ。」 集落の中では、あたり一帯で略奪行為が行われていた。財産を奪い取られ、家屋に火を放たれ、
第6話 異国の町にて まりあは王宮・大広間の入口の警備にあたっていた。 大広間の中では厳戒態勢の中、マグマ大将軍とピスタチの森の王族達が会談をしているはずであった。 しかし、突如大広間の中から耳をつんざくような悲鳴が聞こえ、続いてガラスに似た、何か恐ろしいものが割れるような音が響いた。 まりあが急ぎ大広間の扉を開けると、大広間の中は既に一面の氷の世界だった。 床や天井はおろか、警備にあたっていた衛兵達を含め、カシュ王も、王妃も、王族たちはみな凍ってしまっていた
第5話 魔法の森の王女 (まことくんの部屋) エリは口もとにかすかに笑みを浮かべながらくるみに近づいて行く。 エリが腕を伸ばし、くるみに手を触れようとした瞬間、突然、窓が破られ、外からエリを狙う電撃が走った。 エリはすかさず飛び退いて電撃をかわす。 割れた窓ガラスの向こうには中空に浮かぶまりあちゃんの姿があった。手にはまだパチパチと放電が収まっていない杖を構え、黒いとんがり帽子に黒いマント。そして何より宙に浮いているのだ。どう見ても魔法使いだ。 まりあちゃ
第4話 まことくんの消えた過去 くるみの学校からの帰り道は、家がお隣り同士のまことくんと久しぶりに一緒だった。 まこと「くるみちゃんがまりあちゃんと一緒じゃないの、珍しいよね」 くるみ「うん、まりあちゃん、なんか今日は急遽、家族みんなで在所に行 かなきゃならなくなったみたい。なんか急いで帰って行ったわ。」 まこと「在所?へぇ、何かおおごとかな?」 その時、2人の背後から話しかけて来る声がした。 「あら、この2人の組み合わせは珍しいわね」 振り返ると、まこと
第3話 頑張れ!お父さん! (現代) くるみは今日も元気に学校から帰って来る。 くるみ「ただいまー!お父さん!」 くるみ、夕飯を作っているお父さんに背後から抱きつく。 お父さん「ああ、お帰り。もうすぐ夕飯が出来るから、手を洗って着替えておいで」 くるみ「はーい!」 お父さん(最近なんか急に素直になったな。何かあったのかな?) 夕飯を食べながら、くるみはずっと知りたかった事をお父さんに聞いてみた。 くるみ「ねぇねぇ、お父さんって、魔法使いのお母さんと、ど
第2話 わたしのお母さん (現代) くるみ「じゃ、お父さん、私、学校行くねー」 お父さん「あ、くるみ、ちょっと待ちなさい。」 お父さん、大きな青色の石が輝くペンダントを持ってくる。 お父さん「くるみ、10歳の誕生日、おめでとう。これは特別なペンダントなんだ。きっとくるみを守ってくれる。」 くるみ「ありがとう。お父さん、私の誕生日覚えててくれたんだ」 お父さん「当然だよ。忘れるわけないじゃないか。」 くるみ「嘘だ。去年も一昨年も忘れてた」 お父さん「あはは、
あらすじ ごく普通の小学四年生、東雲くるみがひょんな事から森の妖精ナッツと知り合い意気投合する。 二人の周囲には凄い人達、凄い妖精達がいっぱい。 二人は劣等感に打ちのめされながらも必死に成長し、やがて自分の住む魔法の森が他国の魔法使い達に攻められた時、彼らは自分のやるべき事を知る。 プロローグ おかしい。絶対におかしい。 わしはこのピスタチの森の研究を始めて30年になるが、この森がこんなに急速に精気を失って来ているのを見るのは初めてじゃ。 真夏だというの
<I hope> 黒猫のミーくんと出会った。 捨て猫だった。 僕をじっと見つめる目がかわいくて、親に頼み込んで飼う事にした。 ミーくんは僕に幸運を運んで来る天使みたいだ。 僕がずっと好きだった舞ちゃんと、ミーくんがきっかけで最近よく話せる様になったんだ。 でも、どちらかと言うと舞ちゃんの方が積極的だったかな。 もしかしたら、舞ちゃんもずっと僕の事が好きで、話すきっかけを探していただけだったのかもしれない。 「ミーくんに会いたい」を口実に、僕の家に遊びに行