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職場で働き始める時に身につけるべき、職場の感覚を体系化してみる

本業をやっていた時から非常勤として、別の職場でも働いていた。
別の職場で働くと、同業だとしても、すぐにはスムースに働けないことに気がつく。
また、系列へ出向した際にも、同じことをぼんやりと思っていた。
独力で仕事をこなせないので、お題にもあったが、はじめての仕事状態。
同じ業務をしているので、知識面は問題ないはずなのだが、何が違うのか。
自分がまたどこかの職場で働く際に、考えた方が良さそうなことを、備忘録的にまとめておく。


職場の感覚、もしくはローカルルールという言葉で表してしまえばそれまで。
例えば、就業初日に、見ず知らずの場所で、人から資料を作ってくれと言われて、PCを使用+テータ作成+紙もスキャンしてデータ化、部数ごとに印刷してホチキス留めするだけでも、考えることがそれなりにある。
また、職場内で、ものやデータの場所が移動していたときに、どこにいったか、あたりを付けられるのも職場の感覚。
だいたいこの辺に近いジャンルの物品がまとまっているからここだろうとか、移動するならあの人かもと考えて、訊く人はこの人がいいだろうとか、考えるわけである。
このあたりを、職場の感覚として、分解した結果が以下。

・備品関係:置き場所、それを使って良いのか、誰かに声かけが必要なのか、使った場合は個数カウントや発注をするのか、発注はどこにできるのか、無くなった場合はどこから持ってくるのか、新しい備品や消耗品が欲しい場合の購入申請経路

・人間関係:スタッフの名前/性格/容姿/職位/部署/普段どこにいるのか/好む連絡手段/1日の流れで忙しい時間とお手隙の時間/得意分野/報連相すべきこともしくはしない方がいいことを覚えること

・連絡関係:個人携帯は使用するのか(BYOD含む)、個人の連絡先は教える風潮なのか、メール/電話/FAXは使っているのか、それとも連絡ツールは導入されているのか、それぞれの連絡手段の活用具合はどれくらいなのか、連絡時にお疲れ様ですなどの文面が一言必要なのか

・設備関係:どこに階段/エレベータ/トイレ/別部署/出入り口があるのか、入っちゃいけない場所はあるのか/何時から夜間休日になるのか、その場合の出入りはどうするのか

・システム関係:どこまでが電子でどこまでが紙なのか、スムースにデータを共有する手段はあるのか、あるならイントラネット上なのかクラウドなのか、ないならUSBメモリなどの媒体を使用するのか、職場としてのセキュリティレベル(リテラシー)はどれくらいの風潮なのか、どこまで手をつければ処理/業務が終了するのか

・マニュアル関係:電子なのか紙なのか、どこにあるのか、何がどこまでマニュアル化されているのか、更新されていて役に立つのか、誰が作成更新者なのか

・その他:業務の範疇(どこまでがどの部署の管轄なのか)、外出がある場合直行直帰OKか、タイムカードは電子か紙か、時間外はどれくらいあるのか、時間外申請がどれくらい通るか、フレックスや有休はどれくらい使いやすいか、使う場合はどのように申請するのか、突発的に休むことは可能か、福利厚生は何があるのか、支給品は何があるのか

新卒で、業務を覚えようとする際に、知識(テクニカル)面ばかりにフォーカスされる方がいるが、ルーチンワークをやっても知識面が増えていかないと凹む必要はない。
こなす中で、上記のことを知らぬ間に吸収して、その職場でできることは増えているはず。
そこに目を向けて、いずれ改善ができるようになれば良い。

既卒組は上記に対し、なぜこうやらないんだ、馴染まないわ、と思う方もいるだろう。
しかし、いきなりオラオラと改善要望を出すと、受け入れられない場合もある。
以前、中途者からいくつか改善提案の意見が出た。
様々な意見の中で、肯定的な気づきがあったが、全体の流れを見てから言ってほしいと感じたこともあった。
改善をする場合、改善してほしいと言われた一つの事柄だけではなく、芋づる式に、関連事項も沢山変える必要が出てくる。
今思うと、改善提案に対する反対が多かったのは、現状維持バイアスで腰が重いだけだったかもしれないし、実際にやってみないとメリットが体感できなかったのもあるだろう。

新卒・既卒共に、改善意見を出す前に全体を俯瞰する時間として、守破離の”守”を最低限守った方が、改善意見が他スタッフから受け入れられやすくなるように思う。
ただし、守にかける時間は程々がいい、現状維持バイアスが強まるから。
改善できそうなことは忘れる前にメモしておき、全体を見通して俯瞰できるくらいになってからアウトプットする。
そして、「なんでこうしないんだ?」とストレートに言うのではなく、「これってもしかして、もっと良くなる可能性ないでしょうか?そうすると、あなた方も私達も楽になって、時間やコストの削減になるような気がするのですが、どうでしょうかね?」くらいのキツくない建設的な言い方で、雑談もできそうなゆるいタイミングで「ちゃんと権限持ってそうな人/1番改善されて恩恵を受けそうな人」に伝えるのが大事。

先ほどの分解した内容は比較的、外的な要因だなと感じた。
職場の感覚から、少し話が脱線するが、着想してしまったので、内的なものも併せて考えてみた。
そうすると、ポータブルスキル※1やノンテクニカルスキル※2の分類が近いか。

職場の感覚。
中には、コンビニの商品配置みたいに、標準化できなくはないものもあるとは思うが、なかなか難しい。
だからこそ、この辺ができる人は重宝されるのだろうな。
あと、職場の感覚的な情報を共有してくれる人が、職場に1人いるだけで、仕事ができるようになるのが早まるので、次の職場でまた教える立場になった時は、ここら辺も意識して教えるようにしたいところ。


”「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。ポータブルスキルの要素は「仕事のし方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」において、9要素あります。
【仕事のし方】は仕事における前工程から後工程のどこが得意かをみており、【人との関わり方】はマネジメントだけでなく、経営層や、上司、お客様など全方向の対人スキルをみています。

ポータブルスキルの要素
仕事のし方
現状の把握:取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析のし方
課題の設定:事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定のし方
計画の立案:担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方
課題の遂行:スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方
状況への対応:予期せぬ状況への対応や責任の取り方
人との関わり方
社内対応:経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得のし方
社外対応:顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成のし方
上司対応:上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方
部下マネジメント:メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当てのし方”

※1:ポータブルスキルについて、厚生労働省より(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23112.html


”ノンテクニカルスキルは、作業者個人の用心深さや仲間との密な情報共有が必要である非定常作業において適切に働けばトラブル発生の可能性を低くすることができる。特に、下記のような状況で「コミュニケーション」「状況認識」といったノンテクニカルスキルは有効である。
・複雑な過程を経る意思決定が求められるとき
・通常と違う運転状態に変わったとき
・工事中に現場環境が変わってしまった場合

ノンテクニカルスキルは、「コミュニケーション」「リーダーシップ」「状況認識」「意思決定」の大きく4つに分類できる。下記の表1にノンテクニカルスキルのカテゴリーとその要素を示す。

表1 ノンテクニカルスキルのカテゴリーとその重要要素

(1)コミュニケーション(チームワークを含む)
・復唱の実施(確認会話)
・3wayコミュニケーションの実践
・ブリーフィング(事前の説明)の確実な実施
・デブリーフィング(作業の振り返り)の確実な実施
・傾聴力
・言い出す力

(2)リーダーシップ
・チーム活動の積極的リード、働きかけスキル
・思いやりのある関与(コミットメント)
・動機づけ、雰囲気づくり

(3)状況認識
・自問自答力で客観的に見られる
・警戒心の維持
・問題点の分析後の予測能力

(4)意思決定
・相談の大切さを理解している
・選択肢から判断して決定する力
・実効後の振り返り”

※2:ノンテクニカルスキルの概要、JAMステより
https://www.jamss-station.jp/business/non-technical-skills/


上記2つのサイト、気になる方は見てほしい。厚労省の方は、ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)があり興味深い。
JAMステの方は、さすが航空業界。
分かりやすく書かれていて勉強になった。
なお、ノンテクニカルスキルを調べると、ネット上では医療安全関係の内容が多く、なかなか汎用的な記載のものは少なかった。


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