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君と会えたから・・・ 著者:喜多川泰

本日ご紹介するのは喜多川泰著、ディスカバートゥエンティワン出版の『君と会えたから・・・』です。


この本のおすすめポイント

  • 最後のあとがきまで読んでほしい!

  • 欲しいもの、やりたい事(GIVEの)リストだけでは足りない。してあげたいこと(テイクの)リストがあってはじめて欲しいものに近づける。

  • GIVEはすぐ手に入らないが、TAKEはすぐできる。

  • 最後まで読んだとき明日が来る素晴らしさと今日1日を後悔のないよう全力で過ごしたいと思えるはずです。

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以下、感想です。
ネタバレを含みますので閲覧にご注意下さい。


書籍の概要

出発:ディスカバートゥエンティワン
著者:喜多川泰
出版日:2006/7/10
その他:Amazonプライム会員なら無料で読めます(2022/01/25時点)


ヨウスケの出会い

主人公の高校生ヨウスケはある町の本屋の息子です。
父の代わりに店番をしていると、白いワンピースがよく似合う同い年くらいの少女ハルカがやってきます。

あいにくハルカの目的の本は店に無く取り寄せ注文する事になりますが、ヨウスケはハルカが求めた本に興味を持ち、自分もその本を読んでみる事にします。

同じ本を読んだ事をきっかけに2人の距離は少しずつ近づきます。
ハルカに一目惚れしていたヨウスケはハルカに会えるだけでワクワクしていましたが、ハルカはヨウスケに会う度、父の教えを1つずつ話し始めます。
次第にヨウスケはハルカに会える事だけでなく、ハルカから父親の教えを聞く事が楽しみになってゆきます。


ハルカの父の教え

本書の中でハルカは父から教わった6つの事をヨウスケに話ます。
「こんな時、父からこんな事を教わったの!素敵でしょ?」
父の教えを話すハルカは毎回こんな感じで、それを聞くユウスケも非常に感銘を受けていきます。


感想

第一印象

まず、私はこの本を読み出した時、正直あまりワクワクしませんでした。

冒頭こそ、ヨウスケがハルカに一目惚れした描写あたりまでは恋愛小説としてのワクワク感がありましたが、ハルカが父の教えをヨウスケに話す内容がどこか世に溢れる自己啓発本の内容にしか感じられませんでした。

多くの自己啓発本が著者から読者に語りかけるような直接的な構成をしているのに対し、本書はハルカ(=自己啓発本の読者)が父(=自己啓発本の著者)から聞いた話(=自己啓発本を読んだ内容)をヨウスケ(=友達)に話す様子を描く間接的な構成になっているものの、それでも少々読み苦しさがありました。

感銘を受けた話①

その中で、少なからず感銘を受けた話がありました。
1つ目が、『GIVEのリスト&TAKEのリスト』という話です。

できるかどうか関係なく、自分のやりたい事、理想の生活・姿、夢、欲しいもの、etc…その全ての叶ったらいいを書き出して欲しいものリスト(GIVEのリスト)を作ってみよ。というのは自己啓発本でよく出てくる話です。
しかし、本書で出てくる、してあげたい事リスト(TAKEのリスト)は新しい視点でいい考え方だなと思いました。

どういう事か?例えば、
今や無くてはならない洗濯機は、ある人が妻の負担を軽減したい強い思いからできたそうです。

GIVEのリスト
→世界中でヒットする商品を開発して特許をとる

TAKEのリスト
→母の家事負担を軽くしてあげたい

だったとき、TAKEからGIVEが生まれたと言える。
GIVEのリストは結果として手に入るものであって、それを目標に生きていくものではない。

そしてTAKEリストは自分の想い1つでいくらでも、何回でも達成できる。

これは今まで自分になかった新しい視点でした。

感銘を受けた話②

2つ目は『職業を夢だと考えない方がいい』という話です。

プロ野球選手になりたいと、将来の夢を語る少年がいたとします。
なぜプロ野球選手になりたいか問うと、『かっこいいから。好きな事やってお金がたくさん貰えるし、有名にもなれるから』と答えました。

さて、少年のプロ野球選手になりたい理由はプロ野球選手でなければ果たせないものでしょうか?

プロ野球選手は手段の1つであって唯一ではない。
職業を夢と思わない方がいい。とはヨウスケの言葉です。「何になりたいか」ではなく「なぜなりたいか」を考えさせられるエピソードでした。

大逆転

さて、これまで書いたように少なからず感銘を受けたエピソードはあったものの、未だ読み苦しさは残る本書でしたが、最後「手記」から始まる章で一変しました。

ハルカの父がハルカに寄せた想い(どれだけハルカを想っていたのか、、)親娘に限らず他者を想い、他者に伝え、他者に残す事の素晴らしさを感じました。

自分もこんな風になりたいなと。

そして幸運な事にハルカの父の想いをハルカはしっかり受け入れ、ハルカもまた他者を想い、他者に伝え、他者に残そうとしたのでした。

ハルカの父の教えの内容よりも、『他者を思う想いが伝わっていく』描写が非常に感動的でした。

あとがき

他者を想う事の素晴らしさを感じて読み終えた本書でしたが、あとがきが非常に重みのあるものでした。

著者の本書を書くきっかけになったエピソードが綴られているのですが、フィクションとした読んでいた本書が半分くらい著者の実体験が元となっており、その事実を知ったあと、急に本書がリアリティを増しました。

唯一、人に決まっている事があるとすればそれはいずれ死ぬ事だけ。

いつ起こってもおかしくないその事象がいつ起こってもいいように他者を想い、他者に想いを伝えていきたい。
そのために1日も無駄にしたくないと、そう思える一冊でした。


いかがでしたでしょうか。
私は結構"誰かのために何かをする"というエピソードに弱いので想いを繋ぐ締めになっている本書は感動のまま読み終えました。

かなり長ったらしく書いてしまいましたがこの投稿が皆様が本書を読むきっかけになれば幸いです。


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