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なぜあなたの会社はエンジニアが辞めてしまうのか?その①


はじめに

みなさんこんにちは。みやたけです。
最近のWEBサービス運営チームというと、エンジニアの評価を、企画職や営業職、WEBマーケ職出身などの非エンジニアの方が行うことも多いですよね。

そんな時、多くのエンジニアが、

「正直、ちゃんと評価されてないんだよな」

といった悩みを抱えがちです。一方で、非エンジニアの上司からしても、

「正直、どう評価すればいいか分からないんだよな」

と思っていたりします。こんな話、あなたの周りでもぶっちゃけありませんか?
専門分野が違うので仕方ないと思うのですが、みんな一生懸命やってるんです。こうしたすれ違いを、少しでも解決できれば……。
これまで、いろいろな会社や組織で非エンジニアの上司からの相談を受けて答えている中で、

「なるほど!」

と言われたものがいくつかあったので、もしかしてニーズがあるんじゃないかなと思い、それらを集めて一つのストーリーにしてみました。あくまで聞かれてその場で答えた事を集めただけなので、全てが正解なわけではないですし、内容が適切ではないものもあるかもしれませんし、参考になるもの、ならないものもあると思いますので、参考程度に読んで下さい。

あなたが同様の説明をする際に、この記事の内容や資料が一助となれば幸いです!

登場人物の紹介

まずは本記事の説明です。今回は対話形式で書いてみたので、登場人物の紹介です。3人登場します。

エンジニア:Eさん
Eさんの評価者:Sさん(非エンジニア)
Sさんの友人のエンジニアマネージャー:Mさん

登場人物

序盤はエンジニアのEさんと、非エンジニアでEさんの評価者である営業出身の事業部長Sさんが出てきます。そのあと、Sさんと、その友人で他の会社のエンジニアマネージャー(以後EMと呼びます)をやっているMさんとの会話になります。
ありがちな現場を再現したつもりですが、この話はあくまでフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありませんのでご了承下さい。
では登場人物の設定です。

Eさんの設定(エンジニア)

根っからのITエンジニアで、人とのコミュニケーションは苦手だけど真面目でコツコツ謙虚なタイプ。
とにかくもの(プロダクト)づくりが好きで、オープンな文化が好きなWebエンジニア。

Sさんの設定(非エンジニアの評価者)

営業出身の事業部長で、エンジニア経験はない。
営業出身ではあるが、事業部長として営業以外のマーケティングチームやエンジニアチームなど自分が未経験な職能チームも束ねており、Eさんの上司でもある。Eさんに対しては、うまくマネジメントできているし、関係性も良好だと思っている。

※ 他にも、マーケティングマネージャー、プロダクトマネージャー、営業部長、企画リーダー、コーポレート部門長……、という感じで、いろんな職種やプロダクトの方がエンジニアの評価をする事があると思うので、置き換えて読んで頂ければと思います。

Mさんの設定(他社でEMをやっているSさんの友人)

Sさんの元同僚で、今は別の会社でEMをやっている。元々エンジニアとして開発業務をしながら、だんだんとマネージメント領域の経験が増えてきて、今ではEMとしての経歴がそれなりに長くなっている。Sさんとは昔からの縁で、今でもたまーに交流があり、相談したりされたりする間柄。

では早速物語に入ります。

EさんとSさんの職場


SさんとEさんのいる企業は、営業の人数が多く、ビジネスモデル的にも営業が生み出す売上割合が大きいため、暗黙的に営業が強い会社でした。

営業ミーティングの様子

評価者であるSさんも、取引先との交渉や説得、コミュニケーションが上手で、取引先や自社の経営陣の信頼を掴んできた営業出身の事業責任者です。

会社が小さい頃からいて、その頃はエンジニアとの距離も近く、一緒に売れるものを作っている感覚もあり、お願いしたものをサッと作ってくれるエンジニアに心から感謝したものでした。

しかし会社もサービスも大きくなった今は、どこか距離も感じるようになっていました。営業やマーケとエンジニアとの関係性も悪いようです。営業やマーケのメンバーからは、エンジニアやシステムに対しての不満を良く聞くようになりましたし、最近はEさん達からよく、
Eさん:「エンジニアは◯◯なので」という言葉を聞くようになりました。
Sさん:「エンジニアを特別扱いするような表現でよくないよ、営業やマーケはそんなふうに言わないでしょ」と言うと
Eさん:「そうですね、気をつけます」と言ってくれましたが、まだたまに出ます。
それに、開発スピードも前ほど速くなく
Sさん:「え、そんなにかかるの?」と質問しても、できない理由をたくさん言うだけで、そもそもが協力的でないように感じます。

Sさん

Sさん:「今期の評価フィードバックでそこだけ伝えるか・・・」

エンジニアの評価もしており、基本的に上司である自分とEさんとの関係は良好で、技術面は口出しをせず任せてますし、信頼関係は維持できている自信はあります。
もちろん技術的な事は全く分からないので、いつもリスペクトしつつも、技術面以外の、「人として」の部分や、仕事として当たり前の部分は職能関係なく同じなので、そういったところを評価することで
Eさん:「納得しました。来期は頑張ります」
といつも言ってくれます。
エンジニアのみんなのことは好きですし、今期も話せば分かってくれるだろうと考えていました。

分かってくれるはず!

エンジニアからの突然の退職

さて、そんなこんなで今期の評価時期がやってきました。
これまでと同様に
Sさん:「伝えた、言った、よりも、相手に伝わっているかが大事だよね。専門用語を使うのではなく、営業やマーケにも分かりやすいように話をしようね」
とか
Sさん:「人が足りない件も、売上利益にどう結びつくのか数字的な根拠を示さないと伝わらないよね」
とか
Sさん:「最近やれない理由を言う事が多いよね。確かに難しいのは分かるけど、どうしたらやれるかを考えていかないと事業が成長しないよね」
など、営業やマーケからあがっている不満や自分が感じている事を少し柔らかくした表現で本人にもフィードバックしました。
技術は分からなくても、職能関係なく、同じ社員として、人として当たり前の範囲に入ってると思う指摘ものを、エンジニアの気持ちも配慮し、注意を払い言葉を選びながら評価したつもりです。
そして今回も

Eさん:「確かにそうですね。納得しました」

と言ってくれました。

納得しました!

ところが、次の瞬間いつもと違う言葉が返ってきました。

Eさん:「ちょっと相談がありまして。実は退職しようかと・・・」

Sさん:「えっ!?えっ!?えっ!?」

Sさんビックリ!

何が起こったのか理解できません。ここ数年特に目立った信頼の悪化も無く、うまく付き合ってきた気がしてましたし、今は確かに厳しい事も伝えたけど、特に反論もなく納得してくれていましたし。
Sさん:「え?なんで?」
理由を聞いても

Eさん:「あ、いや、会社は好きで不満は無いんですしSさん(評価者)の事も好きで尊敬してますけど、◯◯という挑戦をしたくて」

(え、それならうちでも挑戦できる話じゃない?)と思いましたが、否定に聞こえてしまうと逆効果かもしれないのでグッと堪えて
Sさん:「驚いたけど一旦気持ちは分かった、ちょっと預からせてもらっていい?」
と時間を稼ぐのが精一杯でした。

そのあといろんな説得をしましたが、彼の心は固く、結果的に退職していきました。
Eさんはエンジニアチームのリーダー的存在だったこともありますし、単純に人数が減ったため、開発スピードはEさんの退職後、更に落ちました。もちろん新しいエンジニアの採用を開始しましたが、エンジニアはとにかく売り手市場で難易度が高く、なかなか良い人が見つかりません・・・オファーを出しても他社に取られてしまいます。ぐぬぬ・・・

エンジニアマネージャーに相談

途方に暮れたSさんは、元同僚で今は別の会社でEM(エンジニアマネージャー)をやっているMさんと飲みに行って相談することにしました。

Mさんは元エンジニアでもあり、最近はエンジニアのマネジメントの経験が長い人で、昔からの縁でたまーに相談したりされたりする間柄です。

Mさん:「お、久しぶり!とりあえず乾杯しようぜ!」

お互いの近況報告や雑談をしたあと、本題に入ります。

Mさん:「で、今日はどうしたの?」


Sさん:「実はさ・・・カクカク・シカジカ・・・何が駄目だったのかな・・・」

困ったよ・・・

Mさんは一連の話を一旦だまって聞いたあと、まずは

Mさん:「本人で無い以上、本当に不満があったのかどうかは分からないし、退職理由とかは実際に人によって違うと思うし、一つじゃないだろうし、言ってない事もあると思うから、正解は分からないって前提でいい?」

その②に続く・・・


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