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著者インタビュー #17【結城操さん】

今回は2021年7月8日に発売し、好評発売中の『大人の発達障害&HSP 困りごとがスッキリ! 生きづらさを感じるあなたが自分らしく生きられるヒント』。その書籍の著者である結城操さんに、執筆時のエピソードや内容のポイントなどについて伺いました。

著者プロフィール

結城 操(ゆうき みさお)

結城操_顔

研修講師 ・ メンタルトレーナー
営業、秘書、フリーアナウンサーなど、さまざまな業種や職種を経験し、常に高いパフォーマンスを発揮してきたが、実は長年あらゆる場面で困難さを抱えていた。2019年、発達障害(ADHD、ASD)との診断を受け、さらに、強度のHSPも併せ持ち、自身の特性を見つめ直す大きなきっかけとなる。成果主義から、自分の魂が喜ぶ生き方へ転換。凸凹の凸に光を当てることで、本来の自分にフィットした、新たな人生がスタート。発達障害やHSPへの理解の輪を広げるべく、講座や講演などの活動を展開中。また、企業研修講師として活躍。一部上場企業や官公庁を中心に、約300社、1万人以上の受講者に指導。

著者インタビュー

――まず、出版してみて周りの反響はどうでしたか。

結城操(以下結城):思っていた以上の反響に驚きました。
「一気読みしてしまった!」という嬉しいお声が多く、関心度の高さを実感しました。
本を読まれた方から、「実はうちの娘が…
」「息子が」「夫が」「妻が」と、ご家族のことで悩まれている方から、お話しを伺うケースがとても多かったです。
職場の仲間を思い浮かべて、「知っていれば違うコミュニケーションが取れた」と振り返る方も、何人もいらっしゃいました。
また、今まで自分には縁遠いテーマだと思われていた方も、関係ない話ではないと理解いただけたようです。多様性や、自分らしく生きるということを見つめるうえでも、「今、すべての人に読んでほしい必読書」と言っていただけました。それがとても嬉しかったです。


――うれしい反響がありよかったです! それでは本題に。なぜ本作を書きたいと思ったのかを教えてください。

結城:きっかけは、2年前に私自身が発達障害(ADHD、ASD)と、強度のHSPだとわかったことです。
発達障害については、自ら病院を探して診てもらい、診断を受けました。
それまで私は、仕事をバリバリこなし、常に何かにチャレンジし、さまざまな人と関わる環境にいました。
周囲からは、「しっかりした人」「アクティブに活躍している人」と見られがち。でも、実際はすぐに頭が混乱したり、作業は人の10倍時間がかかったり、人と会うことでエネルギーを使い果たしてぐったりする毎日。
仕事でも日常でも、悪戦苦闘しながら、綱渡りで生き延びているような感覚で生きてきました。
そんな中、自分の特性を知ることを機に、働き方・生き方を大きくシフトして、ようやく自分らしい人生が動きはじめました。

――結城さん自身が当事者だったのですね。

結城:
発達障害やHSPについて、世の中の関心は高まっているのですが、まだまだ誤解や無理解も多いのが現状です。それは、カミングアウトをしていったときに、ひしひし感じました。
その体験から、発達障害やHSPの正しい認知を広げたいと思ったのです。
誰もが自分の中にある資源に気づいて、その特性を活かすことの大切さを、多くの人にお伝えしたいという気持ちになりました。

――診断には至らないグレーゾーンの人も多くいるといわれていますが、自分が発達障害であることに気づくきっかけとしては、何がありますか。

結城:意識しても努力をしても、「何でいつもこうなってしまうのだろう」という顕著なことがあれば、疑ってみてもよいかもしれません。その頻度と、生活への支障がどの程度かがポイントだと思います。
ADHD(注意欠如・多動症)に関しては、時間に間に合わせるのが大変だったり、頭も部屋も整理が苦手だったり、本人に自覚があって悩んでいることが多いようです。
でもASD(自閉スペクトラム症)の場合は、本人に自覚がなく、家族など周囲の人が対応に苦慮することも多いと聞きます。
自分の感覚だけでなく、身近な人の声にも耳を傾け、深刻であれば早めに専門機関に相談されることをオススメします。

私は50代になって、はじめて自分の大変さがどこから来ているかがわかりました。もっと若いうちに知っていたら、もっと特性を活かすことに集中できたと感じています。

――見えない障害ということで、本人からすると周りに理解されない難しさがあるのかなと思いますが、身近な人たちとしてはどのように接することが望ましいのでしょうか。注意すべき点もあれば教えてください。

結城:得意不得意、凸凹の差が激しすぎるのが発達障害だと思ってください。
一見「普通」に見えても、凹の部分ではどんなにがんばっても状況が改善されず、本人は疲労困憊しています。
周囲の人から見ると、多くの人が当たり前にできることができない様子を見て、戸惑いや苛立ちを感じるかもしれません。理解しているつもりでも、つい「努力不足」、「怠けている」ととらえてしまいがちです。でも、サボっているわけではなく、むしろ当事者の人たちは、いつもフルスロットルでがんばっています。
ですので、発達障害の人には、周りの理解とサポートが何より大切であり必要です。
凹を克服させようというスタンスではなく、飛び出た凸の部分に光を当てて活用しようとすれば、双方が楽になると思います。


――周りの理解とサポートも一緒にすごす中で重要なのですね。本の話を伺っていきたいのですが、執筆時に大変だったことや苦労したところは何でしたか。

結城:困りごとのエピソードがありすぎて、絞るのが大変でした(笑)
人により、特性の現れ方には違いがあります。悩みの種類や程度も千差万別。
その中で、当事者の方にはなるべく納得いただけて、新たな視点や工夫を見つけていただけること。当事者でない方にも、イメージしやすく理解につながりやすい事例を盛り込みました。

ただ、それらの事例を整理して表現するのに苦労しました。
本の中でも「個々の要素を関連づけられない」という問題を挙げていますが、一つひとつの出来事がどこにつながり、どの順でどうまとめたらよいのか、頭は大混乱。
そこで、本書でも提案している「見える化」を実践しました。事例を短いワードにして付箋に書いて貼りだし、並べ替えていく作業を繰り返しました。


――そのかいがあり、結果的によい反響につながったのですね! 本作はどんな人へ特におすすめしたいですか。

結城:どの人にも読んでいただきたいのですが、あえて絞るなら次の方々です。
ひとつは、発達障害やHSPの当事者、またはグレーゾーンで、日々生きづらさを抱えながらがんばっている人。
次に、家族や職場など、身近に当事者がいて、どう対応したらよいか困っている人。
そして企業の人事担当者、教育機関の方、チームのトップやマネジメントに関わる人


――なるほど、当事者以外の人たちにも届いていってほしいですね。本作の教えを読者が最大限に活かせるように、有効な読み方を教えてください。

結城:本書は、私が「発達障害&HSP」だと知る前、知ったとき、知ったあとという流れで書いています。
当事者の日常が、どのくらいドタバタ感があるかをお知りになりたい人は、ぜひ第1章から。
受診のきっかけから検査・診断の流れや、発達障害とは? HSPとは? を確認したい人は、第2章~3章を。
特性からくる問題をスッキリさせるための視点や工夫は、第4章~7章にまとめています。思い当たるところをピックアップして読んでいただいてもよいと思います。
最後の第8章は、本来の自分で生きるための、大切なヒントが集約されています。すべての人に通じる話です。ここは外さず読んでいただけたら嬉しいです。


――その中でも、本作で一番気に入っている推しのポイントはどこでしょうか。

結城:困りごとを引き起こす自分の特性、それ自体を愛せるようになることです。
視点を変えて別角度で見れば、困りごとは自分の魅力や強みの裏側だと気づきます。
困りごと別に、視点の変え方と工夫や対策をたくさん提供できている点が推しのポイントです。
「これなら」とピンときたものは、ぜひ取り入れてみていただきたいと思います。


――ヒントがたくさん詰まっていそうです! 結城さんの講座やワークショップでは、どんな活動をしているのでしょうか。

結城:発達障害とHSP、それぞれの基本的な特徴を押さえていただき、ご自身や周りで思い当たる人など、グループで気づきをシェアしていきます。
各自セルフチェックも行ない、自分の傾向を把握します。ネガティブに思われる特性でも、視点を変えるとどんなポジティブな面が見えてくるか。また、自分で工夫できることや、周囲がサポートできるアイデアなど、みんなでディスカッションします。
心の整え方やリラックス法についても、気軽に実践できそうなやり方をご紹介しています。


――こちらもぜひ参加していただけるとよいですね。最後に、今回のnoteを読んでいただいた読者へメッセージをお願いします!

結城:最後までお読みいただき、ありがとうございます。
多様性についての意識が高まってきているこの頃です。一人ひとりが自分を大切にして、同じように相手を大切に。お互いの違いを尊重し合える社会を創っていきましょう。
そんな優しい気持ちになれるのが、この本です。笑える要素もあって、結構楽しく読んでいただけると思います。どうぞお気軽にページを開いてみてくださいね。

*   *   *

書籍紹介

本書は、発達障害やHSPの人たちが、自分らしさを発揮して生きられるよう、特性を活かす視点とヒントにあふれた本です。

日々、いろいろな困りごとに直面しやすいみなさんの心が、みるみる晴れていくような一冊となるでしょう。

発達障害とHSP、両方を持つ著者が、ビジネスシーンや日常で、どんな困りごとがあるのか、そこからどう工夫をしていったのか。自身の体験と多くの当事者の方をヒアリングした中で見えた知見でわかりやすくまとめています。

第1章は、発達障害・HSPあるある。悪戦苦闘する日常について。
第2~3章は、受診のきっかけから診断までと、特性を認識してからの心の変化について。
第4~7章は、特性からくる問題をスッキリさせる視点や工夫について。
第8章は、個性を輝かせ、本来の自分で生きるための大切なヒントをお伝えしています。

外からは見えない障害や気質は、自分も周りも気づくまでに時間がかかります。
大切なのは、まずは「知る」こと。どういう特性を持ち、何に困り、どんな場面ならば力を発揮しやすいのか。それを知ることで、はじめて自分を活かす道が見えます。また周りの方も発達障害の方を支える糸口を見つけることができます。

自分を枠にはめる生き方から、魅力を解き放つ生き方へ。特性を変えるのではなく、特性を活かす社会へ。その新たな一歩に、この本がお役に立てたら幸いです。


【目次】
第1章 バタバタの毎日 何でこうなるの?
第2章 私をおどろかせた「発達障害」という事実
第3章 さらに「HSP」 そこからの逆転発想
第4章 「計画・管理」の問題をスッキリさせよう
第5章 「整理・理解」の問題をスッキリさせよう
第6章 「作業・集中」の問題をスッキリさせよう
第7章 「対人関係」の問題をスッキリさせよう
第8章 本当の自分で生きよう

第一章までの無料全文公開も合わせてお楽しみください!


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