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『新装版 ステップあやの食べて痩せた! 最後のダイエット』第一章・無料全文公開

書籍『新装版 ステップあやの食べて痩せた! 最後のダイエット』より、第一章「食べない=痩せる?」の無料全文公開!
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「カロリー計算で食べる」をやめる

<カロリー制限のワナ>

「私は栄養不足で太りました」
……って言うとみんな「???」って顔するんだけど、本当なんです。摂取カロリーを抑えてひたすら運動するダイエットを長く続けた結果、脳が生命維持のために省エネモードに切り替えてしまったの。
「食べた分はできるだけ脂肪としてストックしとけ〜!」
「活動時、脂肪はできるだけ使うなよ〜!」
って、そんな恐ろしい指令を私の脳ミソは出していたわけです。
あなたの周りにもいませんか?
「小食なのに太るのよぉ」とか、「吐いてるのに太るのよぉ」……とか言ってる人。

あれはあながち嘘でも、うまく吐けてないわけでもなくて、「脂肪を燃やすために必要な栄養が足りない状態」をず〜っと続けてきた結果、代謝機能が悪化して痩せなくなっちゃったってことなの。過去の私みたいにネ(涙)。
そんな栄養不足状態を長期間続けていれば、いずれはコントロール不能の異常な食欲(ドカ食い衝動)として爆発するのも、生理学的にも当然の反応なのです。
意志の強さや弱さの問題ではないの。
「栄養不足にならないために……」って、ひたすらビタミン、ミネラルばっかり補給して、ご飯や油をほとんど食べない人がいるけれど、それも立派な栄養不足。小食のおデブ体質になる原因なのです。
なぜなら、私たちの体を作り、動かすための基本中の基本はご飯やお肉やお魚、油などに代表される三大栄養素のはずだから。

三大栄養素とは、皆さんもご存じの、タンパク質、炭水化物、脂肪のこと。ダイエットにおいても重要な働きをしています。

●タンパク質=体を作るために必要な原料
車でいうボディを作る役割。筋肉の多い体ほど代謝がよく太りにくい。
●炭水化物=脳や体を動かすために必要な燃料
燃料がなければ脂肪を燃やす作業もできない。極端な不足はドカ食い衝動を招くよ。
●脂肪=体脂肪を燃焼するための着火装置
代謝アップに役立つ良質な油だってある。毛嫌いしないで。

この3つ、もちろん全部カロリーがあるわけだから、しっかりとろうと思ったら、摂取カロリーはそんなに低く収まらないよね。
でも、それでいいのです。

ビタミンやミネラル、抗酸化物質やら酵素やらというのも大事だけど、それだけとってても痩せないの。

いくら苦しい思いして、超低カロリーな食生活をしていても、その内容が、野菜ばっかりとかお菓子ばっかりだったら、それも立派な栄養不足。それで痩せるのは最初だけだよ。続けていたら、ろくに食べなくても太れる「省エネ体質」になってくる。
だって、脂肪を燃やすために必要な栄養がないのに、どうやって脂肪を燃やすの?
逆に、高カロリー摂取してたって栄養不足になれちゃうよ。だって、その内容がジャンクフードばかりだったら、添加物や「糖質」「脂質」ばかりが過剰で、それ以外の栄養は全部「不足」じゃない?
そう、栄養不足って、単にカロリーの話だけではないのです。

それに、しっかり三大栄養素も含めた食事をすると、体がポカポカと温まってくるけれど、あれは食事誘導性熱代謝っていわれています。食後、数時間にわたってエネルギーの代謝効率が上がるのですが、低カロリーにこだわって、こんにゃくばかり食べていても、その消費はほとんど起こらず、体は冷えるばかり。体温が下がると基礎代謝も下がるので、太りやすくなってしまうのです。
ちょっと食べればすぐ太る体質だった私が、摂取カロリーを大幅に増やし、運動量を大幅に減らして痩せたときも、カロリーにばかりに固執せず、ちゃんと栄養をとりました。
私が10キロ減量できた秘密の一つは、ここにあるのです。


<基礎代謝は1200キロカロリーってほんと?>

「一日の総摂取カロリーを基礎代謝量の1200キロカロリー(男性は1500キロカロリー)以下に減らさなければ、代謝を悪化させずに痩せられるのでは?」
そんな質問をブログでもよくいただきます。
基礎代謝量とは、「じっと寝ていても、体温を維持したり、心臓を動かしたりといった、生命活動をするために最低限要なエネルギー量」のこと。
結論から言うと、これはそうとも限らないのです。
私がダイエットを始めた頃も、ちゃんと基礎代謝量以上のカロリー設定から始めました。どこへ行くときもカロリー表と記録用ノートがお友達でした。

でもね、それで最初は痩せるんだけど、いつか必ず下げ止まりがくるの。よくいう「停滞期」かなと思って根性で頑張ってると、そのうちジワジワと体重が増えて出すときがくる。だから怖くなって、さらに摂取カロリーを減らすでしょ。すると……
→また代謝が悪くなる→またジワジワ太る→また摂取カロリーを減らす→またジワジワ太る
……って、同じことを繰り返していたら、とうとう一日1200キロカロリー摂取でも太るようになってしまったの。やむなくそれ以下に減らしていったら、最後は一日500~800キロカロリー摂取になっちゃった。それで、いったんはモデル体重といわれる体重になったけど、ある年から年に1~2キロずつジリジリ増えてきて、ダイエット開始から15年後には小太りの拒食症状態(?)という、わけの分からない状態になっちゃったのです。
(拒食症の診断基準は「標準体重の80%未満」なので、実際はただの小食のおデブとしか見てもらえませんでしたが……)。

それもそのはず、そんな半飢餓状態を続けていれば、脳が生命維持のために、基礎代謝を落とし、反動のドカ食い衝動を出してあなたに食べさせようとするのは、当然の反応なのです。
それをいくら我慢しようと頑張っても、食欲はますます強くなるばかりなのです。
このような現象は、「ミネソタの飢餓実験」として知られる戦後の研究でも明らかになっていたことでした。

1944〜1945年、アンセル・キーズというアメリカの学者が、ボランティアで募った人を対象に、半飢餓状態が人の心や体にどんな影響を及ぼすのかを観測していたのです(現在はこんな非人道的な実験をすることは許されません)。
この実験では、被験者を最初の半年間は半飢餓状態にして(といっても一日約1600キロカロリーの食事を与え、歩行と肉体労働または事務職の仕事をさせた程度)、後半の半年間は元の生活に戻して、その様子が観測されました。
その結果、被験者の体に認められた変化は、まずは、太りやすい体質への変化。
〝筋肉量は30%低下、体温や脈拍は下がり、基礎代謝は40%低下し、手足はむくんだ〟とのこと。そしてさらにこう続きます。
〝一日中止まらない猛烈な食欲、抑うつ、無感動、感情の激しい起伏、集中力の低下〟……など。
どの症状も、まさに私の過食症時代の症状とそっくり!
つまり、体の半飢餓状態は、人の食欲や心までを変貌させてしまうことが分かったのです。

ここでもう一つ注目すべきことは、半飢餓状態といわれる期間も、被験者には、一日約1600カロリーの食事が与えられていたということ。
基礎代謝量といわれるカロリーを毎日とっていても、自分にとって不足していれば半飢餓状態になってしまうことがあるってこと、そしてそれが、省エネ体質(太りやすい体質)や過食衝動を招いてしまうこともあるのだということ、ぜひ知っておいてほしい。
結局、自分の心と体が快適に行動できていなければ要注意、ってことなのです。
※注:過食衝動の原因には、こうした体の生理現象のほか〝心〟に由来するものがあるので後半で説明していきます。


<表示カロリーに振り回されてない?>

読者の皆さんの中にも、食品の裏の表示カロリーをいちいちチェックして、たかが数キロカロリーでも低いほうを選んで我慢ばかりしている方、結構多いのではないかな?
でも、それは残念ながら、あまり意味がないかも!?
なぜなら、食品の裏に表示されてるカロリーって、健康増進法という法律で±20%までの誤差なら許容範囲と定められているから。
±20%って大きいよ~!
だって、2000キロカロリーで計算したつもりでも、実際は1600キロカロリーかもしれないし2400キロカロリーかもしれなくて、最大800キロカロリーも自分の計算とズレてる可能性があるってことだもの。

それに、表示カロリーのついてないお肉や野菜や果物も、糖質や脂質の含有量は同じ種類の同じ部位でも一つ一つ違うはずだから、カロリーも違って当然なんだよね。つまり、カロリーって、いくら綿密に計算してもその通りにいくわけじゃないっていうことなんだ。
でも、こういうと、「だったら、少なめに見積もって摂取カロリーを設定すればいいんだ!」って思うかもしれないけれど、それも、ちょっと待った! です。
さっきのミネソタの実験の話からも、摂取カロリーは低けりゃいいってものじゃないって分かったよね?

この先も、栄養やホルモンの面から説明していくけれど、カロリーが計算しても計算どおりにいかない理由は本当にいくらでもあるのです。
それに、カロリーで食べるものを決めてると、結局、本当に食べたいものに対する食欲を引きずってあとでドカ食いしてしまう、なんてことになってる人もいるんじゃないかな?
たとえば、おにぎり一つ選ぶときも、カロリーの低い梅を手に取って「ホントはツナマヨが食べたいのに……」って横目でちらちら見ながら我慢を続けて(←過去の私)、だから、その食べ物への食欲が満たされなくて、どんどん蓄積されて大きくなっていっちゃう。

それで結局、我慢できなくなって食べちゃうと、「ああ〜、もうだメだ! 今日はもう食べたかったものぜ~んぶ食べまくって、また明日から食べない!」なんて気持ちになって、さらに「どうせなら、明日からまた食べられないお菓子や脂っこいものを食べちゃおう」って禁止食品ののドカ食いに突入しちゃったり……。ここまで読んで、ドキッとした人いるでしょう?
本当はね、そのとき本当に食べたいものを味わって食べてたら、そこでその食べ物に対する食欲はいったん終結して、自然に健康的なものが食べたくなることも出てくるはずなんだよ。(こうなれない人は第三~四章を参考にしてみてネ)
なのに、±20%もの誤差があるカロリー表示に振り回されて、ドカ食い爆弾をわざわざ抱え込むなんて生活するのは、モッタイナイよ~。


<野菜を過食する女たち>

摂取カロリーを抑えるために、野菜や海藻、キノコやこんにゃくなどの低カロリー食品(以下、まとめて「野菜」と呼びます)ばかりで胃を膨らませているうちに、だんだん量が増えてきて、バケツ1杯分を食べても満足できなくなっちゃった……なんていう体験も珍しいことではなくなっています。ブログ読者の皆さんにも、ものすごく多いです。
もちろん「野菜」は、常識的に食べていればダイエットにも欠かせない食べ物です。
けれど、そればっかり大量に食べていれば太らないってものではないの。摂取カロリーを低く抑えたってそれは同じことだよ。

私自身も「野菜」とゼロカロリー食品の過食から抜けられなくなった時期がありました。どんどん満足できる量が増えてきて、ピークのときは一日にスーパーの大きな袋に3つ分くらいを一気に食べつくす勢いでした(涙)。
ほら、ダイエット食品の広告で、お腹の中で何倍にも膨れる写真やイラストがよくあるでしょう? あのビジュアルが頭に焼きついていて、カロリーのほとんどない食べ物でお腹を膨らませれば満腹になるはず!って思い込んでいたのです。

ところが実際は、ただ胃を膨張させてるだけでは食欲の仕組みって壊れちゃう。
脳が満腹信号を出すためには、脂質や炭水化物を含めた必要な栄養が体内に入り、きちんと吸収されることで得られる様々な「体の反応」が必要なのです。
その「体の反応」の一つが、炭水化物の摂取による血糖値の上昇。
よく、点滴で血糖値が一定に保たれている入院中の人は、食べてなくてもあまり空腹感を感じないっていうでしょう?
それくらい血糖値と食欲って強い関係があるのです。

たとえば、今、ご飯1膳分の炭水化物(糖質)をあなたの脳が求めているとします。それをレタスでとるとしたら、なんと約10個分(!)です。
普通なら、胃の膨張やよく噛むことでも満腹信号が送られるはずなのだけど、容積ばかりで必要なカロリーや栄養が入ってこない食生活を続けていたら、脳は「これだけ味わってこれだけ胃が膨らんでも、必要な栄養やカロリーは取れないものなんだ」と認識してしまい、「もっと食べろ〜!」って、必要な栄養やカロリーを求めて指令を出すようになるのです。
つまり、たくさん食べないと気がすまないから「野菜」やゼロカロリーの食品ばかりをお腹に詰め込んでいるつもりでも、実際は、そんな食べ方してるから「たくさん食べなくちゃ気がすまない食欲」になっちゃってるということ。そんな人がたくさんいるのです。

アメリカの大食い選手権で上位に入賞した方が、あるテレビ番組でこんなことを話していました。
「大会の当日まで、レタスで胃を大きくするんだ……!!!」
この意味って、あの〝満腹信号が麻痺してくる感覚〟のことじゃないかな。

一部の野菜の過剰摂取(普通に食べてれば大丈夫)は、基礎代謝を調節する甲状腺ホルモンの低下につながります。
味付けを塩分に頼りがちになったり、タンパク質が不足すれば、それはむくみの原因に。
生野菜ばかり食べていれば体が冷えて、基礎代謝が低下してしまいます(そればっかりにならなければ大丈夫だよ)。
じゃあ「べジタリアン」は何なのよ?って思う人もいるかもしれないけれど、あれは動物性食品をどこまで、または完全に制限するかって問題で、穀物だって油だって普通に食べるよ。何もサラダばっかり食べるわけじゃない。

すでに野菜やゼロカロリー食品のドカ食いが始まっちゃってる人は、野菜の過食をやめようとするのではなく、まずは、主食のご飯を〝中心〟とした食事を心がけ、定期的にいろいろな栄養を送り込んであげることが大切です。
それでも、しばらくは、ご飯もおかずもガツガツとたくさん食べちゃう勢いが続くかもしれないけれど、少しずつあのも~れつな飢餓感が落ち着き、野菜は大量に入らなくなってくるよ。


食べて痩せるのはナゼ?

<とってもコワイ炭水化物の誤解>

カロリー制限ダイエット15年目の夏、私は小太りの拒食症状態でした。ほとんど食べずに運動しまくっててもプチ肥満体型になってたのです(泣)。
そんな私に、こちらロサンゼルスで駆け込んだ栄養士と医師が、口を揃えてこんなことをおっしゃるではありませんか。

痩せたいなら炭水化物をもっと食べなさい!

「食べたら太るもの」って思い込んでたから、目玉が飛び出るかと思うくらい驚いた(笑)。
実際食べだしたら、摂取カロリーはかなり上がることになったけど、本当に痩せてきたよ。
それもそのはず、炭水化物(糖質)は車でいう燃料のようなものだから。
燃料がなければ車が動かないように体だって動きませんし、燃やす燃料がなければ体温は下がります。体温が1度下がれば基礎代謝は12%も減るっていわれているよ。
それから、糖質は脳の唯一のエネルギーでもあるのです。24時間絶え間なく、脳は糖質を必要としている。つまり、毎日、絶対に欠かせない栄養素なんだということ。

さらに、糖質って、食べたらすぐに脂肪なるわけじゃなく、体内でグリコーゲンと呼ばれる貯蔵に適した形に変換されて、肝臓に蓄えられます。肝臓には、約100グラム(400キロカロリー分)の糖質を貯めておくことができるといわれています。
そこから必要に応じて、血液にのって脳や体中の細胞に運ばれ、エネルギーとして使われる、というわけ。
食べたらすぐ動かないと脂肪になっちゃうわけじゃないんだよ〜。
その肝臓の貯蔵タンクは、絶食後たった8時間ほどで空になってしまいます。頭脳労働や日々の活動で糖質を使っていればもっと早くなるよ。
このタンクの中の蓄えが減ってきて、血糖値が下がってくると、脳が「燃料が足りなくなるよ〜」って合図として空腹信号を送るの。それを無視して我慢していれば、脳はさらに強い信号を送って無理にでもあなたに食べ物を突っ込ませようとするよ。
だって、脳のエネルギーが切れたら生命の危機だもの。

じゃあ、私たちはいったいどれくらいの糖質を必要としているのでしょうか?
それは一日でなんと、糖質180グラム=720キロカロリー分。ご飯1膳150グラムに含まれる糖質量は55グラム程度ですから、ご飯3膳分以上に相当する糖質を私たちの脳と体は必要としているといえるのです。これを野菜だけでとろうとすると、大変なことになるのは、先述のとおり。この一日「180グラム」という数字をもっと細かく見てみると、一時間あたり、大脳が6グラム+全身の細胞が1.5グラム=合計7.5グラム。×24時間で前記の数字になるというわけ。
それに加えて毎日の活動や運動でも糖質は消費されているわけだから……。

こうして考えてみると、どんなに抵抗してもドカ食い衝動が起こるのは意志の弱さのせいではなく、脳と体の悲鳴だってことが分かるよね?
糖質に飢えているなら、定期的に補給して、もう飢餓はやってこないよって安心させてあげないと、食欲の暴走は止まってくれないの。
しかも糖質が不足すると、頭が働かなくなったり、体が動かなくなったりするけれど、あれはそうすることで、いつまで続くか分からない飢餓から身を守るため、動いてもできるだけエネルギーを使わず、脂肪として蓄えておこうとしている、つまり「省エネモード」になっちゃってるってことなのです。
長い飢餓の時代を生き抜いてきた人間には、たくましい生命維持の本能があるのです。

もう一つ知っておきたいのは、糖質を抜いて簡単に数キロ減るのも、逆に食べてない人が食べ始めてすぐに数キロ増えるのも、体脂肪の重さばかりじゃないってこと。
肝臓や筋肉などの糖質の貯蔵タンクに糖質1グラムが蓄えられるとき、約3倍の水分と結合するため、増減するのもタンク内の糖質と水分の重さがほとんどなのです。
先ほど、肝臓には100グラム(400キロカロリー)分の糖質を貯蔵できると書いたけど、筋肉も300〜400グラム(1200〜1600キロカロリー分)の糖質を蓄えられる大きなタンクです。こちらは主に筋肉の運動に使われ、血糖値の維持や脳のエネルギーにはならないけど、とにかく、こんなにたくさんの糖質を蓄える場所があるということに驚きませんか?

筋肉の多い人では貯蔵できる糖質量も多い分、タンクが満タンになると体重が5キロくらい増えることもあるそうです。日常生活や運動でもタンク内の糖質は消費されるし、補給すればまた増えるのだから、その分、体重も増減するのが普通なの。
つまり、毎日の体重の増減にビクビクしたり、一日に何度も体重を量って「ストレス太り」になっては意味ないよ〜ってことなのです。食べなくてもストレスで太ることって本当にあるのですよ。


<人工甘味料は肥満のモト?>

甘いものを食べたいけどカロリーをとるのが怖い。
そんなとき、「カロリーゼロ」の表示ってすっごく魅力的に見えるんだよね。
私も昔はダイエットコーラやカロリーゼロの食品をガバガバとって、人工甘味料も大量に使ってました。
最初はそれで問題なかったんだけど、長期的に使用してたらジリジリと太ってきて、しかも一日中ものすごい食欲と闘う毎日になっちゃった(泣)。

あとから思えば、それもそのはずでした……。
アメリカのパデュー大学の研究者チームの実験(※注)によると、砂糖入りの餌を与え続けたラットのグループより、人工甘味料入りの餌を与え続けたラットのグループのほうが食欲が増進し、太ったとのこと。
実際にアメリカでは、人工甘味料の消費量が伸びるとともに、肥満人口も増加してきてるってことも指摘されているのです!
人間を含めた動物は、舌で甘さを感じると、糖質とエネルギーがたくさん入ってくることを脳が期待し、実際に入ってくると満腹信号を送ります。食欲中枢は脳の中にあります。

ところが、人工甘味料では、舌で甘いと感じても期待どおりのエネルギーが入ってこないため、「甘いもの=たくさん食べていいもの」と脳が認識してしまって、結果として食欲が増進してしまうのではないかって考えられているのです。
詳しいことはまだ分かってないようだけど、どうやら「味覚」と「体に吸収されるエネルギー」と「食欲」は関連しているということらしいのです。
実際、糖質ゼロの人工甘味料でも、舌で甘さを感じると血糖値を下げる働きのあるインスリンが分泌されて血糖値が下がってしまうそう。
血糖値が下がれば空腹を感じ、糖質を求めて甘いものが欲しくなるのに、それをまた人口甘味料でごましてたら、だから甘いもの渇望の悪循環からは抜け出せないってことになる。

私の場合も、「たくさん食べたいから人工甘味料を使っていた」つもりが、いつの間にか「人工甘味料を使っているからたくさん食べたくなっていた」ということなのでした。
手に取った食品にちょっと入ってるくらいなら気にすることないけれど、カロリーダウン目的でたくさん使う生活をしているのなら、お別れする勇気を持ったほうがいいかも。
※注:この実験はサッカリンという人工甘味料ですが、アルパルテームやスクラロースなども同様に食欲増進や体重増加に繋がるということが様々な研究で明らかになっています。


<甘いもの・ジャンクフード依存!?>

ここまで読んで、糖質っていいんだ! 人工甘味料よりも甘いジュースやお菓子をたくさん食べればいいのね!って思った方は、「チョット待った!」です。そうじゃないのですよ〜。

砂糖の分子構造はとても単純なので、すぐに血液に入り込むため、一気にたくさん食べると血糖値が急激に上昇しちゃうの。
すると、インスリンという血糖値を下げるホルモンが過剰に分泌されて、また血糖値が下がりすぎて空腹感を感じたり、糖質を求めて甘いものを渇望したりします。
つまり、「食べているのに空腹感が止まらない」「食べたいモノがいつも甘いモノ」っていう依存状態になっちゃう。
なので、「どうせカロリーをとるなら」って甘いモノを食事代わりにせず、必要な糖質はきちんと主食の穀物からとり、脳や体を飢餓にしないことが大切。
同じ糖質でも、分子構造の複雑なでんぷん質は、ゆっくりと消化され、ゆっくりと血糖値が上がるために飢餓感が少ないうえ、ゆっくりとエネルギーとして使われるのです。
その上で甘い物が欲しいときは、無理な我慢をせずに、巻末の美女オヤツや天然甘味料(黒糖、蜂蜜、メープルシロップ、てんさい糖など)を「取り入れて」みてね。
お菓子やジュースや白砂糖には、糖質代謝で消耗されるビタミンB1をはじめとしたビタミン・ミネラル、酵素があまり含まれていないのだけれど、天然甘味料には豊富に含まれているのです。これも絶対の義務にせず、できるときだけ取り入れる程度でOK。

こんな話とは別に、市販のお菓子やジュースによく使われる異性化糖(果糖ブドウ糖液糖やブドウ糖果糖液糖など)は、お砂糖よりも肥満や食欲増進につながるという研究発表もありました。
ほかの実験でも、甘いものに限らず、ジャンクフード(カロリーはあっても栄養価のない食べ物)には中毒性があるという研究結果が発表されています。マウスを使った研究で、麻薬を吸引したときと同じように脳内の快楽中枢を刺激することが明らかになったんだって。
確かに私もジャンク「ばっかり」で生きてるときは、そればっかり欲しくなっていたもんなあ。

とはいえ、ジャンクフードもお砂糖も、決して「ちょっとでも食べたら太るもの」ではないので、ゆる~くやるのがコツ。
私も、ちゃんとした食事を続けて食欲が落ち着いてからは、お菓子でもファーストフードでも食べたいときは味わって食べるし、人工甘味料入りの飲み物も欲しいときは気にせず飲んでるよ。昨日も白砂糖でプリン作って食べました!
ただ、ジャンクフードばかりの食生活になっているななら、少し食事を見直してみようね。


<「お米は太る」は思い込み?>

無理なダイエットをしていて半飢餓状態にある方は、お米から入ってみてほしいな。
半飢餓状態の反動で脳が糖を渇望しているときに甘いものを放り込むと、がーっと止まらなくなっちゃうことが多いの。
お米はなぜか、「太るもの」ってイメージになっちゃってるけど、本当は食欲安定や太りにくい体作りの味方なんですよ。
大正、昭和初期の人は一日に5~6膳のお米を食べていたそうですが、お米の消費量が減っている現代のようにメタボ人口は多くありませんでした。

お米って、炭水化物の塊……ではなくて、それ以外の栄養も豊富なんです。
ご飯1膳にはヨーグルト一個分相当のタンパク質が含まれているし、糖質や脂質の代謝を助けるビタミンB1・B2、血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維も豊富。
玄米をチョイスすれば栄養価は格段にパワーアップするので、ぜひ取り入れてみてね。
玄米が体質に合わず、消化不良、おならやげっぷ、便秘やアトピーなどの症状が出ちゃう方は五分づき米がおすすめです。
だからって白米は「食べたら太るもの」って意味ではないので神経質にならないで大丈夫。レパートリーとして取り入れるくらいでOKです。
お米はずっしりとお腹にたまるので満腹感を感じやすく、粒食であるため腹持ちが良いというのも魅力です。

私もご飯をしっかり食べ始めてからはおやつに手が伸びることが少なくなったよ。一番驚いたのは、24時間止まらなかった強烈な甘いモノ欲求が止まって、コンビニのお菓子コーナーをスルーできるようになったこと!
10〜20年過食が止まらず悩んでいた方からも、「しばらくは食べ過ぎが続いたけど、次第に普通の量になって、過食が止まった」って報告をたくさんいただきました。一日中飴をなめることがなくなったという声も多いです。

無理なだイエットによる栄養不足が原因の冷え性の方は、栄養価豊富なお米を食べ始めると、体がぽかぽか熱くなるのを感じられるはず。
私も35台だった体温が1度上昇しました。体温が1度上がると基礎代謝は12%上昇するっていわれているよ。

また、お米中心の食生活(お米しか食べちゃいけないって意味じゃないよ)を始めて、頑固な便秘が解消したという報告もたくさんいただきます。理由は、このあとの腸内環境のお話の中で説明するね。
おかずや汁物と組み合わせて自然に栄養のバランスがとりやすいのも◎。時にはリゾットやチャーハンなどにして和食以外の美味しさを楽しめるのも魅力です。

それから、よく噛むことはダイエットの基本みたいによくいわれてるけれど、お米は「噛まなきゃダメ」じゃなくて、「噛むことを楽しめる」食品でもあるの。
でんぷん質は、唾液中のアミラーゼという消化酵素と混ざると麦芽糖に分解されて甘みが増すのだけど、お米はお砂糖も油も加えず完成している食べ物なので、その繊細な甘みの変化を感じやすいのです。この美味しさを脳と全身の細胞で噛み締め、体が満たされる感覚をぜひ味わってみてね。
ジャンクで味覚が鈍感になっている方も、この味の変化が分かるようになる頃には食べ物の好みが変わってくるよ。


<GI値って気にしたほうがいいの?>

ダイエットに興味がある人なら、「GI値」って聞いたことがあると思います。
「GI値」は、各食品を食べた後の血糖値の上昇しやすさを表した指数のこと。この数値が高い食品ほど太りやすいとかお腹がすきやすいといわれているから、神経質になってる人が多いみたい。
でも、GI値が高いという一点をとって「食べたら太るもの」と決めつけるのはちょっと待った!です。
理由はいろいろあるけれど、たとえば、GI値が高くて敬遠されがちなジャガイモは、サティエティー・インデックスと呼ばれる指数では優秀食材となっているのです。
この指数は、シドニー大学の研究グループが開発した、カロリーの割に満腹感が得られるものを数値化したもので、腹持ち指数とも呼ばれます。
ジャガイモに含まれる成分ポテインが、強烈な満腹信号を出すCCK(コレシストキニン)という消化管ホルモンの分泌を促すため、満腹感を感じやすいんだって。
また、エネルギー代謝を助けるビタミン・ミネラルも豊富です。

あと、みんなが神経質になりがちなのが食べる順番。GI値の低い野菜やスープ、タンパク質から手をつけようって昔からいわれてるからね。
間違いじゃないけど、それがすべてってことでもない。
GI値の高いご飯から最初に口に入れても、それで速やかに血糖値が上がるからこそ空腹感が早くおさまることもあるから。
なんでも、一度にたくさん食べすぎなければいいのです。
実際に、「長年、食べる順番を〝絶対のルール〟にしていたけれど、そのルールを破って、ご飯を半分くらい先に食べたり、おかずと順番に食べるようにしたら、満腹感が早く来て食べすぎずにすむようになった」……っていう方もたくさんいるよ。私も体験者です。

また、同じGI値の食べ物を食べても、人によって血糖値の上がり方には個人差があり、同じ人でもそのときによって大きな差があるのも現実。
一覧表の数字も調査した研究機関によって若干違うものなので、数字にがんじがらめにならず、参考程度に使うくらいで十分です。
つまり、GI値もカロリーと同じで、低い食品ばかり食べていては、栄養バランスが崩れたり、食欲増進や代謝悪化につながってしまうこともあるのだということ。
私は、ご飯を先に食べたいとき先に食べ、ご飯しかないときはご飯を気にせず楽しみます。特に希望がないときは、一口二口野菜を食べてからご飯を食べたりもします。
どんな情報も「心がける」はするけれど、「絶対のルール」にはせず、その時々で、体も心も快適になる食べ方を優先します。


<脂質で痩せちゃいました!>

カロリーの高い脂質はダイエットの敵!と差別してしまいがち。
私も油を毒物のように恐れている時期があったので、そんな気持ちもよ~く分かります。
でもね、脂質についても、例の栄養士と医師に、またこう言われたの。
「痩せたかったら、脂質をとりなさい」って。
えっ? 炭水化物だけじゃなく脂質まで!?って超びっくり!
でもこれ、本当なんです。落ち着くまで波はあったけど、脂質の多い食品も食べるようになって、ちゃんと痩せることができました。
おまけに、超乾燥気味だったお肌もしっとりしてきて、お通じまでよくなりました。
これはなぜかというと、美肌作りや老化防止に役立つ抗酸化ビタミンには、油と一緒に摂取することで吸収率が高まるものがあるから。そして油には、便のすべりをよくしてくれるため便秘解消にも役立つという側面も。そのため油をよく使う中華料理などを食べに行った翌日に、ざーっと流れるようにお通じがあることがよくあります(笑)。

代謝アップに役立つ油だってありますよ。
たとえば、オリーブオイル、亜麻仁油(あまにゆ)、しそ油、ごま油、アボカド、ナッツ類、魚の脂も質の良い脂
質の供給源です。
可能なときだけでもドレッシングなどにして生でとると、熱に弱い栄養素が生きるので、GOODです。でも、特に熱に弱い亜麻仁油以外は神経質にならなくても大丈夫だよ。
〝悪い脂質〟ってイメージのコレステロールだって、性ホルモンや全身の細胞膜の原料なんですよ。
元気に脂肪を燃やす元気な細胞と良好なホルモン状態は代謝のよい体づくりの基本です。
さらに、適度に脂質を含んだ食事をすると、食事全体の消化のスピードがゆるやかになるため、満腹感が長持ちしやすい、というイイコトもあります。
お魚をあまり食べないアメリカ人の間では肥満解消サプリとしてフィッシュオイルが人気です。お魚、食べたら美味しいのにね。せっかく日本人に生まれたのですから、私たちは食事で楽しみたいですね♪


<ダイエットの味方、CCK!>

そうは言っても脂質ってカロリーが高いから、敬遠しちゃうよね。
でも、こんな話もあるのですよ。
内臓が脂質を感知すると、CCK(コレシストキニン)という消化管ホルモンが分泌されるんだって。
このCCK、強烈な満腹信号を脳に送ってくれるいいヤツなんです。わざわざ血液にのって体中を駆け巡って脳まで運ばれるわけではなくて、直接、脳幹につながる迷走神経を通じて満腹だと知らせてくれるため、早くて強烈なのです。
胃で消化された食べ物が、その下の十二指腸に入って来ると、CCKが分泌されて、胃の終わりの部分がキュッと閉まるため、「もう上から食べ物は入れられないよ!」って感覚になるわけです。
ね、すごいホルモンでしょ?

また、こんなデータもありますよ。食事20分程前に70キロカロリー分(クルミなら6個、アーモンドなら12粒くらい。良質の油でとるなら大さじ半分強程度)の脂質を食べると、CCKが分泌されて満腹中枢を刺激してくれるので暴食を防げるほか、CCKの分泌とその効果発揮のために65キロカロリーが消費されるんだって!
つまり、70キロカロリー食べても5キロカロリーしか余らないってこと!
このお話からも、摂取カロリーが低けれりゃいいってわけじゃナイことが分かるよね。

あ、でもこれ、20分前きっかりに食べなきゃ!って神経質にならないで大丈夫。ほかにも食欲や脂肪蓄積に関係してることはたくさんあって、これがすべてじゃないから。
ただ、ゼロカロリー食品やこんにゃくばかりで胃をパンパンにしても、この満腹ホルモンは出てくれないんだってことを覚えておいてね。


<痩せる油の使い方>

ここまで読んで、代謝アップにつながる「良質の油」を意識し始めると、だんだん、それ以外の油が毒みたいに思えて怖くなっちゃう方もいるかもしれません。
私もね、いつものクセで、いろんな油の脂肪酸の割合まで調べては、これは良い油? 悪い油?って悩んだりしてました。相当シツコイ性格なのです。
ごま油やグレープシードオイルも、調べてみると、とりすぎないようにっていわれるオメガ6が結構多く含まれてて、が~ん!! 食べられない!!ってなっちゃってたの。
何でも○か×、太るもの・そうでないものって分けたがる、ダイエット依存脳のよくないクセですね。

本当は、オメガ6系だってとりすぎなければ体に必要なもののはず。
それに、自然の食べ物には特定の栄養が単体で含まれているわけじゃない。たとえば、ごま油とオリーブオイルでは、含まれる脂肪酸の種類も違えばその割合も違うもの。脂肪酸のほかに含まれるビタミンや抗酸化物質だって違います。
つまり、油って一口にいっても、それぞれ違った栄養が含まれているのだから、いろいろな油を、いろいろな食べ物と一緒に、美味しく楽しんでいれば、結果としていろいろな栄養がとれるということなのです。
私は、家で調理するときは〝なるべく〟加工油よりも天然の油(オリーブオイル、亜麻仁油、しそ油、ごま油、グレープシードオイルなど)を使うようにしています。
本当は栄養学的に見ると、必須脂肪酸はオメガ3系、6系、9系を何対何対何の割合でとると良いっていう細かい数字の目安があるんだけど、そこまで考えてたら食事すること自体が、超~ストレスになっちゃう。

使ってよい油の量にしても、神経質にいちいち量って厳格に計算までして頑張ってても痩せない、または痩せても最初だけだった、なんて話も聞きますが、私もまさにそうでした。
後でその理由を説明しますが、完璧な栄養バランスの食事をしていても、ストレスの悪影響のほうが大きくなってしまえばそのために太りやすくなるって本当にあることなのです。

だから私はこうしてます。どの油って決めないで、その時々で、いろんな油を生活に取り入れて、いろんな食べ方を美味しく楽しむ。
パスタを楽しむときはオリーブオイルが美味しいのでそれを使うし、その量もイチイチ計測するのをやめて、味を見ながら「美味しくなる程度に」使う。
和食のときと違って大さじ何杯もソースに使ったりするけれど、それでいいの。毎日イタリアンを食べてるわけじゃないし、油まみれにしなきゃ美味しくならないわけじゃないから。
しょうがの味を生かしたドレッシングにはクセのないしそ油やグレープシードオイルが合うし、ごま油の香りのアクセントが欲しいときはそれを使います。
いろんな種類のナッツやいろんな油、お魚を美味しく楽しんでいれば、それこそいろいろな脂肪酸やそれ以外のさまざまな栄養素がとれるのです。

いくら体に良い油だって、必要のないときに飲んだりしません。そういうダイエットも流行ったみたいだけれど(笑)。
時には、酸化したやっす~い油を使ってそうなファーストフードの中華料理やハンバーガーも、食べたいときは食べるよ。ハッピーホルモンの力で燃やしてやる!ってくらいの勢いで、一口一口を味わって食べてます(笑)。

禁止食品を作って我慢を重ねて、結局反動でドカ食い~、なんてことになるのは悲しいですからね。
それにね、第二章で紹介するけど、本当に、気持ち次第で分泌されて、食欲や代謝に関わるホルモンってあるのですよ。
体に良いものは「生活に取り入れて楽しむ」がリバウンドなく痩せる秘訣です。


<タンパク質不足はむくみの原因!?>

タンパク質が筋肉作りに欠かせない栄養素だってことは、みんなも知っているよね。
近年では、筋肉が約500グラム増えるごとに一日50キロカロリーのエネルギーを余分に消費するなんていうリサーチもありました。
けれども、筋肉つけたいからってタンパク質だけとってりゃいいってものではありません。
タンパク質が筋肉になるには、炭水化物をとったときに分泌されるインスリンというホルモンの力も必要なんです。

また、タンパク質不足はむくみの原因になっちゃうの。
厳しい食事制限と激しい運動をしていたころの私が、なぜかブヨブヨしてた理由がここにもありました。カロリーカットしてたら、いつの間にかタンパク質不足になっていたのです。それでむくんで、ためこんだ水分のぶん増えた体重を太ったと勘違いし、さらに食べる量を減らしていくという悪循環に陥ってました(汗)。
体脂肪率は低かったけど……それも、むくんでただけでした(笑)。水分量が増えると体脂肪率って低く出るからね。

それから、酵素って聞いたことがあるかな。酵素は、栄養素の化学反応を促す触媒で、人体には何千、何万種類も存在するといわれています。
この酵素がなければ、どんなに脂肪燃焼効果のうたわれる食品やサプリをとっても、私たちの体は消化も代謝もできません。つまり、酵素なしでは筋肉も作れなければ脂肪も燃やせず、それどころか、呼吸をすることも心臓を動かすこともできないってこと。
こんな大切な役割をしている酵素ですが、その一部は体内で作られ、体内のタンパク質を基にさまざまなビタミン・ミネラルと結び付いて体内で働くといわれています。

あと、タンパク質関連で意外に知られていないのは、お肉にもビタミンがたくさん含まれてるってこと。
羊、豚、牛など肉の種類によって、同じ肉でも部位によって、いろんな種類のビタミンがいろんなバランスで含まれているのです。脂肪燃焼を助けるL―カルニチンは、肉以外の食品にはほとんど含まれていないので、いろんなお肉を楽しみたいですね。
お魚からは代謝UPに役立つ油がとれるし、大豆製品などの植物性のタンパク質食品からは、食物繊維や肉や魚では補えない微量栄養素や抗酸化物質などをとることができます。
つまり、タンパク質食品ってひとことでいっても、それぞれ違った長所があるんだってこと。どれが○でどれが×ってことじゃないのです。

一昔前は、タコやイカはコレステロールが高いからダメっていわれていたけど、今は、それらにはコレステロールを下げる物質が含まれているのでOKってことになってるよ。
正しいとされる情報は、科学の進歩と称してどんどん変わっていくものなので、情報は参考程度に(私の情報も含めてね)使うくらいで十分。完璧にやる必要なんて全くないよ。


<微量栄養素、食物繊維>

三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂肪)に微量栄養素(ビタミン・ミネラル)を含めて五大栄養素、食物繊維を含めて六大栄養素といわれます。近年は抗酸化物質を含めて七大栄養素っていわれることもありますね。
こうした栄養素は、未精製の穀物、野菜・海藻・キノコ、果物、豆類、イモ類などに多く含まれています。
ダイエットや健康に、ぜ~んぜん興味がなくて、こうした栄養が万年不足状態になってる方も多いのも事実。だから世間ではそういう人たちに向けて、こういうものを食べなさいって言われているの。
でも、しつこくて申し訳ないんだけど、どんなものでも、それ「ばっかり」食べていては痩せもしないし健康にもなれないのですよ~。
 それを理解した上で、次の説明を参考にしてみてね。

◆食物繊維
果物や海藻などに多く含まれる水溶性食物繊維は、食事のときに一緒にとると、血糖値の上昇を緩やかにしたり、余分なコレステロールの排泄を促します。お通じにも効果的。
野菜や未精製の穀物やキノコ、豆類などに多く含まれる不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨れ便のかさを増やし、腸壁を刺激して便の排泄を促進してくれます。けれども、主にストレスが原因の痙攣性便秘は、不溶性食物繊維をたくさんとるのは逆効果。水分と一緒に常識的な量を楽しみましょう。


◆微量栄養素(ビタミン・ミネラル)
微量栄養素も代謝に不可欠な栄養素です。たとえば、タンパク質のページで紹介した酵素も微量栄養素と結び付いてこそ働くことができるのです。酵素の種類によって、ビタミンB群やビタミンCを必要とするもの、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルを必要とするものがあります。

ミネラルの一つのクロムって聞いたことあるかな?
クロムが不足すると、糖質を血液から細胞内にうまく取り込めなくなります。すると、十分なエネルギー量をとっていても、体がエネルギー不足だと感じて、筋肉を分解して補おうとしちゃうことがあるらしいのです。
つまり、筋肉量が減って、基礎代謝が下がり、痩せない体になっちゃうってこと……!
それだけでなく、食欲が増進することもいろいろな研究で明らかになってるよ。
クロムは、肉類、魚介類、未精製の穀物、豆類、海藻類、野菜や果物などいろんなものに入っているので、いろんな食べものを楽しんでいれば大丈夫。ただ、ジャンクフードばかりだと、不足してしまうよっていうこと。

事実、アメリカ人の肥満の原因の一つには、加工食品やファーストフードに偏った食生活で、こうした微量栄養素が徹底的に不足していることも指摘されてます。
こうして、食欲や基礎代謝にも関係してる微量栄養素ですが、ストレスによって失われてしまうってことも知っておいてほしいな。
ストレスホルモンのコルチゾールが働くときは、タンパク質代謝に関わるビタミンB6が消耗され、その他のストレスホルモン、アドレナリンやノルアドレナリンが働くときはビタミンCが消耗されてしまうんだって。
美肌作りや脂肪燃焼に必要な栄養素が失われてしまってはとても損ですよね。
でもだからこそ、食や運動や体重のことばかり気にしてストレスをためず、ダイエット以外の生活も生き生きと楽しむ!! これもダイエットだってこと、忘れないでくださいね。


<カルシウムとダイエットの関係>

ミネラルの一つのカルシウムについては、こんなニュースがありました。
「カナダのLAVAL大学の研究チームが、肥満女性を対象に15週間にわたるダイエットプログラムの実験を行った。被験者は皆、カルシウム不足の食事が与えられたが、一方のグループにのみ本物のカルシウムタブレットが与えられ、もう一方のグループには偽のタブレットが与えられた。その結果、本物のカルシウムのグループは平均6キロの減量に成功。偽のタブレットのグループは平均1キロしか痩せなかった」
(2009年3月13日付のニュース、Calicium For Weight Lossより要約)

びっくりだよね~。でもこれは、あくまでもカルシウム不足の場合とそうでない場合の比較だから、十分に足りてる人がたくさんとればとるほど痩せるというワケではないので、誤解のないようにね。
この実験で、カルシウム不足の人たちが1キロしか痩せなかった原因として、具体的なことはまだ分かってないみたいだけど「脳がカルシウム不足と感知すると、不足を補おうとするために、食事全体の吸収率を高めてしまうためではないかと推測している」と続いていたよ。……あれ? なんだか聞き覚えないですか?
「栄養が足りないから、脳が省エネモードに切り替えちゃうんだよ~!」って私が言ってきたこと。
栄養が足りなくて痩せにくくなっているのなら、カロリーにすべての責任を押しつけて、どんどん食事を制限していては、余計に痩せなくなっちゃうんだってこと!!

今回この発見をした研究グループは、ずっとカルシウムと肥満の関係を追いかけてきていて、2003年にも「カルシウム不足の女性は、十分に摂取している女性よりも体脂肪が多く、ウエストも太く、コレステロール値も高い傾向がある」という研究報告を発表しています。
また2007年にも、調査期間6年の間でカルシウムの吸収率が高いといわれる乳製品の消費量が減るにつれて人々の体重、体脂肪、ウエストサイズも増加傾向にあると指摘。
でも、後者の発表を聞いて、カルシウム摂取を牛乳にばかり頼ろうとするのはまたちょっと危険だなあって思うの。
なぜならカルシウムを含む牛乳を飲んでも、逆に骨からカルシウムが失われ、骨粗しょう症の原因になるなんて報告もあるから。実際に、牛乳の消費量が多い国ほど骨粗しょう症が多いんだって。
じゃあ、どーすればいいのよ~!って思っちゃいますよね。

でも、答えは簡単。
よく分からないからこそ、いろんなものを楽しむようにすればいいんじゃないかな。何か一つに頼りすぎないほうがいい。
あまり神経質になっても心のストレスで栄養を消耗してしまうので、私は今のところ、牛乳はその美味しさを楽しみたいときに飲むってことにして、そのときの気分で豆乳を交互に買ったり、組み合わせて使ったりしています。
カルシウムは、小魚や大豆製品にも豊富だし、緑黄色野菜にも多いよ。青海苔、わかめ、ひじき、昆布、もずくなどの海藻類、未精製の穀類や豆類、ごまやナッツ類にも多く含まれています。
マグネシウムが不足しても、カルシウムは骨や細胞から溶け出してしまうので、やっぱり「これは太る、あれは痩せる」と差別せずに、いろ~んな食べ物を楽しむのが一番だと思います。
カルシウムもマグネシウムもストレスで消耗する栄養素ですよ~。


食事のコツ

<腸内細菌もカロリーを消費する?>

人間の腸内には、500種、100兆個ともいわれる種類の細菌が種類ごとに群れをなして棲んでいるんだって。
健康な大人の場合、体重の約1キロ分くらいは、それら細菌群の重さだっていうから驚きです。

腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分類され、私たちが食べたものを餌にして生命を維持し、活動しています。
そのうち善玉菌は、炭水化物や食物繊維を餌として活動し、脂肪分やコレステロールを排泄型に変えたり、ビタミンやアミノ酸や酵素を合成したり、ミネラルの吸収を促進させたりしてるんだって。
ってことは、私たちが食べたカロリーが丸ごと消化吸収されるわけじゃなく、腸内環境によっても代謝の効率は左右されるってことなんだよね。
1キロカロリーでも低いほうを食べてても、計算どおりにはいかない理由が、ここにもありました。

2006年12月のアメリカのワシントン大学のマウスを使った研究発表でも、腸内細菌の状態によって肥満型、痩せ型が決まるというものがあったよ。私はそれを聞いたとき、やったね!って思いました。
それまで自分の体で「どうやらカロリーだけじゃないぞ?」って実感し始めたことを、科学が後から証明してくれてる気がしたから。
本当に科学情報って、体感の後からついてくることも多いよ。

例えば、音楽をかけて運動をすると楽に感じて効率が上がるとか、音楽とともに運動した経験のある人なら普通に知ってるようなことが、いちいち研究発表になってたりするの。
腸内細菌の肥満との関係についてはまだまだ発展途上の分野だけど、とにかく、カロリーに悩むばかりじゃなく、腸内環境を整える食事を取り入れて損はなさそう。
そのためには善玉菌。善玉菌といえば発酵食品ですね!
発酵食品というと、皆さんチーズやヨーグルトを思い浮かべると思うけど、お味噌、しょうゆ、本みりん、ぬか漬け、しば漬け、たくわん、ふなずし、キムチ、納豆なども善玉菌たっぷりの発酵食品です。ご飯に合う食材が多いことに気づきますよね。
善玉菌の一つに乳酸菌があるのだけど、その種類も何百っていわれてる。ビフィズス菌も乳酸菌の一つにすぎず、牛乳にぬか漬け用の乳酸菌を入れてもヨーグルトにはなりません。

そう、すべて同じじゃないからこそ、いろんな発酵食品を楽しんでいれば、腸内環境にもいい具合になるってことなんだよね。
一般的に、和食は善玉菌を増やすといわれます。なぜかというと、先ほど挙げたご飯に合う発酵食品の数々と一緒に、お米、野菜、イモ類、豆類、キノコ、海藻などを積極的に使うでしょう?
これらは、腸内にもともと生息している善玉菌が好む餌になるのです。その他、オリゴ糖や、麦、あわなどの炭水化物や、果物やナッツ類の食物繊維も善玉菌が好む餌になります。
こう考えると雑穀米ってすごくいいんだね。私は時々しか食べないけど、書いてたらもっと食べようって気になってきた(笑)。お米中心生活を続けるうちに便秘が解消した!って声が多いのは、こうした理由で腸内環境が整うことも理由の一つだと思います。

とにかく、炭水化物は太る! なんて毛嫌いしてタンパク質や脂質に偏ると、腸内環境は乱れちゃうよ。
それにね、「健康な」大人の場合、便の固形成分の重さのうちの約半分は生きた、または死んだ細菌の重さなんだって。上から入れてあげても、下から出てしまうなら(失礼!)、それこそ、善玉菌もその餌となる栄養も差別なく食べようって思う。
抗生物質の不適切な使用や、過度の疲労や睡眠不足や精神的なストレスでも、腸内環境は乱れてしまいます。食や体重の心配ばかりせずに心身を休ませたり、楽しいな、心地いいなと感じることで心身のストレスをやわらげることも、ダイエットになるっていえるのです。


<塩を選んでスリムになる!>

「カロリーが同じなら、塩の種類なんて気にしな~い」って思ってる人、きっと多いよね。私も、カロリーがすべてだった頃は、天然塩だろうが科学塩だろうが、同じカロリーなんだから変わらないって思ってた。でも、天然塩(海の塩や岩塩)を取り入れ、しばらく続けているうちに、科学塩(食卓塩など)とのうれしい違いが分かるようになってきたよ。
まずは、むくみにくくなったこと。昔は人相が分からなくなるくらいのむくみに悩んでいました(←大げさじゃなく本当です)。
むくみの原因の一つには、カリウムとナトリウムのバランスが崩れることがあるのですが、科学塩は99.9%ナトリウムイオンで、カリウムやその他のミネラルがほとんど含まれていないのです。一方、天然塩にはカリウムも、代謝を助けるその他のミネラルも豊富。こうした小さな工夫を重ねることで、むくみにくく痩せやすい体になれる、ということ本当にあるのですよ。

ここでまた念を押しておきたいんだけど、「科学塩はちょっとでもとったら太るもの!」って極端に受け取らないでね~。
科学塩を使ってたって、ほかの食事でちゃんとミネラル豊富なものを食べているなら、問題ないわけだから。
それと、吐き出す行為や下剤などでカリウムをたくさん失っているときは、何をやってもむくんでしまいます(私も体験済みです)。
次に、実感できたのは、味覚の変化。

私はどちらかというと、こっちの恩恵のほうがうれしかったかな。
天然塩って、しょっぱさだけじゃなくて、甘みやうまみがあるんです。余計な味付けがいらないからヘルシーな食材や味付けがストレスなく好きになれたの。
昔はゆで卵にもマヨネーズやらケチャップをべっとりつけて食べたくて、太りたくないから仕方な~く塩で食べてたんだけど、天然塩を取り入れてるうちに、その微妙な美味しさを味わいたいって自然に思うようになったの。
ほかの料理でも濃い味付けのものを食べたいと思う頻度がずいぶん減ったと思う。
味覚は、化学調味料を〝なるべく〟使わず、昆布や鰹節やいりこなどの天然素材でだしをとることでも大きく変わってくるよ。市販の天然だしパックが簡単でおすすめ。

でも、添加物も絶対ゼロに!ってすると気が狂いそうになるし、化学調味料入りのインスタントのスープだって、あったほうが熱い刺激で満腹感が得られるときもあるので、絶対ダメ!と決めつけて神経質になるより、「できるときに心がける」程度にね。
ダイエット情報でよく聞く「○○を控えましょう」っていうのも「食べちゃダメ、食べたら太る」って意味ではないよ。これを勘違いして苦しいダイエットしてる人が多いみたい。
こういうことって、続けてみないと分かりにくい変化だけど、美味しく楽しくできることなので、よかったら続けてみてください。無理のない程度に、できるときにできることだけやればOK。我慢がいらない心がけだから、ストレス太りの心配もなしです♪


<動物性食品VS植物性食品>

ブログ読者の方から「季節の野菜、果物、穀物、豆類等をバランスよくとり、そこにストレスになるような我慢が伴わなければ、動物性のものはあえて必要ないのでしょうか?」という質問をいただいたことがあります。
世の中には、完全菜食主義がよいという考え方も肉や魚を食べると害があるという報告もあるのは事実です。でも、だからといって動物性食品を目の敵にするのは、私個人の意見では、少しいきすぎではないかなあと思っています。
タンパク質のところで書いたように、どの食材にも、それぞれの長所があります。
短所もそれぞれで、魚や肉が毒素を含むことがあるように、植物性食品にも農薬や化学肥料の問題が複雑だったりします。
それにね、正しいとされる情報って変わるんです。
近年のアメリカでは、完全ベジタリアンは癌になりやすいことが分かったという新説も出てきているし、大豆もここ数年の間にバッシングの対象となりました。その前までは「SOY(大豆)はカラダにいい!」といってもてはやされていたのに。ひと昔前は「植物性だからバターよりいい」ってことになってたマーガリンも、今では肥満や病気に繋がるトランス脂肪酸の塊だからと、目の敵にされるようになりました。トランス脂肪酸はカリフォルニア州の飲食店での使用が全面禁止になっているほどです。
食べたいと思って手に取った食品に少しくらい入っていても気にすることはないけれど、偏見からわざわざ体によくないものを選んで偏って食べていた、なんてことになったら悲しいですよね。今いいとされている食品も、将来の新しい発見によってどう結論が変わるかなんて分からないもの。

じゃあどうするのかというと、動物性食品も植物性食品も、太るもの痩せるものという偏見差別、自分は○○が好き・嫌いという思い込みも抜きにして、「今、食べたいものはなんだろう?」って、その時々の自分の体に聞いて、食べたがってるものを選びます。
あれもこれも食べたいときはどちらも少しずつ食べることもあるし、特に食べたいものがないときは、植物性を選んでおくこともある。でも、絶対こっちって決めずにどんなものでも美味しくいただいています。
こんなふうにしてると、食への執着がなくなって、食欲が落ち着くケースもたくさんあるんだよ。
情報に忠実に頑張りすぎても、ストレスで痩せなくなっちゃうことだってあるのだから、どんな情報も、ダイエットによいとされていることも「心がけてもルールにしない」が私のダイエットの基本です。
食べ物に正解・不正解の烙印(らくいん)を押して、極端に走らないほうがいい。いろいろなものを楽しんでいれば、未発見の栄養素を自然にとれる可能性もあるし、特定の有害物質ばかりため込んでしまうリスクは分散されます。

栄養学って、ごく基本的なことを除いては、常に対立する意見があって、あちらの学説とこちらの学説は違うということも多く、時代とともにまだまだこれからも変わる可能性があるものだってことを頭の片隅においておくと、いちいち情報に振り回されずに、そのときの自分の体が求めるものが分かってきます。
栄養学には私も助けられているけど、それがすべてじゃないよ。完璧な食事をしていなければ健康になれないわけでも痩せられないわけでもないのです。
「えー、あやさんって栄養コンサルタントじゃないの?」って声が聞こえてきそうですが、これが私の栄養指導なのです。


<同時ものばかり食べない>

いただく相談にも多いのだけど、どこかで○○にダイエット効果があるらしいと聞いて、毎日そればっかり食べてると、最初は少しで満足できたのに、どんどん満足する量が増え続けてしまうことがよくあるのね。
単品ダイエットとか置き換えダイエットで、そういう経験してる人が多いのだけど、バランスよく食べてはいるけど自分でこれと決めたもの以外は食べられない、という方の場合も同様に食欲が安定しないことが多いようです。
おそらくその原因は栄養不足。いくら体に良い食べ物でも「これは太らないから」「痩せる効果があるから」って理由だけで、同じものを食べてたら、それに含まれているものは過剰になって余るけど、含まれていないものは不足しちゃうから。世の中には未発見の栄養素だってたくさんあるのだから、サプリですべて補うこともできません。
不足した栄養を求めて食欲が増進したり、脂肪をため込みやすい体質になってしまう具体的な理由は、これまでの栄養のお話でお伝えしたとおりです。

もちろん、これから書いていくように、食欲や代謝悪化の理由はそれだけじゃなく、まだまだあるよ。
だけど、体を栄養で満たすことをしてあげないと、脳や体の悲鳴としての食欲は止まらないってこと、心にとめておいてね。
きっちり計算してやらなくても大丈夫。炭水化物、脂肪、タンパク質の割合をいちいち計算してバランスをとるよりも、体が喜ぶ食材を取り入れ自由に食べるほうが、満足感が高まるせいか、減量率が高く肥満に陥る可能性も低いというリサーチもあるのです。
この章や巻末で紹介している食品に、あまり食べていないものがあったら、あなたの生活に「取り入れて」いけばOKです。
それでも、「何を、いつ、どう食べればいいの?」っていう〝ルール〟が気になってしまうと思いますが、それについては第三章でじっくりお話ししていきますね。


<ドカ食いを止める第一歩>

食欲の暴走の理由はいろいろあるけれど、最も激しい衝動を引き起こすのが「栄養不足」からくる「体の食欲」です。
低カロリーでも高カロリーでも、体に必要な栄養が不足していれば、足りない栄養を求めて体は空腹信号を送り続けるよ。
過剰な運動で栄養状態を上回るエネルギーを消費し続けてる場合も、体は栄養不足。脳が飢餓状態と判断すれば同じことが起こります。
長い栄養不足状態の後に訪れる過食や代謝低下は、生命維持の本能。必死に飢餓から身を守ろうとしているだけなのです。なのにそんな自分を責めたら自分がかわいそうだよ~。
その状態から脱するためには、空腹を無理に我慢したり、特定の栄養素差別したりせずに、いろいろな栄養とカロリーを定期的に体に補給して体を満たしてあげること。それを半年~一年続けてあげます。
すぐに過食が止まらなくても過食時以外の食事を抜いたりせず、続けてあるの。脳が「もう飢餓はやってこない」と安心した頃に、猛烈な食欲や代謝の悪化も落ち着いてくるよ。
巻末の食事のコツや美女フードを参考に、「三食(+できれば間食)」を自分を許すことから始めてみてね。

お砂糖もお菓子も「食べたら太るもの」ではないし、「少しでも食べたら依存するもの」ではないよ。
ふつうの食事をしないで毎日毎食そればっかり摂取するから依存してしまうわけで、普段から体が喜ぶ食事を「心がけて」いれば、そのうち、甘すぎるなあとか今はイラナイなあって感じたり、美味しいけどたくさん食べなくても満足~って感じられるようになってくるの。
今の過剰な食欲が一生続くわけではないし、甘いものを一生我慢しなければいけないわけじゃないのです。
飢餓の反動のモーレツな食欲が落ち着けば、後半で説明する頭や心の食欲についても取り組みやすくなってくるよ。


<カロリーってそもそも何なの?>

最近は、海外で勉強した先生たちがカロリー神話は忘れましょうって日本でも広めてくれてるみたいだけど、やっぱりまだまだ、カロリーに振り回されちゃう人が多いみたい。
特に、一度カロリー計算で痩せた体験があると、なおさら怖いんだよね。私もアメリカで、普通の内科の先生にまで「そんな低カロリー摂取じゃ体が脂肪をため込もうとするのは当たり前じゃない!」って言われてビックリしたけど、それでも信じられなかったもん。
でもさあ、カロリーってそもそも何? この食べ物は○キロカロリーってどうやって決められるの?って、疑問に思ったことない?
知っている人も多いと思うけど、食品成分表にのっているカロリーは、実験用の容器の中で食品を完全に燃やしつくし、そのときに発生した熱で水の温度が何度上昇するかという実験から割り出された数値です。

人間の体内では、まさかそんなふうに食べ物が燃やされているわけじゃないよね。
何万種類あるといわれる酵素それぞれが、私たちが食べたものの中のそれぞれ決まった栄養素に働きかけて、ゆっくりと化学反応を起こし、消化、吸収、代謝が進んでいくのです。
その酵素だって、いつどう分泌されるかは、ホルモンの働きかけ次第。そしてそのホルモンの分泌具合も、体調だけでなく精神状態によっても変化するものなのです。

さらに、人間の体も心も、厳しい規格で作られた実験器具とは違い、個人差があるのが当然です。同じ人でもその日そのときによって、体や心の状態は違ってくるもの。
つまり、人の代謝の仕組みって、単純なカロリーの足し算、ひき算では語れない、とても複雑なものだということなのです。

私の経験でも、一日1500キロカロリー摂取でも、そのときの自分にとって栄養不足なら、太りやすくなっていました。
そこで一日の摂取カロリーを1600キロカロリーにしたら太った、でもそこから1700キロカロリーにしたら逆に痩せた、ということがありました。

そして、計算を手放して〝心も体も心地よいと感じる感覚〟を目安に食べていたら、上下しながらも順調に痩せていったのです。
計算上の摂取カロリーは一日に500キロカロリー以上も差があったりするけど、それがイチイチ積もって太ったりしないよ。
年末年始や旅行などのイベント続きで2~3キロ太って、特にダイエットなどしなくても、いつもどおりの生活を送っていれば自然に元の体重に戻ります。
ダイエット情報に興味がない私の友人は「そんなの当たり前じゃん」っていつも言ってたけど、昔の私は信じられなかった。

でも、それは、私がダイエットしなければ痩せられないというメディアの情報に洗脳されていたからだったの。
よく考えてみれば、私たちは学校でホメオスタシス(恒常性)って習いました。私たちの身体を一定の状態に保とうとする体の機能のことです。
この機能によって、減らした体重がすぐ元どおりになってしまうことばかりがダイエット情報で取り上げられるけど、実際は逆もありなはず。ちょっと食べすぎて数キロ太っても、いつも通りの食生活に戻ればダイエットなどしなくても数週間で自然に元に戻るのです。

それを裏付けるかのように、2006年に東北大学の研究でこんな発表がありました。

〝摂取した炭水化物や脂肪分は体内で余ると、中性脂肪として血液中に流れ、全身の脂肪細胞が吸収する。ある程度たまると、脂肪細胞が食欲を抑制するホルモン「レプチン」を血液中に分泌。これが「脳」の食欲中枢となる視床下部に届き、食欲を抑える。
肝臓に内臓脂肪がたまりすぎると、肝臓から脳に「肥満注意信号」が伝わり、体のエネルギー消費を増やしたり、脂肪を減らしたりして、肥満が進むのを抑える調節機構が働く〟

つまり、私たちの体はいつもより多くエネルギーが入ってくれば、自力で食欲を抑制したり、代謝を上げたりして調節する力があるのだということ。継続的に明らかな食べすぎを繰り返さない限り蓄積され続けるわけじゃないのです。
もし、いつもよりちょっと食べたくらいですぐに太るなら、私が経験したように、既に省エネ体質になっている可能性が高いということではないでしょうか。
若かりし頃の私は、本当に「一口食べたらブタになる」と信じて、食欲を否定し我慢を重ね、摂食障害に突入していきました。
私は太りやすい体質だから、年齢のせいだ、あれを一口食べてるからだって、自分の体質ばかりを責め、「カロリー計算」の仕組みを決して疑うことはなく、摂取カロリーを減らし続け、運動を増やし続けていきました。
その結果、先にお話ししたように、ジワジワと小太り化してしまったのです。
これは私が特殊体質なわけではありません。私のブログには同じ体験をもつ皆さんの声がたくさん届いています。

要するにカロリーって、いつも一日5000キロカロリーとってる人が2000キロカロリーに減らしたら、それは減量効果はあると思うけど、それくらいならいちいち細かく計算しなくても、大雑把に健康的なものを日常のレパートリーに加える程度で十分カロリーダウンできると思う。
計算してもそのとおりに消化吸収されるわけでも消費されるわけでもないのに、頭で食べ物を太るものと痩せるものって差別したり、「食べる=太る」「運動を休む=太る」って意識を高めて、反動の食欲やストレス太り体質になるリスクを負わないほうが、私はいいと思います。
もちろん、カロリー計算も大雑把に取り入れて、ずっとストレスにならず、栄養もきちんととって、体の正当な食欲まで無視せずに大らかに行えるタイプの人には合っているのかもしれません。
でも、それがすべてではないよ、ということ。私のようにカロリー計算で食べるのをやめて、減量に成功した方もたくさんいます。
カロリー計算に関わらず、だれもに必ず当てはまる「これさえやれば痩せる」という方法も「これをしなければ太る」なんて方法もないんだと思う。
この先の私の情報も、皆さんご自身が、ご自分に合った情報を見つけていく「お手伝い」ができればいいなと思っています。


★point★
*太るのも過剰な食欲も、栄養が足りない証拠
*カロリーは蓄積しない! 計算とは縁を切る!
*食べたら太る栄養素はナイ! 炭水化物や脂質とも仲直り!
*ストレスで代謝に必要な栄養素は消耗。食もそれ以外の生活も楽しもう!
*健康的な食べ物は、日々の生活に取り入れて「楽しむ」(義務にして苦しまない)
*情報は参考程度に。心がけてもルールにしない!
*栄養不足・極端な偏りから来る過食衝動は、ご飯中心のバランス食で体を満たして」落ち着かせよう!

*   *   *

第一章はここまで!
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著者プロフィール

ステップあや

1974年生まれ。埼玉県出身。
ロサンゼルス在住の摂食障害克服者カウンセラー/栄養コンサルタント。
拒食・過食嘔吐・過剰運動を繰り返した18年間の摂食障害を克服し、自身の体験から万年ダイエッターにアドバイスとメッセージを送ったブログ『燃焼系ボディは食べて作る! 摂食障害も克服!』が熱狂的な支持を受け、人気ブログランキングやブログ村ランキングダイエット部門で常に上位に。
「何十年も分からなかった自分の痩せられない原因が分かった」
「どの本を読んでも分からなかったことが分かって20年も続いた過激なダイエット生活にピリオドを打てた」と、ブログ読者からは感謝の声が寄せられる。
現在は、ウェブ上やオフラインで摂食障害カウンセラー、ダイエットアドバイザーとして活動するほか、日本でもダイエット依存症・摂食障害に悩む方やその家族を対象としたセミナー『ココ・カラ美人生活塾』を主宰している。
ブログ http://ameblo.jp/step-aya/
WEBサイト http://www.stepaya.com/

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