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【最終回】常勝! プロジェクトを成功に導くマネジメントの定石 ~自己流の限界を超えるプロジェクト成功のカギとは~

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第四章 プロジェクトマネジメント・プロセスへの活用

プロジェクトマネジメントには、立ち上げ、計画、実行、終結、そして全体を監視・コントロールする5つのプロセスがあります。
プロジェクト・マネジャーには、これらのプロセスにおいて、チーム一丸となって、目標達成に向けて、立ちはだかる壁をいくつも乗り越えなければなりません。
この人ならついていきたいと思われる、「信頼のある」リーダーになることです。そのためには、さまざまな場面で、人間力を磨き・発揮する必要があります。

4-1. プロジェクト憲章で決意を表明する

プロジェクト憲章とは、ステークホルダーのニーズと期待を満足させる初期の要求事項を明確にし、プロジェクト関係者に対してプロジェクトの存在を認可してもらうことを目的とした文書です。
プロジェクト・スポンサーがプロジェクト・マネジャーを任命し、プロジェクト・マネジャーに組織の資源を使用する権限を与えます。
プロジェクトの最後の姿を思い描きながら、あなたがプロジェクト自身をどう創り上げたいかを決めることです。
プロジェクト・マネジャーとして、「このプロジェクトを絶対に成功させる」ことを宣言する決意表明です。

4-2. プロジェクト・キックオフ・ミーティングで指導力を発揮する

プロジェクトのキックオフとは、プロジェクトを公式に始動させることであり、立ち上げ時の早い段階で「プロジェクト・キックオフ・ミーティング」を開催します。
プロジェクト関係者を招集し、プロジェクト・マネジャーがプロジェクトの目的や目標などの重要事項、チームの役割や作業分担、およびメンバー紹介などを行います。
プロジェクト目標を達成するために、メンバーと使命感や一体感を共有し、同じ目標に向かって突き進むためのチームづくりの場です。

4-3.達成可能なスケジュール計画で約束を果たす

プロジェクトの目標を達成するために、具体的な成果物(中間成果物含む)や作業をカレンダーに落とし込み、確実に期限までに実行します。
プロジェクトの特徴として段階的詳細化があります。プロジェクトは、はじめからすべてがわかっているわけではありません。プロジェクトが進むにしたがって、だんだんとわかってくることがあります。プロジェクトの実行/監視・コントロールプロセスからフィードバックを受けて、計画の内容を更新しながら実行します。
したがって、プロジェクト・スケジュール・マネジメント計画プロセスは、プロジェクトの終結まで継続して行い、確実に約束を果たします。
 

4-4.相手の立場を尊重したコミュニケーションで良好な関係を構築する

「プロジェクトの成功は、人と人とのミュニケーションにかかっている!」といっても過言ではありません。
プロジェクトのステークホルダーには、協力的な人もいれば、非協力的な人もいます。ステークホルダーを抜け漏れなく特定し、適切なコミュニケーションを通して良好な信頼関係を構築することにより、ステークホルダーを巻き込み、最大限の協力を引き出すことが必要です。
人間力の「9つの要諦」のひとつ、「良好な人間関係が構築できるコミュニケーション能力」の要素として、「積極的傾聴」が挙げられます。「相手の立場に立って考えなさい」とよく言われますが、どうすればよいのでしょうか。頭では、わかったつもりでも、行動に移すのは難しいものです。

4-5. デシジョンポイントでは、未来に向けて進むべき道を決断する

プロジェクトの進捗会議においては、いくつものデシジョンポイントがあります。少ない情報でも過去のデータを分析した結果をもとに、「未来に向けて進むべき道」を決断しなければなりません。
メンバーやリーダーは、あなたに決断を迫ってきます。複数の選択肢の中から一つを決定する。あるいは、一つの事象や課題について「是か非か」を決定します。
決定されたことは必ず実行されるよう周知・徹底が必要です。 

4-6.常に最適なツールや技法を研究し本質を見極め採用する

世の中には、プロジェクトマネジメントに有効なツールや技法は、たくさん存在します。その中から、自分のプロジェクトにとって有効なツールや技法は何か、を調査検討してから採用する必要があります。やみくもにツールを使えばよいというものではありません。
WBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)は、プロジェクトマネジメントにおいて重要なツールです。といっても、その本質を理解して使っている人はどのくらいいるでしょうか。WBSを使うと、「作業を抜け漏れなく洗いだすことができます」といわれています。
しかし、WBSを使うから作業を抜け漏れなく洗いだすことができるわけではありません。できるだけ関係者を集めて、ブレーンストーミングをするから抜け漏れなく洗いだすことができるのです。

4-7.サーバントリーダーシップで最強のチームをつくる

サーバントリーダーシップは、部下に対してできる限りの奉仕を行い、それを通じてメンバーの仕事に対するモチベーションを高め、自主的に仕事をさせるように導いていくリーダーシップ論です。「サーバント」には、「使用人」「召使い」という意味があります。
従来のリーダーが先頭に立ってメンバーをぐいぐい引っ張っていく、支配型リーダーシップとは異なった考え方であり、メンバーに命令して仕事を進めるのではなく、どうすればメンバーの持つ能力を最大限に発揮できるのかを考え、それが実現できる環境づくりやメンバーへの支援を通じて仕事を進める方法です。

4-8.コンフリクトの解決には、公平・公正・公明な態度で接する

コンフリクト(対立)が発生することで、当事者同士が不快感を味わったり、円滑なコミュニケーションがとれなくなったりすることで適切な意思決定ができなくなる、といった弊害が生じることがあります。
プロジェクトのコンフリクトは、当事者同士で解決することが望ましいですが、「コト」が大きくなりそうな場合は、プロジェクト・マネジャーが解決に当たらなければなりません。その場合は、中立な立場で公平・公正・公明な態度で接する必要があります。えこひいきは、禁物です。

4-9.できなかったことを振り返り、内省し次の成長へつなげる

私たちは、神様やスーパーマンではありません。長所もあれば短所もあります。自分ができていることは強みとして伸ばし、短所は弱みとして克服すればよいのです。人間は成長できる生き物です。
できなかったことは、どうすればできるようになるのかを考え内省し、何度も何度も繰り返し実践します。自己実現をめざして、自分の行動を変容することで成長につながります。

PUPRSGサイクル:トニーコヤマモデル

以上

著者プロフィール

小山透

プロジェクトマネジメントをわかりやすく伝えるエバンジェリスト(伝道師)。ソニー一筋40年以上勤務。2011年、米国プロジェクトマネジメント協会認定のPMP(Project Management Professional)資格を取得し、半導体製品開発プロジェクトのPMO(Project Management Office)を担当する。また、米国プロジェクトマネジメント協会の日本支部では、プロジェクト・マネジャーに必要な知識やスキルとともに『人間力』についても10年以上研究を続けている。2012年からプロジェクトマネジメントの研修を体系的に構築。プロジェクトマネジメントの研修講師として、6,000名以上を教えている。

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