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「普通であろうとする人」のおぞましさ

しゅんしゅしゅんです。

村田沙耶香さんの「コンビニ人間」が文庫本になっていたので読みました。ここ最近で読んだ小説の中では、西加奈子さんの「サラバ!」に続いての個人的HIT作でした。

ちなみに漫画でわかるシリーズみたいなもんで、小説でわかるシリーズがあったとすると、「サラバ!」はアドラー心理学の「嫌われる勇気」の小説バージョンだと思ってます。これ共感してくれる人いないかな~っていつも思っているんですが。いたら語り合いたい。

で、コンビニ人間ですが。

不合理な人間をなんとも奇妙に、可笑しく、気持ち悪く描いている。
読み始めは、小説の中に登場するサイコパスが「おかしいやつ」と思えるのだが、そのうち、自分に近しい「普通のやつ」が「おかしい」ように思えてくる。
もはや「おかしい」とは何なのかがわからなくなってくる不思議な感覚に陥ります。

そもそも「どちらがおかしいのか」その考え方すらおこがましいのだと自分を戒めたくなる。否、戒めることなどできるのか。人間なんぞ、ずっとこうやって生きてきたのだから。

最も感慨深いシーンは、主人公の妹が、主人公と同棲している男に泣きながら説教をするところ。ここが色濃い。最も色濃い。

人間は自分と違う考えで生きている人に対して、アドバイスしたり、諭したり、批判したり、説教したり、下にみたり、からかったりことで、いかに自分が普通か、いかに自分が正しい生き方をしているかを証明し、安心したい生き物なのだ。

この自分勝手さ、脆弱さ、醜さ。かなり人間的だ。

普通であろうとする人は実におぞましい。
「普通」とは何か?を考えさせられる至極の一冊です。

では。




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