見出し画像

(連載121)アートディーラーの存在:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2023年

久しぶりに回顧録に戻りました。

去年の5月にニューヨークで個展をやったので、そのお話から再開いたします。

自分は長い事、アートディーラーというものを探し求めておりました。
なぜか?

アートディーラーというのは、日本だとあまり知られていない存在ですが、いわゆるアート作品を売ったり買ったりしている人、もしくはその周辺にいる人々の事で、その中でも画廊を持っている人をギャラリストといいます。
コレクターやアートの支援者達に太いパイプを持っていて、
アメリカの現代美術の世界では、彼ら/ 彼女ら抜きでは歴史が語れないというくらい存在感があり、彼らのロジックでアートビジネスが動いていると言っても過言ではない!(ような気がします)

そういうビジネスサイドとアーティストの間にいるのが、アートディーラーで、その仕事は個々のアート作品の売買もありますが、気に入ったアーティストがいると、長い目でみて投資したり応援してくれるのです。

たとえば、タレントとプロダクション事務所、ライターと出版社、ミュージシャンとレコードレーベルみたいなものでしょう。

ただ、このご時世、そんなバックはつかなくても、アーティストは誰に頼らなくても、発表の場やいろいろなマネタイズの方法もあります。
自分でやろうと思えば何だってできない事はないので、もともとインディでアングラ志向の私は、自分で個展や美術館絡みの展示など、いろいろやってきました。
しかし。
単発でそういう個展などをやっても、何も次につながりませんでした。
この回顧録で何度も述べましたが、花火のようにパ〜っと広がってその時は、盛り上がるのですが、展覧会が終わったらそれで終わりです。

なので、誰か私のやっている事を長い目で見て、評価してくれ、応援してくれる、つまり点を線にしてくれるような、アートディーラーがいたらいいなあと思い始めたわけです。

しかし、これは当たり前ですが、すぐは見つかりません。
自分なりにいろいろ探し回りました。長い間、それも手当たり次第に努力はしましたが、ほとんどがダメでした。

世界中でひとり!!

たったひとりでいい!!

どうか、

この地球上のどこかに存在していてくれ!!


この願い(怨念ともいう)が通じたのか?


それからしばらく、あまりにダメダメでこれ以上はもう、無理!!と、ほとんど諦めていたところに、いきなり現れたのです。

それはこの人です。デビッド・トータという人。


彼との出会いの経緯は、詳しくこちらに。

私は信じられませんでした!
それまでの悶々とした時間があまりに長かったので、
本当に、嬉しくて、嬉しくて、この時点ですでに自分の人生、もう思い残す事はなかったです。苦笑

しかし。


実際に夢が叶ったら、叶ったで、これは現実なのか?これが本当に自分に起きている事なのか? と、半信半疑となり、そして、なんとも言えない不安が、もくもくと膨らんだ。

そちらはここに書きなぐっております!


しかし、ともかく、行けるとこまでいってみよう!

チョイスは、それしかありません。


そう決心したら、もう早いです。このデビッドと相談して、個展の日程が決まり、ランウェイショーもやりたい。私のドキュメンタリー映画も上映したい。と、欲張ってみたら、デビッドは、全部オッケー!!で、てんこ盛りのスケジュールになりました。

もう、それからは、こんなアタイを女王様のようにあつかってくれるのです。ああ、これが夢なら醒めないで!!

以前は自分の個展はすべて自分でプロモーションをしていましたが、
全部ギャラリーがやってくれる!
ランウェイショーのビデオの撮影経費も出してくれる!!
それから個展のアナログの広告もお金をかけて、うってくれた!!!

そして、また、オープニング直前に、アート業界のパーティーの連れて行ってくれたりもした。

このパーティにはちょっと驚きました!こんな事は、今まで経験したことのなかった事だったからです。

ざっくり述べますと、あるハイエンドな印刷の会社、そこは有名アーティストのプリントの作品を長年やっているところで、このたび、資金集めのパーティーをやる事になり、参加者をつのって、ディナーをふるまうという、まるで自民党の裏金資金集めさながらの、パーティーなのですが。笑
(違うのは、合法なのと、このパーティーが本物で豪華だった事)

場所はマンハッタンのビルの屋上です。
時刻は夕日の見える時刻からのスタート。
続々とアート業界の人たちが集まってきて、ワイン、アペタイザーからはじまり、その時間を楽しむ。

続々と集まってくる人たち
ジャケット着た人が多かったです。さすがニューヨーク。
自撮りでここにいることを証明!


しばらくしたら、屋内に案内されて、結婚式のような丸テーブルに名前がかいてあって、そこに座ります。

テーブルごとにグループになっていたので、パーティー券はそのテーブルごとに販売していたんだろうと予測しました。
自分が座ったテーブルは全員がデビッドの知り合いだったので、おそらくデビッドがこのテーブルを買ったのでしょう。$$$
おそらくひとつのテーブルが一人5万円として、30万円とか??

そんなカネ勘定をしているのは、このなかで、おそらく私ひとりだろう。汗

ともかく、周りは見るからに富裕、富裕、ふゆう層!!

そんなふゆう達がおそらく会場には五百人!!くらいいたでしょうか?


しかも。 ほとんどが白人!


アジア人は私ともうひとり???その方はおそらく小野ヨーコさんレベル?の方でしょう。
ブラックの人も司会の人以外はひとりかふたりくらいでした。

ディナー用のワインから始まって、おそらく、マンハッタンでもトップレベルのシェフが作ったコースの食事をしながら、(すみません、写真なしです)
その会社の歴史のスライドショーや、今までの作品を作ってきたアーティストたちの挨拶がありました。

で、それで終わりかと思ったらそれからいきなり、資金集めが始まりました。
こちらが本命だったのです。つまりパーティー券の販売だけの資金集めではなかったのです。

司会の方が、「それでは始めますよー」という前振りがあり、
たしか会社が20周年記念とかで

「200ドルからはじめま〜す!」


そしたら、たくさんの人が自分のケイタイをとり出しました。
そして

ネット上でお金を送金するんですよ。
その場で!!


そしたら、その人たちの名前が中央のモニター・スクリーンに出てくるんです。いわゆる投げ銭?ってやつ??

もちろん匿名の人もいましたが、名前を出してる人もたくさんいました。
数字をみてるとどれもが、一口200ドルの倍数、、、ってかんじです。
つまり400ドルとか800ドルとか。。。。2000ドルとかです!!

ひえ〜〜。
私にも、せまってくるプレッシャー?苦笑
でも心のなかで、200ドルでもきついわ〜と思いました。
20ドル???
2ドル???でもいいのかな。
それは、かえって、目立ちそうなのでやめましたけど。汗

いやはや、お金がお金じゃないフユーな人々!!

それらがすべて終わって、おかえりの際は、一人一冊、分厚いハードカバーの写真集をひとり一冊ずつ!!(買えば50ドルはするだろう。=こういうすぐカネ勘定すること自体が、自分がこの場から浮いている証拠)

こういう人たちがニューヨークのザ・アート業界!なんだなあと、
おもわずため息が。


昨今、格差社会が叫ばれておりますが、このたしかな格差を目の前で実感いたしました。

こういうアート好きのお金持ちといえば、億単位で絵を買ったとかそういう価格の話ばかり取り上げられるので、我々アーティスト側からしたら、全く不愉快で、こういう現象に対して批判的なアーティスト達もたくさんいますが、反面、歴史からみるとそういうお金持ちが作品を集めてくれていたから、今でも〇〇コレクションという形で見ることができる、という側面もあり、微妙なところです。

なので、アートとアートビジネスは全くの別物だと、注意しておかなければなりませんが、今はただ、ネタ的に、アートディーラーのおかげで、このような体験ができたのを感謝しています。笑


今回のお話は以上です。
次回は自分のやったランウェイのショーのついてお話しようと思います。

読んでくださって有難うございました。

L*

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?