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独身者の休日

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2023年10月の記事一覧

喜色是人生

喜色是人生

10月いっぱいで建て替えのため閉館する国立劇場でひさしぶりに落語を聴いた。

国立劇場といっても、“はなれ”のように敷地内にぽつんと建つ演芸場について言えば築年数は本館よりだいぶ浅い。なんだか壊してしまうのも惜しい気がするが、相変わらずのトイレの大渋滞を見るとやはりそろそろ改築のタイミングなのかもしれない。

ところで、国立演芸場というと舞台正面に掛けられた「喜色是人生」と書かれた額を思い出す。侍

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【休日と銀座】歩いて考え、考えてまた歩く

【休日と銀座】歩いて考え、考えてまた歩く

仕事は休み。ゴンチチのアルバム《PHYSICS》をBGMにパスタを茹でたら、パスタと同時に理想的な“休日の昼下がり”も仕上がった。

午後、地下鉄にのって銀座をめざす。

図書館で借りた『コーネルの箱』というふしぎな本を拾い読みしていたところ、“1947年1月24日にコーネルがやったこと”という文章が目にとまった。それによると、ジョセフ・コーネルもまたこんなふうに電車でクイーンズの自宅からマンハッ

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スパゲッティ日和

スパゲッティ日和

ボロネーゼではなくミートソース、パスタではなくスパゲッティ、そう謳っているような店がときどき無性に恋しくなる。

休日の予定が、急きょ欠席するわけにはいかない会議ができてしまいやむなく出勤した。こういうときは、ダラダラしていると余計な仕事につかまって泥沼にはまるのが目に見えている。そこでそそくさと帰り支度をし、銀座へとむかった。このまま帰るのもつまらないと思い有楽町で映画を観ることにしたのだ。

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幸福な記憶は地下鉄の出口にだって宿る

幸福な記憶は地下鉄の出口にだって宿る

午後から銀座に行く。

ふだん銀座に行くときは、行先にもよるが有楽町か日比谷で地下鉄を降りて歩くことが多い。

有楽町か日比谷の駅で下車した場合、どこから地上に出るかは特に決めていない。数えたわけではないが、すくなくとも3、40はありそうな出口のどれを利用するかはそれこそ行先による。

しかしきょうは、行き帰りとも「B1」と番号の振られた出口を使おうと銀座に向かう電車のなかで決めていた。ちょっとし

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