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いま汗をかいて働くことをやめれば資本主義は終わる N111

 コロナの第二波で世界各国はまちまちの対応をしている。中国はどうやらコロナが収束したかどうかは別として通常通りのオペレーションを再開しているような話を上海在住の同僚は言っていたし、さらには東京在住の日本人も日本は吹っ切ってコロナと共生することを決めたようだと言っていた。あくまで聞いた話だ。

 OECDのGDP予測(*1)によると特にヨーロッパが経済の打撃を大きく受けているようだ。特に人の出入りが関連する観光だったり教育だったりが大きな国にとってはダメージは大きいように見受けられる。イタリアは伝統的に製造業のメッカだったが通貨統合の影響で金融はロンドンに製造業はドイツにお株を奪われ、代わりに観光業を担うようになってしまった皮肉な結果になっていた(スペインも似たようなものだろう)。 

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  また資本主義の象徴のアングロサクソンの国を開いてみると国内の階級格差が見事に露呈した結果となっている。上級階層は自宅でパソコンからネット会議をしているだけで今まで通りの生活を送っている。・・・いや彼らは毎日高級レストランで会食できなくなったり、南欧でバケーションを優雅に送ってリフレッシュしたりできなくなったりというストレスフルな生活を送っている。つまりGDPのマイナス分が思いっきりマイナス影響しているのだ。  

 一方、下級階層はスーパーのレジ打ちからウーバーイーツの配達まで感染リスク覚悟で街を動き回っている。彼らは中国人、インド人、アフリカ人、東欧人なのだ。移民でやってきた彼らは持ち金もなく生きるために感染リスクがあろうが働かねばならない。ウーバーイーツで働いている人たちはその前は別の仕事をしていた人たちだ。何らかの事情で仕事を失った人たちだ。仕事の流動性の高さはある意味失業回避のクッションとなる。  

 最後に中国がなぜオペレーションを再開しなければ行けなかったか?これは中国が世界で出し抜くための戦略というよりも、むしろ世界の工場で工場は人間が生で稼働しないとお金をもらうことができないからだ。アングロサクソンの国々では優雅に自宅で隔離しても仕事ができる。工場は中国にあるからだ。中国は人を外出させないと仕事ができない。そして日本が吹っ切ってコロナと共生せざる得ないのも自宅でできない仕事が多いからなんだろう。

 もしいま汗をかいて働くことをやめれば資本主義は終わるのだ。中国の指導部、そして今リスク覚悟で働いている方々の反抗があれば資本主義は終わる。 

*1) OECD, Real GDP Forecast 23 Aug 2020


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