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メディア露出におけるジェンダーギャップの改善:BBCの取り組み

BBCが「2020年までにTV画面に映る男女の割合を50:50にする」との方針を昨年発表しました。BBCの「50:50プロジェクト」はアナウンサー・キャスターだけでなく、TVに出るコメンテーター、学者、専門家、ケーススタディで取り上げられるジェンダーにも及びます。日本だと番組内に女子アナはいても番組に出演する専門家や取り上げられる事例に女性の出演者が少ないことが普通になっています。この比率が男女同等になるということです。

この方針が打ち出された時点でBBC傘下にある世界中の合計84のメディアで「男女平等-50:50」の基準を満たしていたのは僅か27%でした。しかし先月この割合が僅か1年間で74%に達したとの報告がありました。

50:50プロジェクトが進展した結果、5人に1人のBBCの女性職員は現場環境が楽しくなったと答え、視聴者もその変化に気づいたそうです。この成功を受けてBBC会長はこのプロジェクトを提携メディアにも広げていくと宣言しています。短期間でこれだけ成果をあげたことに一番喜んでいるのは会長のようです。

「50:50プロジェクト」はBBCワールドを担当する男性ニュースキャスターと女性プロデューサーの提案で始まりました。実は提案した二人とも、このプロジェクトがここまで進展するとは予想していなかったようです。


BBCではこの50:50プロジェクトの成功を受け、同プログラムをThe Financial Times, ABC News など他のメディアにも広げていく計画を立てています。

日本のメディアの現状はどうでしょうか?NHK日曜討論の直近のパネリストの顔触れを見て頂ければわかりますが、女性の専門家はほぼ毎回ゼロに近く、出演していても1人とかが現状です。日本では女性の専門家、政治家の意見が主流メディアでは反映されにくい状況が続いています。私はこの50:50プロジェクトを導入することになったThe Financial Times紙を傘下に持つ日本経済新聞、そして公共放送のNHKなど日本のメディアはもっとジェンダーギャップの問題に真剣に取り組むべきだと思います。

一社員が提言し、トップが決定すれば、たった1年でこれだけの成果が出せるのです。日本で男女雇用機会均等法が導入されたのは1986年ですが、実は職場の多様性を確保するのはそれほど困難ではなく、意識改革と努力が伴えば確実に実行可能なことをBBCの事例から学びました。

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