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時間泥棒になることなかれ

タイムイズマネーと言われるくらい、時間とは大切なものです。

私達の生きる時間は限られています。
一日を、一時間を、一分一秒をどう有意義に過ごすか。
どう無駄にせず時間を使うことができるのか。

皆さんは時間を、時間の使い方をどのように思われていますか?

私はとある大手企業に産業カウンセラー謙アドバイザーとして訪問している所があるのですが、つい最近、
「この会社の現状はこれで良いのでしょうか?改善すべき点はどこでしょうか?」
と、社員の方に相談されました。

自分達の仕事の仕方や運営方針に何かしら疑問を持ちつつも、何が問題なのか。行き詰っている感覚がどことなくあるのにそれが分からない…そのような様子が窺えました。

私ははっきりお伝えしました。
『厳しいことを申し上げますが、ここの皆さんは会議の仕方や時間の使い方が上手ではありません。無駄な時間を使い過ぎています』と。

しなければいけない事務仕事やノルマなどがたくさんあるにもかかわらず、
会議がそもそも多く、一日の大半を会議に費やしている。
そこで時間を取られていては、他のすべきことが溜まっていく一方です。

山積みになった仕事にうんざりし、しかも取り掛かる時間もない。
あっという間に終業時間が来て、残業。
なんとも効率が悪く、心身共に疲弊する状況。

会議の中身はだらだらと、元も子もないような話が続くばかり。
無限ループになっていることも多々。
私はそのような、うーん、うーんと言っているだけの会議に意味は無く、時間がもったいないと思うタイプです。

会議で意見が飛び交うくらいでないといけません。
一つの議題に対していつまでも時間を使ってしまい、他の議題になかなか進まない。そのまま予定時間を超えて会議することもあれば、次回に持ち越しと言って今後もまた続く。
どこの会議でもよくあることではないでしょうか。

一方で順調に会議を進められる方々もいます。
公的機関とも私はいくつか契約し、お仕事をさせてもらっていますが、
その中のある機関の会議では、1時間のみと決めており、議題がいくつあってもその時間内で話し合うことをしています。
1時間後にはそれぞれが次の仕事をしなければいけないからです。
私においては、会議の後すぐにカウンセリングや発達検査の予約が入っています。
私を含め他の職員も、会議の時間を延長するわけにはいかないのです。

限られた時間の中で大事な話をしなければならない、ある問題に対する解決策をまとめなければならない…
ギリギリ感の中で話し合いをしますが、その方がある意味冷静に、情報や意見を絞り、必要な判断を的確にできるのです。

そういった状況に慣れている方々ですので、議題が多くても、その内容が濃くても、1時間以内に話し合いと検討を終わらせることができます。
一つの議題に対して5~10分あれば十分検討でき、すべきことの決定と、その先の段取りまでトントン拍子に決めていきます。
ギリギリ感の中で頭を働かせ、物事の判断をしてきた経験を積み重ねたことで、会議そのものも頭の回転も非常に速い。
まだそれに慣れずに十分に意見を言えない新人さん達も、この状況に慣れてスキルを身に付けていかなければと、良い意味で焦り、熱心に学ぼうとしています。
こういった流れや運営方法を身に付けられている組織は、仕事が山積みでも上手に片づけていくことができるメンバーが多いです。

ダメもとでも意見をあれこれと言ってみようとトライする姿勢は大事です。
意見が多ければ多いほど、話し合いは有意義になります。
一つ提案がだめになったら、次の手をすぐに示せるよう、いくつか考えを持って会議に臨む。それも大事です。
その場でいくつも考えがひらめくように、普段から知識や日頃の経験をしっかり吸収し、いつでも語れるように自分の中に落とし込もうとする心掛け、努力。それも必要です。
一人ひとりがそういったスキルを持っている組織は会議が順調に進み、意見も豊富に出ます。それぞれの意見を大事に受け止めつつも、その中から的確に必要な方針・今後すべきことを判断し、時間を上手に使いながら仕事を進められます。

反対にそれができない組織はいつまで経っても同じ話を続け、意見もろくに出ず、せっかく出た意見は否定だけして終わり、次の提案は特になく…時間だけが長引くのです。
順調に話を進められるだけの知見やらスキルが乏しいというのも根本にあります。
話の回転も、頭の回転も悪い話し合いでは、人が何か言うとすぐに「いや、それは…」「それどうかと思う」「意味がないと思う」など、否定の言葉がよく飛び交っています。
否定する割には提案がない。話の腰を折っただけでまたアイデアがなくなり、八方塞がりになる…そんな時間が続きます。
否定と提案は同時に成すもの。
否定するならばそれに代わる意見を示さなければなりません。それが否定した根拠となるのですから。
否定しただけの根拠や提案がないにわりに、否定だけするようでは、食わず嫌いしてごねている子どもの言動と同じようなものです。
食べもしないうちから、「これは美味しくなさそうだから嫌だ!」「何となく食べたくない!」「(他に食べたいものも思い浮かばないけど)とりあえずこれはいや!」と言っているような感じです。

否定やら文句を言い続け、次第に喧嘩になって時間を余計にとられる。
うまくいかない会議でよくあるパターンです。どこの組織にもあります。
時間の無駄と言うより、これは時間泥棒です。

1時間以内に話をまとめられない会議は、もっと根本的なスキル磨きからし直すべきです。
長くても2時間。その2時間の中で、一つのことを検討するのではなく、もっと議題が多くあり、それらすべてを検討しまとめるために長めに時間をとって2時間程度でおさめる。
会議の中身を有意義にするためにはそれぐらいの意識を持っておくべきでしょう。
ちょっと厳しい負荷の中で必死に取り組めば、それだけの成果と成長が得られます。

時間は大事に使うべきです。
明日に回せば良い、また後日考えれば良い、と時間が無限にあると勘違いして、「では、また後日改めて話し合いましょう」と言ってしまうのは愚かです。
他の記事でも私は度々主張していますが、自分の命は今日明日で終わることがあるかもしれないのが人生です。
明日が来るのが当たり前と思って、気軽に「また明日」「今度頑張る」などと言っているようではいけません。
もちろん当たり前に明日が来て、その先の日々もずっと続くと思いたいですし、そうあってもらわないとつらいです。
ですが、数分先の未来がどうなるかなんて誰にも分かりません。
突然災害が発生する可能性だってあります。
そういうどこか刹那的な感覚を持っていないと、人間は必死になって頑張れないのです。
今日明日死ぬかもしれないから頑張る、というのは極端な言い方ではありますが、
仕事に関して考えるならば、次に迫っている仕事を疎かにするわけにはいかない、関係者にも迷惑がかかる。この短時間の中で今の仕事のケリをつけるぞ!
そう思って取り掛からないといけません。

時間を上手に使える人や組織は、頭も仕事の回転も速く、信頼もされやすく、期待されて次なる仕事が舞い込みます。
他社から良い仕事の依頼が来たり、出世や儲けにつながるビッグチャンスがやってきたり。
それをまた上手に時間を使って、的確に取り組むので成果をどんどんと出し、スキルも信頼もアップすることでしょう。

会議や仕事スキルにかぎらず、自分の日頃の時間の使い方はどうかと考えることは、自分改革の一つです。
もったいない時間の使い方をしていないかなと。
人の意見の否定ばかりして終わっていないか。そういう形で今まで話し合ってきた、たとえわずかな時間であっても、それを台無しにしていないか。
意見を出して、可能性をあれこれ考える努力をして、時間を有意義に使おうとしているか。
そしてその意見を具体的かつ簡潔に伝えられているか。
いつまでも話の終わりが見えない、とりとめのない長い話し方をしていてはいけません。それですら、話し終わるのを待っている人にとっては迷惑になることがあります。
時間もどんどん過ぎます。簡潔に分かりやすく発言することを心掛けましょう。

自分だけでなく、他者の時間も無駄にしないように。
人の時間を奪う時間泥棒になってはいけません。
時間を大事にする感覚を人一倍持ちましょう。
話し合いも仕事も、人と過ごす時間も、プライベートも、あらゆる場面で有意義な時間となっているかを考えていただければと思います。


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