どうしても子どもにイライラしてしまう!どうしたらいい?
子どもを認めて自己肯定感を育てる言葉の大切さをお伝えしています。でもよく親御さんから言われるのが「余裕があれば、そういう言葉かけをできるんですけど……」という一言。
そのたびに「余裕、大切ですよね」とやんわりとお返事していましたが、余裕のある時は本当に来るのでしょうか?
親に余裕がないために、子どもの自己肯定感が育たないとしたら……?
子どもが親のイライラの犠牲になっているとしたら、それって、違っているような気がするのです。子どもは親の所有物ではなく、ひとりの人間として尊重されるべきだからです。
まずはマンガを見てみましょう。
■余裕がないと、なぜ親は子どもを怒ってしまうの?
お父さん、職場で理不尽なクレームがあっても我慢してうまく収めましたね。でも納得できず、イライラを引きずっているようです。そんなこととは知らず、子どもたちは無邪気にパパと遊んでほしくてまとわりつきました。
いつもなら、お父さんも笑って一緒に遊んだでしょう。でも今日は怒ってしまいました。
子どもたちが同じことをしても「怒られる時」と「怒られない時」があるのは、子どもが原因ではありません。親に「余裕がない時」と「余裕がある時」の違いです。この場合は職場でのイライラですね。
たしかにきっかけは子どもかもしれません。でも子どもが悪いわけではありません。
どうして自分に余裕がないと、子どもを怒ってしまうのでしょう?
その根底には「自分のイライラを、親は子どもにぶつけてもいい」という甘えがあるような気がします。
もちろん誰にでも不機嫌な日はあります。でもその感情をコントロールするのが親としての務めではないでしょうか。
理不尽に子どもに怒りをぶつけないように、自分の弱さを認めることからスタートしてみましょう。
■イライラしている時、子どもに伝えてほしいこと
自分の弱さを子どもに見せたくない気持ちもわかります。でも理不尽に怒鳴る親より、弱さを見せながらも子どもとのコミュニケーションを大切にできる親のほうが、子どもの成長には良いのではないでしょうか。
もちろんイライラの原因をその場で解決して、置いてくるのが1番です。つまり、職場の問題は職場で解決すべき。でも飲み込まなくてはいけない場合もあるでしょう。
ですから解決するのが難しい場合は、怒るくらいなら、正直に子どもに話してしまうのが良いと思います。
自分がイライラしているのは「あなたが原因ではないよ」と子どもにもちゃんと伝えることが大切です。
■イライラの原因を冷静に考えてみると…
このマンガの場合はイライラの原因がわかっていたので、子どもに話すことができました。でも多くの場合、原因が自覚できていないことが多いようです。
私は、講座で多くのお母さんお父さんに、子育て中のイライラ、モヤモヤの原因を1つ1つよーく考えていただくと、実は子どもが原因ではないことに気づいて、ハッとされます。
例えば、パートナーが協力的ではなかったり、やるべきことを1人で抱えすぎていたり、寝不足だったり、ママ友・パパ友の間で嫌なことがあったり、社会が子育てに優しくなかったり……。
こうして書き出してみると、そんなことのために、かわいいわが子に皺寄せがいくのは、馬鹿馬鹿しく、筋違いだと思いませんか?
1番理不尽な思いをしているのは子どもかもしれません。
イライラの原因は、自分の中にある「自分がやらねば」とか「お母さんとしてすべきこと」だと思い込んでいることに気づかれる方が多いのです。
まずは、そのイライラの元を考えて、どうしたら余裕ができるのか対策をとることから始めましょう。
そして、「余裕がないこと」と「子どもを認める言葉かけができないこと」は、本来全く関係がないことを自覚できるといいですね。
今日のコミュポイント
執筆:天野ひかり
マンガ:とげとげ。
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。