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圧力鍋を科学する|飽和蒸気圧と沸点の関係などについて!

🌻問題1 蒸発と沸騰の違いは?

液体の表面だけが気化するのが蒸発、液体の内部からも気化が起きるのが沸騰です。
蒸発は温度が低くても起きます(だから洗濯物が乾きます)が、沸騰は物質ごとに異なる「沸点」よりも高温でないと起きません。

🌻問題2 「(飽和)蒸気圧」って何?

▶今、一定の温度に保たれた真空の密閉容器の中に、液体を入れて放置したとします。

すると、最初は真空(=気体がまったく存在しない)ですから、蒸発だけが起こります。

しかし、蒸発が起こるということは密閉空間の中に気体が生じたということですから、やがて蒸発の逆である凝縮(気体が液体になること)も起こりはじめます。

最初のうちは、蒸発速度(単位時間あたりに蒸発する分子の数)と凝縮速度(単位時間あたりに凝縮する分子の数)の関係は、

蒸発速度 > 凝縮速度

となっています。

ですが、時間が経過すればするほど蒸発が進み気体が増えるため凝縮速度が増していき、やがて凝縮速度が蒸発速度に追いついて

蒸発速度=凝縮速度

となります。
蒸発した分だけ凝縮するので、見かけ上は蒸発も凝縮も起こっていない平衡状態です。

この平衡状態を気液平衡といい、気液平衡となるときの圧力を「飽和蒸気圧」、または単に「蒸気圧」といいます。

飽和蒸気圧について、次の特徴が重要ですので覚えておきましょう。
✅実際の圧力が飽和蒸気圧よりも高くなることはない。
▶一部が液体になってしまうからです。中学で学習した「飽和水蒸気量」はこのようなメカニズムで決まっています。
✅飽和蒸気圧は物質の種類と温度のみによって決まる。
存在する液体の量や空間の体積、他の気体の併存の有無などとは無関係に決まることは覚えておきましょう。
✅飽和蒸気圧は温度が高いほど大きくなる。
▶状態方程式を知っている人は、PV=nRTでV,n,Rが一定だから、と考えておけば覚えやすいでしょう。
✅飽和蒸気圧が高い=蒸発しやすい(揮発性)=沸点が低い
▶重要なので後述します。

🌻問題3 飽和蒸気圧と沸点の関係は?

▶先ほど言ったとおり、沸騰とは「液体の内部からも気化が起こること」をいいます。
液体内部から気化が起きるためには、外部の圧力に打ち勝って気化する必要があります。つまり、

✅外圧=飽和蒸気圧

となるような温度である必要があります。
通常、外圧とは大気圧(約1013hPa、約1.013×10^5Pa)なので、飽和蒸気圧=大気圧となるときの温度を「沸点」と呼んでいます。

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TEKIBOのサイトより引用。

上の図をよく見て、これまでの内容(飽和蒸気圧は温度が高いほど大きい、飽和蒸気圧が高い=蒸発しやすい=沸点が低い、など)をよく確認しておいてください。

🌻問題4 富士山の山頂で作るカップラーメンは美味しくない?

▶私は作ったことがないのでわかりませんが、富士山頂は気圧が低いので沸点も低くなります。

富士山頂の気圧は630hPaくらいです。上のグラフで見ると沸点が87℃くらいになってしまいます。100℃のお湯で作るよりはマズくなってしまうように思いますが…どなたか試した方がいたら教えてください😝
富士山頂でご飯を炊くと芯があるご飯になる、という話は聞いたことがあります。同じ理屈です。

🌻問題5 圧力鍋を使うと早く調理できるって本当?

▶︎本当です。

富士山頂と逆のことをやっているのが「圧力鍋」です。
圧力鍋は蓋で内部を密閉できる構造になっていて、火にかけると鍋の中の液体から発生した水蒸気が外に出られず、圧力が高くなります。ですから水の沸点も高くなります。110℃~120℃くらいの温度で調理できるようになります。

温度が高いと一気に加熱できるため、調理時間の短縮ができます。
沸点が100℃から5℃上がるだけで調理時間はなんと半分に、さらに110℃まで上がると、1/4の時間まで短縮されます。最高温度の120℃度まで到達すると、通常の速度の16倍の速さで調理できる計算になるのです!

時間の短縮だけでなく、骨まで柔らかい魚にして骨ごと食べてカルシウムを摂取できたりなど、栄養面でも美味しさの面でも良いことがたくさんありますが、これ以上は専用のレシピサイトなどをご覧ください。圧力鍋を制する者が料理を制す!?

🌻問題6 宇宙服を着ないで宇宙に出るとどうなる?

▶いろいろと危険があって死んでしまうことは間違いないでしょうが、この記事内容に関連づけるならば、血液が沸騰してしまいます。

上のグラフをご覧いただくとわかるように、圧力がめっちゃ低下すると水の沸点が37℃(体温)以下になってしまいます。

宇宙は真空に近いですからね。
ということは、体温で体内の液体が沸騰し始めてしまうのです…書いてて怖いっ!

🌻おわりに この記事を書いたきっかけ

例の事件をきっかけに硫酸について調べようと思い「無機化学」の硫黄酸化物のところを復習していたら、濃硫酸は不揮発性だから沸点が高い、ということを思い出しました。

最初は事件のことや硫酸の性質を記事にしようかと思ったのですが、そのはるか手前の「飽和蒸気圧」を語って今日は終わってしまいました💦

硫酸については各自で無機化学などを勉強してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました🙇‍♀️今後もがんばりますので、励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。フォローは100%返します。今後とも有益な情報発信に努めますので応援よろしくお願いします🙇‍♀️

夏が終わって秋になっても、皆さんと一緒にStudyを楽しんでいきたいです!またねー!💕


🌸🍃この記事の執筆者、Study Partnerは、コペル&アヤでした🐣


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🐣<参考文献>🐣

実験するjk

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