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精神疾患から回復する過程で得られたこと①

精神科医の樺沢紫苑さんが、精神科のドラマ「shrink~精神科医ヨワイ~」を見たツイートでこんなことが書いてあった。

「否認→受容→感謝で病気は回復する」

と言っていた。全てを信じるわけではないが、一理あると思った。
自分は病気を受容はできているような気がする。精神障害を含め、障害や病気、弱さを抱えている人は仲間だと思うし、双極性障害を抱えている自分に違和感はない。しかし感謝についてはどうだろうか。感謝とは、「病気になれてよかった」「病気でこんなことが得られた」ということだ。
自分は今は体調がよいが、それでも「こんな病気ならないほうがましだ」「できるなら過去の自分に戻りたい」と思うことが多い。
ただ、とりあえず書いてみようと思った。それで、自分の中の感謝の気持ちが生まれ、成長することに期待する。今回の数回にわたって書く記事は病気になってよかったこと、成長したことについてだ。




セルフケアに出会えた

以下のセルフケアに出会えたことが大きな獲得だ。
 

認知行動療法(コラム法、問題解決、行動活性化など)

 認知行動療法にはいろいろあるが、日本の認知行動療法の第一人者、大野裕さんが運営しているサイトや、awarefyというアプリで毎日記録している。僕は、専門家や先生といった「上」の立場の人に怒られたり、注意されたりすることがひどく苦手なのだが、そのとき自分がどう思ったのか、自分の悲観的な考え方以外にはどのような考え方があるのかをコラム法によって書き出し、柔軟な思考を目指すとともに、ストレスを緩和できていると感じる。
 またストレスを軽減するには自分の考え方を変えるだけではなく、周囲の環境を変えることも重要だ。その際、「問題解決」が役に立つ。ブレインストーミング的に、問題に対する解決策(行動)をたくさん書き出し、それぞれの行動の有用性、難易度をランク付けして、どの行動が一番役に立つかを考える。例えば、休学中にバドミントンの試合に出ないかと友人に誘われていた。逃げているばっかりじゃだめだと思い、出場したい気持ちもあったのだが、休学の負い目やブランク、体力の衰えなどで不安があったので悩んでいた。そこで、問題解決に取り組み、単に出場するのでもなく、その場で断るのでもなく、練習してみてから出場するかどうかを決めるという二つの選択肢の間の選択肢をとることができた。頭の中でどう一歩を踏み出そうか迷っている人はぜひやってみてほしい。ほかにも、相手に自分の意見を伝えながら、適切な言い方を考えるアサーションなどがある。

「awarefy」というアプリ、大野裕さんの「ここトレ」というサイトがおすすめだ。どちらも有料だが、「awarefy」は使いやすいが少々お高め、「ここトレ」は安いが、少々古いサイトだ。どちらも月額一冊の本より安いのでぜひ取り組んでみてほしい。



本としては、読書好きだったり、厚い本を読める方なら「いやな気分よ、さようなら コンパクト版」がお勧めだ。


あまり本を読めない、時間を取りたくないという方は「こころの晴れるノート」がおすすめだ。


いずれにせよ、認知行動療法は続けていくことが肝要なので、アプリやサイト、自分でノートを作るなどしなければならない。


マインドフルネス(瞑想、ヨガなど)

マインドフルネスという言葉を知っているだろうか。マインドフルネスは瞑想ではない。マインドフルネスとは「意識的にいまとつながること」だ。やらなければならない仕事や、今日の夜ご飯のメニュー、つまり、未来や過去ではなく、今の呼吸や音、光、椅子に座っている感触などを意識的に観察することだ。すべて意識する必要はない。というか多分できない。まずは、呼吸に集中して、その後、光に、音に、感触に、体の状態に、順番に意識を移していけばいい。
 頭のなかの思考は濁流のように押し寄せてくる。しかし、自分が変えられるのはこの瞬間だけなのだ。未来を考えることが大事というのは一面の真理かもしれない。しかし、それは思考する自己に任せておけばいい。彼らは意識せずともそれをやってくれるからだ。大切なのは今この瞬間に意識的につながることなのだ。
でも最近サボりがちです。合う人合わない人がいると思います。

興味のある方はJ・カバッドジンの「マインドフルネスストレス低減法」という本をお勧めする

ACT(認知行動療法の1つ) 

認知行動療法の第3世代と言われるもので、マインドフルネス+価値+行動からなる。マインドフルネスについては上で述べた。マインドフルネスの重要性はACTから学んだところが大きい。マインドフルネスといっても、非常に幅広い。仏教などの東洋の思想を中心にヨガや瞑想は数千年前から行われてきている。しかし、そこからマインドフルネスを習得するのは難しいので科学的に実証されているACTから取り組んでいってみてほしい。 
 さて、ここで述べたいのは価値についてである。価値とは、目標とは違って、達成したらそれで終わりではない、生涯かけて目指すものだ。お金持ちになるとか、昇進するとかは価値ではなく目標だ。この後紹介する本に沿って価値を書いていくと、それが人生の指針になる。しかも、迷った時に自分の本当に求めるものに引き戻してくれる。私の学業の価値は、まだしっかりと決まっていないのだが今のところ、「精神医学、心理学に基づいたこころと、社会学や文化人類学などからみたこころについて学び続ける」なのだが、例えば大学院に進むときに、もっと社会的に賞賛される良い大学に進みたいと思うことがある。これは価値ではなく目標だ。そのように釣られてしまうときに自分の本当に求めていることに引き戻してくれるのが価値なのである。

興味のある方は「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」をお勧めする。



運動

テニスやバドミントン、水泳など子供のころから運動はしていたが、病気を発症してからしばらく離れていた。そのころは習い事や部活で義務的にやっていただけで、自主的に散歩やジョギングを始めたのはここ最近だ。散歩はメンタルにいいといわれていたが、いまいち始める気にならなかった。しかし、気分が10段階中3、4くらいのときに音楽を聴きながら、30分ほど散歩をしてみると驚くほど気分がよくなった。それから毎日のようにしている。音楽を聴きながら、夕方散歩をするのがモチベーションを維持するのに役立った。まずは朝散歩じゃなくてもいいのだ。散歩のとき周りを見渡して、その瞬間とつながるのも大事だが、それで続かなかったら元も子もないと思い、音楽を聴きながら自由にやっている。
 運動は体にいいだけでなく、学力、記憶力、集中力、気分にもよい効果をもたらすことが科学的に実証されている。ウォーキングや筋トレでも効果があるが心拍数を上げる運動が最も効果的ということで、いまはジョギングとウォーキングを組み合わせて行っている。ビジネスになりづらいから広まっていないだけでその効果は驚くべきものらしい。といってもやはり時間的にも体力的にも始めづらいというのが多くの人にとっての事実だろう。運動の驚くべきメリットの多さを知るということで、こちらの本をお勧めしておく。私が運動を自主的に始めるきっかけになったものだ。



おわりに


以前のままだったら、病気の苦しい時間を受け入れるということはできていなかった、もし病気にならなかったとしても、今という時間を大切にするのではなく、目標(未来)に走っていただろうし、自分の体や心に配慮するということはできなかった。運動は小学生からいろいろとやっていたが、運動の効果にも気づけなかった。
例えば、免許をもって自転車を使わなくてよくなったら、自転車に乗らなくなる。そうすると体力が衰えていく。そのように、病気のない状態(免許のある状態)は楽しいけれども、失うものも多い。例えば、行動活性化(端的に言えば、行動を起こすと気分が上がること)に出会ったことでいままでできていなかった散歩、ヨガなどを始められるようになった。昔は、運動をしていたが、部活やクラブで義務的にやっていただけで、日常に溶け込ませるように自発的にやるようになった。元気なままだったら、やる気のないときは、やる気のない状態のままだっただろう。

体調が悪くなっても、これらは役にたち続けるはずだ。次、気分が落ちることはとても怖いが、セルフケアとの出会いのお陰で自分はやり過ごし、そのときもその一瞬一瞬を生きられるという自信が少し生まれた。

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