定点観測④何もないので旅の思い出エッセイ-その1【小島】
はじめに。
実は、ひとり旅が趣味です。21歳~23歳の2年間、休日を使って車中泊で45都府県に行きました。(残すは佐賀県と北海道。)ちなみに僕の中の「行った」の基準は"1泊以上すること"としています。
今日は、旅先で起きた体験談を書いてみました。ハードルをあげるつもりは毛頭ないですが、この話は客観的に見てもウソのような、マンガのような話です。
マンガだとしたら"そんな馬鹿な展開"すぎて寒々しいのですが、これがホントなので一生の思い出になっています。
そんな旅のお話はnoteの中盤から。前半はダラダラとくそつまらないいきさつを語っていますので、ぜひ見出し機能で飛ばしてください。読まなくて大丈夫です。
2月1日になりました。銀ぶちペンギンの定点観測のお時間です。
今回の担当は【小島】です。この定点観測というコーナーはショートショートを書きながらも、毎月1日と15日に現在の状況を報告する、それと文章を書くことから「逃げ出さない」ためにふたりで設けた鎖であります。
心に正直に体を動かせば、録画して溜まっているテレビ千鳥を見て、ピザポテトBIGを片手にダラダラしていたい日曜日の夕方。4.5枚をいっぺんに頬張って、ザクザクと不摂生したい。歯茎に溜まったポテトのカスをオレンジジュースで流し込みたい。
でも相方がいるのでやらねばならぬ。それといつも僕たちの投稿を読んでくださる皆さんがいる。だから僕は食べかけのピザポテトの袋を輪ゴムで止めて、いまようやく書き始めることができました。(買ってたんかい。)
この定点観測は先ほども説明した通り、言わば執筆から逃亡しないためのお札みたいなものですから、パソコンに向かって書き始めることができた今、9割がた目的は達成されたと言って過言ではないでしょう。つまり書く内容はなんでもいいわけです。(すくなくとも小島はそう解釈している。)
ただ淡々と現状報告だけして終わらせることもできます。しかし、そんなことをして今日の晩飯が美味しく食べられるでしょうか。そんな怠慢、相方になんて言われるかわからない。弱い自分に打ち勝ち、「あぁー今日も1日頑張った!」と思えてこそご飯は美味しいし、浸かる湯舟は気持ちいい。
だから僕は決めました。いま決めました。今日は原稿用紙10枚分4000字書きます。まだまだ書くのが遅い僕は、今から書くと晩飯の時間は過ぎてしまう。でも、書きます。己で決めた目標を達成する、それが自分を変えられるもっとも身近で、もっとも必要な力ですから。晩飯は書き切るまで我慢します。ふーー。よーし。やるぞー。
(ピザポテトのせいで全然お腹が減ってない午後20:00)
何を書こうかなーと、実は先月の15日以降ずっと考えていました。自由というのは本当に厄介ものですね。無数の選択肢というのは、逆に人の視界を真っ白に染め上げてしまいます。
「お昼何食べたい?」「なんでもいいよ」って返してくる女子、条例で取り締まることはできないでしょうか? それに対して「じゃあ、行く道で良い店あったら適当に入ろうか」って提案もやめておくんだ、そこの男子よ。それだいたいハッピーエンドにならないから。結局ぬるっと惰性で大型チェーン店に入ることになるから。(もちろん大型チェーン店のご飯は美味しい。美味しいゆえにチェーンなのだ。)
模範解答は「じゃあ○○〇か○○〇なんてどうかな?」と2択を用意して差し上げること。そして姫が選んだ方の店をすぐ近場で検索して差し上げる。決して文句は言わないで差し上げる。知らなかった方は今週のデートから実践してみてください。(当店は一切の責任を負いません。)
最近、エッセイを読みました。
星野源さんの「蘇る変態」
それと「いつか別れる。でもそれは今日ではない」で有名なFさんの「20代で得た知見」
どちらも自分で買ったわけではなくて、別々の知人から「面白かったから読んで見なよ」と借りて読んだものです。
これまでエッセイってあまり読んだことがなくて、なんとなく食わず嫌いしていたのですが、なんということでしょう。最高に面白いではないか。
なんですかねー。実体験ってやっぱり生身の温度感があって、圧倒的に引きつけられますね。もちろんそれを面白く魅力的に伝えられるエッセイストの文章力あってこそなのですが。
夢中で2冊のエッセイを読み終えると、僕は決心しました。
「よし、定点観測はエッセイを書いていこう」
自由すぎる。あまりにも自由すぎる。一体、僕は定点観測をなんだと思っているのか。
相方の「なんか現状報告的なのあるといいと思うんよ。書いてこうぜ」という意見をちゃんと聞いていたのか。
しかも僕が書ける、みなさんの時間を奪うに値する実体験と言えば「ひとり旅の思い出」くらいしかなさそうです。
なのでこれから(なんの”なので”? ”なので”史上もっとも強引な”なので”)、定点観測【小島】パートは旅の思い出を少しずつ放出できたらと思います。
もちろん、相方への相談なしで。
……さすがに怒られてもあれなので、箇条書きで現状報告だけ済ましておきます。
《銀ぶちペンギンの現状報告》
①相方【森】は短編の公募に向けて執筆中。
②そのため、いまは週1ショートショートを【小島】が主に請け負い中!明後日ですね。
③最近、ショートショートのイラスト付きサムネイルが好評です。あれは知人のデザイン勉強中の学生くんに頼んでいます。サムネイルの成長も温かく見守ってください。
④変わらずnoteでは毎週(水)に新作ショートショートを投稿!
⑤Twitterでは毎週(月)にショートショートを投稿!読んだ書籍の情報も発信していますので、ぜひフォローよろしくお願いします!
⑥芥川賞を受賞した宇佐美りんさん「推し、燃ゆ」面白すぎたので、読書感想noteを必ず書きます。近日中に仕上げますから、まだ読んでないという方も読んだ方も、ぜひ読んでほしいです。
さぁ、定点観測は終わりました。
(書き出すと意外とあったなぁ……。)
銀ぶちペンギンの定点観測だけが読みたかったんだという方はここで終わってもらって結構です。(そんな人おらん。)
ここからは【小島】の旅エッセイを読みたいという方だけ進んでください。(そんな人おらん。)
第1回は『広島県』です。
ひとり旅記①「そんな今日、小島くんと出会ってしまったってわけよ」
その週末は土日月と三連休でした。
僕はその三連休で会社の後輩と広島県に旅行に行く約束をしていました。その頃の僕(当時21歳)は、同じく高卒の同僚や大学生の友人たちからの飲みの誘いを断り、浮かせたお金で毎週末旅行に出かけるタフでつれないヤツでした。
旅行の楽しさを覚えたきっかけは、20歳の冬に行った長野県の白骨温泉。自分で旅館を予約し、自分でアクセスを調べ(公共交通機関での白骨温泉へのアクセスは、当時の僕にはかなり複雑だったのです)、自分で周辺観光地を調べ、行程を練って、初めての遠出はかなり不安だったのですが、旅行は結果大成功。いま振り返れば、泊まった旅館もかなりいいところだったこともあって(客室露天つきの雪見風呂和牛すき焼きプラン2人で50000円)、ほんとうに最高な1泊2日でした。
今でも”その瞬間”を覚えています。
JR松本駅から地元の名古屋までの経由地点になる岐阜県の中津川駅に一度降り、名古屋方面の電車を待っているときでした。
(……旅行ってこんな簡単やったんか)
体の中でなにかが沸き上がっているのを感じていました。友達と飲み行くのも楽しかった。少し背伸びした服を着て「センスいいね」と言われるのも嬉しかった。カラオケも楽しかった。映画も面白かった。
でも、”なにか”が足りんなぁ。と、感じている社会人生活だったのです。
そのとき、駅のホームで沸き上がった”なにか”は確実に僕が求めていたものでした。いや、そんなことを考える隙間がないくらい僕の頭は「おれは旅行が好きなのかもしれない」という思考で埋め尽くされていました。
高校生の頃の旅行といえば修学旅行や家族旅行など一大イベントでしたし、まして自分で計画なんてもちろんしたこともありません。
本来、旅行というのは初め仲間内で車で少し遠くに出かけるようになって、日帰り旅行をして遠出の楽しさを覚えて、県外に出て1泊してみて……。という手順で浸透していくのだと推測します。
が、僕はいきなり豪雪地帯の長野県奥地の秘境温泉へ、JR、地方ローカル線、地方ローカルバス線を乗り継ぎ、一人25000円もする高級旅館の和牛すき焼きでお腹を満たし、雪景色を見ながら露天風呂でうたた寝するというスーパー飛び級を気づかぬうちにかましていたのです。
とんでもないギャップが生まれてしまった「僕」というモンスターが電車の中でたどり着いた答えはこうでした。
「え? なんでみんな毎週旅行いかんの?」
です。その日以降、今もそうですが、僕は「旅行」という言葉があまりピンときません。「旅行」という言葉の持つイベント感というか非日常感みたいなものに違和感を感じてしまうのです。
そんな特別なものとしてとらえずに、旅行ってもっとラフで身近なものなのになぁ、と思うわけです。それこそ毎週出かけるような。
そっから僕はマジで毎週県外へ出かけました。
車で愛知県から行ける距離にある府県に当時の彼女と行きまくりました。和歌山県の太平洋沿いを東から西へ2日かけて走った旅行は特に印象に残っています。オススメしますよ。
そんな愛知県周りを行き尽くした僕の、初めての新幹線旅行が「広島」だったのです。(やっと広島の話に戻ってこれました。)
しかし、一緒に行く約束をしていた後輩から木曜日にLINEが届きます。
「小島さんすいません。休日出勤になっちゃいました(泣)」
マージか。
幸いホテルは行き当たりばったりでいくかと、何も予約をしていなかったので、キャンセル料等は出なかったのですが、広島旅行がなくなったのは大ショックでした。
もっぱら「三連休は広島旅行!」と意気込んでいたわけで、後輩からLINEがきたのは木曜日ですし、今から予定を入れるのも困難。
この「失われた三連休」をどう取り戻すか、そればかり考えながて、金曜日の仕事は全く集中していませんでした。
正確に言えば広島旅行は行けなくなったわけではない。後輩が行けなくなっただけで、三連休はやってくる。新幹線は壊れてないし、広島県は沈んでない。
その日の仕事終わり、職場全体の飲み会があったのだが、僕はアルコールを飲まなかった。一応である。
二次会を一応断り、明日の朝、一応始発の新幹線に間に合う時間に目覚まし時計をセットした。一応である。一応、一応。
就寝。
起床。
ガバッ。
「おし。広島県行こっ」
10分で準備し、リュックをひとつ背負って僕は駅に走った。空はまだ全体的に暗がりだったが、東の空からは着実に太陽が昇り始めていた。
こうして僕のひとり旅の幕は開かれるのである。
<次回3/1の定点観測に続く>
P.S. ピザポテトBIGの効能も切れて、お腹が減ったのここで終わります。美味しい晩飯が食べられるはずです……。4365文字。あとぜんぜん広島の話になってないぃ……。
【小島】
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