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バイクにまつわる話

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私の書いたバイクに関する文章のまとめです
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2020年10月の記事一覧

オトナの話

オトナの話

とあるバイクの開発秘話が、雑誌に載っていたのである。
その開発者の方の言葉によると
「バイクは、こころとか感情を磨いてくれるもの」
なのであった。

わかりやすい危険と隣り合わせである不安、恐怖。
そういう怖さに近づくからこそ自分を大事にするにはどうすべきか、ということも考える。ただ「スリルを味わう」とか「ストレスを発散する」だけがバイクじゃない。

そこでの考えを自分だけのものとせず、親しい人を

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秋の900km

秋の900km

昔のメモ。

国道158号を東へ走って、安房峠。
ここで選択を間違えた。

美しい紅葉の時期に、
わざわざトンネルを通る必要はなかったのに。
旧道の安房峠を越えれば良かったと後悔した。

その後乗鞍林道のB区間~A区間を走る。
ライダーの聖地と言われた乗鞍はもう走れないけれども、
十分に美しい。

景色を見て涙が出そうになった。
苫前で見た緋色の夕暮れも、
快晴の逆さ富士も、
とっておきの銀杏の林

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ツーリングライダーの行き着いたところ

ツーリングライダーの行き着いたところ

ツーリングに出る前の
わくわくしたきもち、
うずうずするきもちを思い出す。

そして
むかし自分が書いたメモ書きを見て
ああ、そんなこともあった、と思い出す。

文章に仕立てることで
自分のツーリングに対する思いが
形を持つように思えた。

わたしにとってのツーリングは
文章にして初めて完成するものなのか、と思う。

ずっとずっと走って
いろいろな空気を感じて
やっと
その経験や思いがひとかたまり

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ツーリングの神様

ツーリングの神様

バイク乗りにとって、ツーリングの神様とは、どういう存在なのか。

私にとってのツーリングの神様は、行く先々で、前を走る地元の軽トラックやコンパクトカー。

目が血走るようなテンションで走り続けていると、農作業の車だったり、ちょっとそこまで買い物に行くのかな、と思う車だったり、そういう車に追いつくことがある。

「ああ、いい気分で走っていたのに」と思う。しばらく車の後ろを着いて走り、我慢をする。なぜ

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居酒屋ライダー

七笑を飲んだ。木曽のお酒であった。木曽は日帰りでよく走りに行ったところ。

昔のツーリングの話になった。

お酒のにおいに混じって、山のにおいがしたように思った。

「・・・その道を走ったあとにね、

壁に貼ってあるお品書きを眺めながら記憶を辿って話した。

何を話したのだろう。すらすらと口から言葉が出てきた。

アスファルトのきめの荒さを思い出した。

背中に伝わってくるエンジンの振動を思い出し

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みんなでツーリングにいく理由

ツーリング。
一人でいくか、みんなでいくか。
この選択でバイクの楽しみ方は大きく変わる。

 ある日、7人でツーリング。バイクを連ねて走ることが、なぜ面白いか。走っているときは会話も無いのに。

 途中のコンビニで休憩。目的地で温泉、おいしいご飯。
帰りも途中で休憩しつつ。

 例えば、みんな車に乗ってずーっと同じ時間を共有したら、最初は良いけど、だんだん疲れて眠くなってくる。話題もなくなってくる

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ツーリングの必需品

全国をツーリングしていたときの
お気に入りの持ち物。

高千穂神社で求めた
厄除御守

たんぽぽのような、くちなしのような
はっきりした黄色の御守。
刺繍の色は忘れてしまった。

ほかの御守とちがって
何年もの間
必ず
ジャケットの内ポケットに入れていた。

バイクに教えてもらったこと

ツーリングに出ていた頃に考えていたことをぽつぽつとメモしていた。
わたしはバイク乗りだったのであった。
そのわたしはバイクに何を教わったのか。

少々のことは「ふーん」と流せるようになったのであった。

天気予報は気にするけれど、あてにはならない。特に山あいは。
自分の目や鼻や皮膚感覚で、雨の雰囲気を察知する。
あと、対向車を見る。
だからといって、自分の予測がいつも当たるわけでもない。

楽観的

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