居酒屋ライダー
七笑を飲んだ。木曽のお酒であった。木曽は日帰りでよく走りに行ったところ。
昔のツーリングの話になった。
お酒のにおいに混じって、山のにおいがしたように思った。
「・・・その道を走ったあとにね、
壁に貼ってあるお品書きを眺めながら記憶を辿って話した。
何を話したのだろう。すらすらと口から言葉が出てきた。
アスファルトのきめの荒さを思い出した。
背中に伝わってくるエンジンの振動を思い出した。
ヘルメットの中の狭い視界を思い出した。
席を立つとき、身が軽かった。
いつの間にか、プロテクターの入ったジャケットを着ている気になって喋っていた。