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ツーリングの神様
バイク乗りにとって、ツーリングの神様とは、どういう存在なのか。
私にとってのツーリングの神様は、行く先々で、前を走る地元の軽トラックやコンパクトカー。
目が血走るようなテンションで走り続けていると、農作業の車だったり、ちょっとそこまで買い物に行くのかな、と思う車だったり、そういう車に追いつくことがある。
「ああ、いい気分で走っていたのに」と思う。しばらく車の後ろを着いて走り、我慢をする。なぜだか、我慢をして走ると、その先の道が思わぬ線形であったり、カーブの向こうで工事があり簡易の交互信号が設置されていたり、おかしな走り方をする対向車が来たり、そういうことをやり過ごす場面に出くわすことが多い気がした。
それまでと同じテンションで突っ込んでいくととんでもない目に遭わねばならないようなとき、ゆっくり走れと教えてくれたのだと、
そう思わざるを得ないタイミングで、その軽トラックやコンパクトカーは走っているのだ。
当然、乗っている人は私の都合と無関係にそこにいるだけで、私が勝手に後ろに着いてもどかしげに走っているだけのことなのだけれど。
何度か同じような体験をして、私は「ツーリングの神様がいる」と解釈するようになった。
安全に帰って来られますように、とお願いしたのだから、神様が「もうちょっと考えて走ってみたら?」と教えてくれたのだ、と解釈するようになった。
もちろん、こんなことは私の勝手な思い込みだとわかっているのだけれど、そう思うようになってからは走りに余裕がでたように思う。