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算数の「間違い探し」と中学受験

「算数・数学の間違い探し」という本があります。

著者は、数学者の芳沢光雄氏。

氏の曽祖父は、犬養毅(五・一五事件で暗殺された首相)だそうです…。

本のオビに、

大学生の10人に1人が、

「40-16÷4÷2」を間違えた!

との一文があります。

「間違い探し」の問題とは、例えば、

9/5リットルの牛乳があるとき、いくつかある2/9リットル入りのコップが一杯になるように次々に注いでいくと、最後のコップにはどれくらい入るか、という問題で、
これについて、A君は、
9/5 を 2/9 で割り、
9/5 ÷ 2/9 
=9/5 × 9/2 = 81/10
となるから、
「8杯のコップは一杯になって、9杯目のコップには1/10リットルの牛乳が入る」
と考えた。
A君の考えが正しければ「正しい」と答え、間違っていれば訂正しなさい、というもの。

単に問題を解くのではなく、「間違い」があるかないか、もし違っていたらどこが違うかを考えるという点がミソ。

分数の割り算ができるかどうかが問われているわけではないことがわかります。

2/9に8をかけて、それに 1/10 を足しても 9/5 になりません。

A君の考えが間違っていることは明らかです。

どこがどう違うのか、A君はなぜ間違えたのか。

これを考えるのが醍醐味。

整数の割り算のあまりの問題はよくありますが、分数の割り算のあまりを考える(分数の割り算の余りとはどういうことか)がここでのポイント。

分数を分数で割るとはどういうことか。

その「あまり」はどう考えたらいいのか。

学校や塾では、分数どうしの割り算のやり方、テクニックは教えてくれるかもしれません。

それがどんな意味をもっているのか、なぜそのやり方で解けるのかをじっくり考える機会は少ない(ほとんどない)ように思います。

この問題は単位の問題としてみることもできます。

小数の割り算の余りの問題にも展開していくこともできます。

つきつめれば、「わり算とあまり」の本質が問われています。

最近の中学入試の問題、特に難関中で問われているのはこのようなものだと思います。

間違いを見付けて説明できるためには、解法インプット型のやり方では対応できないと思います。

中学高校の数学は、「体系」があり、この中に当てはめて考えていくやり方ですが、中学受験算数では、これとは全く別のアプローチが必要になります。

中学受験に伴走しながら息子と一緒に入試問題を考えましたが、やってみると独特の味わいがあります。


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